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その傷に思う
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秋晴れの空に涼しい風が流れている。
眩しく輝く午後の太陽を仰ぎ、
志鷹 佑都
は新緑の色を宿した双眸を淡く細めた。
同じ寝子島総合病院に勤め、同じマンションに暮らす双子の姉との休日が重なった午後、折角の快晴だからと街にジョギングに出た。
(……会えるといいね)
軽快な足取りで気ままに道を辿りながら、同じ頃に散歩に出た姉をふと思う。
いいお天気、と出掛けに空を仰いだ姉の手には、しばらく前から休日の度に針を使っていた巾着型のお守りがあった。姉の手で施された丁寧な刺繍には、彼女の優しい祈りがきっと込められている。
(きっと会えるよ)
駆ける道のずっと先、鮮やかに青い水平線が見えた。寝子島の海には、姉と不思議な縁を得、後に自分とも邂逅を果たした少年が居る。
息が弾む。鼓動と共に血が全身を駆け巡っている。
足を緩めた途端に噴き出す汗をランニングポーチから取り出したタオルで拭い、休憩のために近くの公園へ足を向ける。花壇と木々に囲まれた小さな公園の入り口、設置された自販機で飲料を買おうとしたところで、
「佑都お兄ちゃん!」
「こんにちはー!」
同じマンションに住む子らに声を掛けられた。ボールを手に駆け寄って来てまとわりつかれ、一緒に遊ぼうと手を引かれ、佑都は穏やかに頷く。本日のジョギングは三十分で終了としよう。
少しばかりの遊具と広場の他には申し訳程度のベンチがあるばかりの小さな公園であっても、ボール投げに追いかけっこに、子らは飽きることを知らないように楽し気な声をあげてはしゃぎまわる。それに付き合って遊ぶうち、一人の男の子が滑り台へと駆けて行った。悪戯な声をあげて階段を上ったかと思えば、次の瞬間には天辺の落下防止柵の外側にひょいと身を乗り出す。やんちゃな動きで柵を乗り越え、下で遊ぶ仲間を得意げに見下ろして笑う。
危ないよ、と近寄り注意しようとした途端、男の子が足を滑らせた。
「ッ……!?」
咄嗟に伸ばした両腕に男の子の身体を抱きとめるも、その衝撃に堪らず転倒する。男の子の下敷きになりながら、佑都は腕の中の子どもに怪我がないか確かめる。
「大丈夫?」
「……ごめんなさい」
しょんぼりと項垂れる男の子の頭を撫でてやろうとして気が付いた。片手をひどく擦りむいてしまっている。
ごめんなさいと繰り返す男の子や、心配顔で寄って来る子らに佑都は笑って見せる。
「大丈夫だよ」
だから向こうで遊んでおいで、と申し訳なさそうな泣き出しそうな顔をする男の子の背を怪我をしていない方の手で軽く叩き、佑都は立ち上がった。
子らの気遣わし気な視線に軽く手を振って応じ、水飲み場で傷口を洗う。ジリジリと痺れるように痛んで血を滲ませ続ける擦り傷に少し困りつつ、ポーチを開く。入れてあったはずの絆創膏が見当たらず、小さく首を捻って思い出した。そういえば先日、同じように子らと遊んでいたとき、転んで膝を擦りむいた子に使ってしまっていた。どうしたものかと血の滲む傷を眺める。
「よかったらどうぞ」
優しい声に振り向くと、見覚えのある少女が猫柄の可愛い絆創膏を差し出していた。
「君は」
幾度となく勤務先でカルテに書き込んだ名前を口にする。
「志鷹先生……」
以前、手首創傷と睡眠薬の過量服薬で救急外来に運び込まれてきた少女は驚いた顔の後、ほんの少し困ったような顔をした。
元気いっぱいに駆けずり回って遊ぶ子らの声を聞きながら、木陰のベンチに並んで腰を下ろす。趣味の編み物をしていたと言う彼女の脇には、毛糸と編み棒の入った小さな手提げがあった。
家庭の事情で祖母と二人暮らしをしているという少女の袖から、白い包帯が覗いている。
「……まだやめられないの?」
そっと訊くと、少女は小さく頷いた。でも、と呟く。
今はカウンセラーの助けもあって以前よりは自傷しなくなったのだと、搬送された際に大好きな祖母の涙を見て二度と薬は飲まないと決めたのだと。そう語る少女の掌が揃えた膝の上で拳になる。笑おうとして笑えぬ瞳が翳る。唇が引きつった挙句ぎゅっと噛みしめられる。
泣くことも笑うこともうまく出来ずに自傷を続けてしまう少女の背を、佑都は少女から貰った絆創膏を貼った手で擦った。
「生きる事は辛い。心の傷は簡単には癒えない」
けれど十代で命を絶ってしまうのは勿体ないよ、と祈るように言葉を紡ぐ。
「辛い時は無理しなくていい、もう充分頑張っているのだから。傷はゆっくり癒してゆけばいい」
震える少女の背中を宥めるように擦り、どこまでも穏やかに言い聞かせる。
「生きてさえいれば、いつか笑える日が来る」
語りかける。目の前の命に向けて心から祈る。
「大丈夫、」
肩を震わせ顔を両手で覆う少女に優しく微笑みかける。
「大丈夫だよ」
泣き腫らした瞳に秋空を映し、少女はどこかすっきりしたような表情でぎこちなくも微笑んだ。ごめんなさい、と詫びる彼女に佑都はもう一度、大丈夫だよと笑う。
「これ、よかったら」
手提げから小さな編みぐるみを取り出して差し出す少女の心遣いが、──生きていてくれることが、それがただ嬉しくて、佑都は笑みを深くした。
「ありがとう」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月29日
参加申し込みの期限
2019年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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