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その傷に思う
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深くなる秋空の色を写し取った海に向かうその前に、ちょっと寄り道。
旧市街にあるお気に入りの駄菓子屋で買うのは、色とりどりの金平糖におはじきのように綺麗な飴玉。透明な小さな袋いっぱいに詰めてもらった甘いお菓子を鞄に仕舞いかけたところで、右手小指に巻かれた包帯が目に入った。
朝食の支度中、ぱちんと跳ねた油が指に触れた。思わず小さな悲鳴をあげると、揃って非番だった双子の弟が飛んできてくれた。
志鷹 若菜
は新緑の色した瞳を僅かに和ませる。
大丈夫だよ、と笑う若菜の手を取って水で冷やし、常備している救急箱を食卓に出してきて包帯を巻いてくれながら、弟は同じ新緑の色した瞳でどこか懐かしそうに微笑んだ。
──覚えているかな
彼が口にしたのは、ふたりがずっと幼かった頃の話。
──ふたりで留守番中、俺が欠けた玩具の角で指先を切ったことがあったよね
話を聞いてすぐに思い出した。
──救急箱片手に追い掛け回したっけ
中身を散らかしながら、消毒を嫌がって逃走する弟の名を呼んでは追いかけた。些細な傷も命に関わる事がある、という母の言葉を思い出したがゆえのことだった。
──すごく怖い顔をしていたから
──だって、すごく心配だったから
そんなこともあったね、とふたりで笑い合ううちに火傷の処置が終わった。丁寧に綺麗に巻かれた小指の包帯を眺め、ちょっと大袈裟じゃないかな、と呟けば、
──些細な傷も命に関わる事がある、だよ
弟はまた優しく笑った。
朝の出来事を思い出しながら、目的の海岸へと向かう。防風林を抜け、夏の賑わいを忘れたように閉鎖された海の家を過ぎ、人気のない秋の浜に辿り着く。涼しい風に緩く波打つ黒髪をなびかせ、静かに寄せる波の際に立つ。
(……確か、この辺り……)
あの子がいるよ、と弟が教えてくれた海を見渡す。
「ユニ君」
不思議な世界で絆を結んだ少年の名を、青い水の底に沈んだ世界から寝子島へとただひとりでやって来た少年の名を呼ぶ。
「ユニ君、」
繰り返し、その名を呼ぶ。名を口にするたび穏やかに凪ぐ海を見つめる。風の音の中に彼の声を探す。
「ユニ君」
「若菜」
思いがけず近く聞こえたあどけない声に瞬く。ゆらゆらと揺れる青い波の中、海より蒼い小さな頭が見えた。若菜が嬉しい笑みを浮かべる間に、十ほどの少年の姿した彼は海から姿を現す。
「ユニ君」
寄せる波に靴先が濡れるのも構わず、若菜は少年の小さな体を抱きしめる。海から上がって来たばかりの少年の身体は、冷たくはあれど不思議と濡れてはいなかった。
「久しぶりだね、ユニ君」
「うん」
「元気だった?」
「うん」
「……ずっと会いたかったよ」
抱き締めてくれる若菜の背中をぱたぱたと叩いていたユニの手がふと止まる。
「……うん。おれも」
小さく掠れる声とぎゅっと抱きしめ返して来る小さな手に、若菜は腕の力を強くした。
波打ち際に打ち上げられた流木の上、二人で並んで座る。
「これ、お土産」
若菜が取り出した飴玉の袋に、ユニはぱっと顔を輝かせた。
「ありがとう。前にもらったのもおいしかった」
早速金平糖を一粒取り出し、大事そうに口に含む。甘さに頬を綻ばせつつ若菜の手にも金平糖を乗せて、
「怪我したの?」
右手の包帯のことを訊かれ、若菜は小さく笑った。
「佑都が……弟が手当てしてくれた」
「前に一緒に遊んだよ、佑都!」
声を弾ませるユニに、若菜は微笑み返す。
「包帯、上手だね」
「佑都は患者さんを死の淵から救う救急の先生で、ただのお兄さんじゃないんだよ」
大切な弟のことを口にするとき、若菜の口調は知らず自慢げになる。
佑都とは双子であること、ふたりとも医者で、この島の総合病院で働いていること、自分は小児科の医師であること。
「ユニ君の様な子供達を診ているんだよ」
「お医者さんかあ。若菜も佑都もすごいねえ!」
蒼い髪を潮風に揺らして屈託なく笑う少年の横顔を若菜は見つめる。
「ユニ君、」
「ん?」
「今の生活はどう?」
己の世界が、己の街の人々が碧い水に溶けて消えてからも一緒に過ごし守り続けてくれていたアレス翁を喪って、ユニはこの寝子島に来ている。
だからずっと、心配だった。
(貴方も、……)
大切なひとを喪い、癒えぬ傷を抱えても笑みを浮かべ続けている。
結婚を考えた女性を病で亡くした弟の、それでも優しさを失わない笑顔がユニのそれと重なった。
(私に、出来るなら)
その傷を癒してあげられないかと、ずっと考えていた。
この島に来てからのことを、今の気持ちを聴かせてもらえないかなとの若菜の言葉に、ユニはまた笑う。屈託なく、ほんの少しだけ寂し気に。
「ともだち、出来たよ」
時々この海岸に来ては名を呼んでくれるのだという。
「若菜も来てくれる。あんまり寂しくないよ」
水平線を見遣るユニを、若菜はきつく抱きしめた。
「また来るよ。また会おうね」
約束、と指切りをしてからの別れ際、手製の巾着型のお守りを若菜は差し出す。袋には、水底の町で見た綺麗な花々と魚の刺繍。
「じいちゃんの鱗だ」
巾着を手にした途端、袋の中を見ずとも感じてユニは瞳を細めた。
「あとなんだろ、見てもいい?」
「うん」
アレスを少しでも傍に感じられるようにと忍ばせた蒼い鱗の他には、傷を治すお守りになるようにと可愛い柄の絆創膏も入れている。
お守りの中身を覗き見て照れくさいような嬉しいような笑顔になるユニをもう一度抱きしめ、若菜は重ねて約束をする。
「また、会いに来るから」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月29日
参加申し込みの期限
2019年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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