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その傷に思う
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星幽塔第一階層にある盗賊団『十二支団』のアジトは、一見酒場のように見える。
どっしりとした石壁造りの壁に囲まれた店内は、外見よりも広く、開放的なオープンキッチンが設けられている。調理台の向かいにスツールが数脚、他にテーブルも数卓。
飾り模様のクロスが敷かれ燭台が灯されたテーブルには、今の今まで食事を楽しんでいたたくさんの人々を示して、空っぽの食器やグラスが並んでいる。
「ありがとぉ~、また来てね~!」
モンスター討伐前の景気づけにと立ち寄って、旺盛に食事をして行ってくれた冒険者たちに、
ペコラ・ペコリ
はミルク色したふわふわの髪と羊のかたちしたふわふわの耳をふわふわ揺らして元気いっぱいに手を振る。
「気をつけていってらっしゃ~い!」
「……おいペコラ」
お客を丁寧に見送るペコラの背に、不機嫌な声が掛かった。
「お前、愛想良過ぎんだよ」
「え~? いつもと同じだよぉ~」
不思議そうに振り返るはちみつ色のまなざしに、調理台前のスツールにどかりと腰掛けていた
イダス・アグリオス
は緑柱石の瞳をムッとしかめる。ペコラの言葉を無視し、ぶんむくれた顔で調理台の端に顎を乗せる。
(……こないだからいったい何なんだ!)
少し前、寝子島の海岸で行われた祭りに仲間たちと店を出して以来、──詳しく言えば指名制水着コンテストに出場したペコラの応援をしてやって以来、──更に詳しく言えば、舞台上で太陽の光を浴びて朗らかに手を振る水着姿のペコラを見て以来、心が何だか変なのだ。
ペコラを見ると何だか気持ちがふわふわする。言葉を交わすと妙に照れくさい。
──だいすきだよぉ~!
おまけに時折、舞台上で愛を叫んでいたペコラの言葉が何の脈絡もなく頭を過る。水着姿のペコラが瞼の裏に蘇る。どうせすぐに消えるだろうとたかをくくっていた照れくささは、日を追うごとに増すばかり。
(ペコラアイツ何したんだよ)
亜麻色の髪をがしがしと掻きむしって唇を尖らせる。
「十二支団は酒場のお仕事もあるからけっこう忙しいんだよねぇ」
客の見送りを終え、店内に戻って来たペコラがおっとりとした口調で調理場の仲間と笑い合っている。
「でもボクはお店番も結構楽しくてすきだな~」
ね、イダス、と水を向けられ、イダスは反射的に赤くなってしまいそうな頬を隠してそっぽを向く。
「……そうかよ」
「今日は団長から言われてるお仕事もないし……イダス~、お店番がんばろうねぇ~」
ふわふわした声に応じるのも照れくさくて、照れていることを知られたくなくて、イダスはもともとの強面をますます仏頂面にする。調理台の端に顎を乗せたまま、ひらひらと面倒くさげに片手を振る。
「ほんじゃオレが味見する係、お前がその他だ」
「え~、それだとぜんぜんイダスが働いてないじゃんか~ずるいよぉ~」
思いがけず近くで聞こえたペコラの声にちらりと眼を上げてみると、真横にペコラが立っていた。柔らかそうな頬をぷーと膨らませ、両手を腰に当てて怒っている。怒っているけど全然怖くない。むしろ、
(……かわ……)
「あーあー聞こえねぇー!」
ペコラの言葉も自分の胸の奥から聞こえた言葉も耳を塞いで誤魔化してから、イダスはスツールから勢いよく立ち上がる。頭ひとつ分以上低いペコラをわざと見下ろして言い放ってみる。
「まあ……しょーがねぇからぁ? 皿洗いくらいしてやるよ」
「お皿洗いならしてくれるの?」
腕組みをしてイダスは鼻で笑って見せる。おら、恩にきろ、と言わんばかりに言ってみせたというのに、
「うん! 頼んだよぉ~」
ふわふわふわり、ペコラは心底嬉しそうに笑った。その上、
「えらいえら~い」
背伸びして手を伸ばして頭まで撫でようとしてくる。
(あーくそ、なんだその顔)
思わずつられて笑顔になってしまいそうな唇をぎゅっと噛み、イダスはペコラの手から逃れて素早く一歩後退る。頭なんて撫でられてしまったら、照れくささで爆発してしまうに決まっている。
「いいからペコラは洗うための皿さっさと持って来いよ!」
「は~い」
逃げるようにシンク前に立ってスポンジを武器じみて掲げるイダスに、ペコラは元気いっぱいに返事する。やる気になってくれたイダスのためにも、洗い物のお皿をたくさん持っていこう。
腕まくりして店内を見回す。
「わぁ、いっぱいあるなぁ~」
お昼時を過ぎて、お客さんの波が過ぎた後の店内はまるで嵐のあとのよう。
食器を引く用の大きなトレイを両手に持ち、ペコラはお皿いっぱいのテーブルへと向かう。飲み残しの水が残ったコップも、ソースまで残らず平らげてくれたお皿も、焼いたチーズのカリカリおこげがこびりついたオーブンディッシュも、パンくずだけが残った籐籠も、ぜんぶトレイに重ねて乗せて、
(一気に運んじゃお~)
よいしょとトレイを持ち上げた途端、床に落ちていたスプーンに気づかず踏んでしまった。ぐらりと重心が傾ぐ。
「……おわ~?」
トレイに重ねたお皿が揺らぐ。慌てて体勢を立て直そうとして、
「わ~~~~!」
お皿が次々にトレイからなだれ落ちた。
「うぉ!?」
照れくさいからとなるべくペコラを見ないようにしていたイダスの耳を、ペコラの悲鳴と陶器が次々に砕けて割れる大きな音がつんざく。
「すげー音したな」
音以外にはさほど動じず、イダスは店の真ん中で立ち尽くすペコラを見遣る。
「オイ、何してんだよ」
「あ! イダス~、あのねぇ~お皿が~……」
割れちゃった~、と肩を落とすペコラの傍にイダスは立つ。おろおろと砕けた破片を拾い集めようとするペコラの肩を掴み、
「あー、あぶねえからあんま触んな」
乱暴な口調ながら、何でもないように言って割れた皿から遠ざける。キッチンの端から麻袋を取って来て、自分は素手で皿を掴んでは袋に詰めてゆく。ぽいぽいと手早く皿を片付けていて、
「……ッ!」
不意に掌に痛みが走った。掴んだ皿が床に落ちる。切れた掌に血が溢れる嫌な感覚を覚える。
(まあでもこの程度)
「うわ~! 切っちゃったの?」
(……ッ!?)
