紅葉狩りと芋煮会｜リアクション

紅葉狩りと芋煮会

○裏方は大変！

　寝子島町役場の職員、三折部朝衣は来年で就職３年目になります。
（人事異動の対象だけど、地域振興課とかに行きそうな気がする……）
　先輩方にいろいろ聞かされてそんなことを思っていると、中沢リッカルド町長の噂が聞こえてきました。
「芋煮会に興味を持った？」　
　総務課の人たちの言葉に、朝衣は予感を感じました。
「これは……町長に呼ばれそう」
　言うが早いか、課長がやってきました。
「朝衣くん、町長がお呼びだ」
「やっぱり……」
　町長に気に入られているらしい朝衣、指名されるのはこれが初めてではないのです。
　過去には猫の肉球スタンプ集めイベントのプロジェクトリーダーを任され、成功させた実績もありました。

「……というわけで、君をプロジェクトリーダーに任命します。短期間で大変だと思いますが、君なら大丈夫！」
「はい」
　町長に言い渡された朝衣は覚悟を決めました。
「たくさん来すぎたらどうしよう、入場制限？　あ、参加費を取れば経費も減らせるし一石二鳥かも……ワンコインなら参加してもらえますよね？」
「場所は猫又川の川原で……鍋は公民館にありますね。広報は、１週間前には配布できるように……」
　食材の調達やら場所の確保、道具や機材の準備に町民への広報に、連日の打ち合わせ……などで早出と残業続きとなりました。
　おかげで恋人の住沢遥人とはこの間、ＳＮＳでやりとりする以外は会う時間が取れません。
『ごめんね、やるからにはしっかり成功させたいから……』
『大変だね。僕も応援してるから頑張って』
　遥人のメッセージに、頑張ろうと決意を新たにする朝衣。
「あ、会場の前日設営作業に行かなきゃ」

　そしてついに迎えた芋煮会当日。
　準備は十分したはずなのに、いろいろ質問されたり想定外のことが起きたり。
　会場で受け付けやら開会の挨拶やら、その他雑用で目が回る忙しさ。
「きゅう」
　倒れたのは朝衣ではなく、マンボウくんでした。
「マンボウくん、しっかりして！」
　介抱に走るのも朝衣の仕事なのでした。

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