this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
その傷に思う
1
2
3
4
5
…
9
つぎへ >>
薄紅の花の色に染まる廊下を
御巫 時子
は急ぐ。
夕陽の色に染め上げられた白いうなじに三つ編みの黒髪を揺らして向かうのは、いつもと同じ理科室。放課後には、
五十嵐 尚輝
先生は大抵そこに居る。
(今日もいらっしゃるといいのですが……)
理科室の戸の前に立って、小さく深呼吸。とくとくと弾む胸を抑え、急いで歩くうちに乱れた黒髪を指で整え、カラリと戸を開く。
「今日は」
そっと声を掛けてみる。茜の色に染まる窓の向こう、大きな桜の樹が見えた。紅く色付いて秋風にさざめく桜の葉に目を奪われる。
「御巫さん」
涼しい風に揺れるカーテンの前に立ち、実験器具を片付けていた化学教師の穏やかな笑みに思わず見惚れる。
「片付けのお手伝いをします、尚輝先生」
見惚れてしまったことにまた胸を弾ませながら、時子は小さく頭を下げた。茜の廊下から理科室へと足を踏み入れる。
助かります、と微笑む尚輝先生に控えめに微笑み返し、時子は慣れた手で器具を壁際の事務用キャビネットに仕舞って行く。何度となく手伝っているため、どこに何を戻せばいいのかはきちんと把握している。
運動部の掛け声や吹奏楽部の演奏が秋風に乗って聞こえてきている。
深まる秋の穏やかな日差しが洗い立ての器具にきらきらと反射している。
開いた窓から流れ込む涼しい風に、ふわり、カーテンが大きく膨らむ。
静かな放課後の真ん中、大好きな先生とふたりきりで作業をしているのが不意に嬉しくなって、時子は小さく微笑んだ。
(来月は先生の誕生日ですよね)
何を贈ろうかな、と心を弾ませる。どんなものを贈れば先生は喜んでくれるだろうか。どんな顔で喜んでくれるだろうか。そんなことを考えて、キャビネットの前に立つ大好きな先生の背中を見つめる。
──と。
「っ、……」
ジリッ、と指先を痛みが突いた。視線を移す。指先から溢れ出る血に時子はぱちりと瞬いた。洗い場のシンクにぽたぽたと紅い血が落ちる。洗おうとしていた器具のどこかに引っかけてしまったのだと思い至って、時子はそっと息を吐いた。
(片付けに集中してなかったのが原因ですね)
うっかりしていた自分に気を付けましょうと言い聞かせ、血の滲む指先を抑える。このままというわけにはいかないけれど、幸い、尚輝先生は気づいていない様子。だって心配をかけたくない。
蛇口を捻り、シンクに落ちた血を流す。流水にそっと傷口を差し入れて血を落とす。冷たい水に指先が麻痺してくるものの、痛みは消えない。
小さな傷口のはずなのに溢れる血がなかなか止まってくれないことに少し焦る。先生がこっちに来てしまう。
「御巫さん?」
「は、はい」
呼びかけられ、慌てて顔を上げる。思いがけず近くに立っていた先生の姿にどきりとする。
「どうかしましたか」
「なんでもないです。大丈夫です」
冷やしていた指先を反対の手でぎゅっと掴んで隠す。
(私から片付けをしますと伝えたのに)
うっかり怪我をしてしまった自分が情けなかった。慣れていたつもりだったのに、失敗しないつもりだったのに。
(もし、もう手伝わなくていいと言われたら)
そんなことになってしまったら、とても悲しい。
三つ編みを揺らして首を大きく横に振る時子の隣、先生が立つ。後退ろうとして、先生と目が合った。思わず足が止まる。用事を思い出したとでも言い訳をして保健室で絆創膏を貰って来ようかと思ったのに、咄嗟に上手な嘘が吐けなかった。
先生は時子の背中をぽんと叩いた。流れるままだった水を止め、白衣のポケットから引っ張り出したしわくちゃのハンカチで時子の両手を包む。
「汚れてしまいます、尚輝先生」
「使っていないので汚れてませんから」
ふたり同時に口にした言葉が空中でぶつかって、ふたりは顔を見合わせた。
「痛かったでしょう」
気遣わし気な先生の言葉に、時子は睫毛を伏せる。怪我を隠していたと知って、先生は怒っていないだろうか。
「この器具の先に引っ掛けたんですね」
「先生、すみません……」
しゅんと肩を落とす時子の背中をもう一度叩き、先生は静かなまなざしで傷口を確かめる。物静かに、穏やかに笑う。
「僕もたまにやってしまいます」
「尚輝先生も……?」
しっかりしているように見える先生の言葉に、時子は目を丸くする。先生は怪我なんてあんまりしないものだと思っていた。
「血は止まっていますが、少し深い傷ですね」
ハンカチで結わえ、痛かったでしょう、と繰り返す。
「大丈夫です」
「きちんと保健室に行ってくださいね」
先生に心配を掛けたくないばかりに笑おうとして、先生に顔を覗き込まれた。その目に宿る真剣な色に時子は傷の痛みも忘れて瞬く。見惚れてしまいそうになって恥ずかしくなった。そっと視線を逸らす。
「片付けの後のコーヒーをお淹れします。今度はうっかりしないので、」
「それよりも先に保健室に行ってください」
言葉を遮るように断固とした口調で言われて俯く時子に、先生は笑った。
「コーヒーは僕が淹れておきます。ここで待っていますから」
1
2
3
4
5
…
9
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
その傷に思う
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月29日
参加申し込みの期限
2019年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!