数歩後ろに遠ざけていたはずのペコラの悲しい声が思いがけず近くに聞こえて、
「大丈夫~? みせて!」
自分よりもずっと白くて柔らかな指が自分の手に触れた。途端、イダスは反射的にバッと手を上にあげる。ペコラの手が自分の手に触れることを回避する。
「こ、ここ、……」
きょとんとするペコラを見遣り、イダスは言葉に詰まった。知らず顔が赤くなるのが分かる。
「これくらい大したことねぇよ!」
「ええ……?」
怪我をして牙を剥く小犬めいて喚くイダスの手をペコラはじっと見つめる。傷を隠そうとするイダスの手からは抑えきれなかった血がボタボタと床に落ちている
「でもすっごい血が出てるよぉ?」
「イヤでもマジで大したことねえから!」
心配そうに、けれど的確に指摘され、イダスはぶんぶんと首を横に振る。
「敵を殴った時の方がヤベえし兄さんと修行したときに比べれば大したことねえって! こんなもんなめときゃ治る別にいい!」
一息に言って後退ろうとするイダスの腕にペコラは両手でしがみついた。
「ダメだよ~!」
「ッ……!」
皿の破片で怪我したときよりも切羽詰まった声にならない声をあげるイダスに、ペコラは必死で話し掛ける。
「だって今は敵襲でも修行でもないもん~! ボクが手当てしてあげる~!」
ペコラの全力の説得を受けながら、イダスは途方に暮れた。何故だかも分からないまま、ペコラに触られるのが気恥ずかしくて全力で逃げようとしていたのに、
(……けどなんでだ)
手を掴まれたら振り解けなくなってしまった。
(あーアレだ)
ペコラの必死なまなざしを受けた顔が熱い。触れられた腕から力が抜ける。まともに考えられないくらいに頭がふわふわする。
ふわふわする頭でイダスは考える。
(ペコラは弱ぇから払うと大変だからで)
考えようとする。
(……ああもうわけわかんねえ!)
思考能力が爆発して呆然とするばかりのイダスの腕を引き、ペコラは店番仲間に皿の後始末をお願いして店の奥に向かう。
「ちょっと抜けるねぇ~」
石壁に古びたタペストリーの掛けられた団員用の談話室に入る。大きなテーブルと木製椅子が十二脚置かれているキッチン側とは別、団員各々が持ち込んだ品物で溢れるふかふかの長椅子の端にイダスを座らせ、ペコラは棚から手当の道具を引っ張り出した。
ざっくり切れた傷口を手早く消毒し、包帯を巻きつける。
「……慣れてんな」
「ボクも自分で小さなけがすることがあるから……できたよ」
赤い頬に複雑な表情過ぎて怒っているような顔のまま、それでも大人しく手当を受けるイダスの指をペコラはそっと掴む。
「……ごめんね~、ボクがうっかりしてたよぉ」
「……別に大したことねぇし」
指を掴むペコラの小さな指を見下ろし、イダスは小さく息を吐く。この小さな手が、怪我をしなくて本当に良かった。
「あー……皿運べっつったのオレだし」
気にすんな、と言葉にする代わり、怪我していない方の手でペコラの頭を乱暴に撫でて、
「ありがとぉ~」
ふわりへにゃり、周りの空気まで和ませられそうなペコラの笑顔に、
「~ッ!」
忘れていた気恥ずかしさを思い出した。
強張ってますます怖い顔になるイダスを見上げ、ペコラは首を傾げる。
「まだ痛いの~? いたいのいたいの飛んでけ~!」
大真面目にイダスの怪我した手を取り、包帯の上からそうっとそうっと手を撫でると、イダスの顔はもっともっとますます怖くなった。頭を撫でる優しいけれど乱暴な手がますます乱暴になった。
「ぎゃ~~~~そんなに撫でたら~頭がゆれるよぉ~」
わしゃわしゃごしごし撫でられ、ペコラはおっとりと悲鳴を上げる。そうしてから、ふと気が付いた。後片付けを仲間に任せたままだった!
「はやく戻らないとねぇ。いこ~!」
大慌てで手当ての道具を元の場所に戻し、長椅子に座るイダスに手を差し出す。不思議そうな顔をするイダスに、ふわり、笑みかける。
「つなご~?」
こちらの混乱になんて気づきもしないペコラを見上げ、イダスはわけのわからない悩みを一先ず棚上げすることに決めた。
「しょ~~がねえなぁ!」
偉そうに言って立ち上がる。そうして、柔らかな小さな手を握りつぶしてしまわないよう、そっと握り返す。
「お仕事に戻るよぉ、今度は割らないようにがんばるぞ~」
「……おう」
ペコラがふわふわふわりと笑えば、イダスはニカリと笑う。だってふたりは、大切な仲間同士。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月29日
参加申し込みの期限
2019年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年09月05日 11時00分
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