ボイスコンテンツ搭載！　大きな声を出そう！｜リアクション

ボイスコンテンツ搭載！　大きな声を出そう！

5

　混乱の様子は、修たちが遊んでいる場所まで拡がっていた。
　ブロックがあたりを飛び交う。
　激突したブロックが崩れ、大きな声が響き渡る。
（猫がおびえてしまうな･･････）
「ワッ！　流れ弾が飛んできた！」
　飛んできた文字ブロックに、英二は「ワ」と驚く。
　そのにょっきり伸びた「ワ」を片手にして、飛んでくるさまざまな言葉を、まるでスカッシュのように片端から打ち返す。
「ふぅ･･････とっさに“ワ”で防御できてよかったよ」
　汗をぬぐう英二に、ののこが「すごーい！」と拍手をおくる。
（やるしかないか･･････）
　修が立ち上がり、状況を把握すべく、その場から離れる。
　猫や級友も気にはなるが、あの同級生がいれば、守ってくれるだろう。
　状況を把握し、事態の沈静化を図る。なるべく速やかに。
　それは、自分に課せられた使命だ。

「やめてもらえるとありがたいんだが･･････」
「それで、はいそうですって、やめると思うの？」
「･･････聞く相手ではないね」
　ため息を漏らす修。
「イイ男だから、聞いてあげたい気持ちもなくはないんだけど･･････なんたってあたし達、むしゃくしゃしてるから」
　祖麩羅野がニヤニヤ笑う。

　相手の注意はこちらに向いている。
（計画通り）
　修は頷く。最初から挑発的な言葉をぶつけ、相手の注意を向けていたのは理由があるのだ。
　敵の背後の、民家の屋根。
　瓦葺きの、陽光に照り映える深紅の屋根の上に、立ち上がる人影。

　姿は判然とはしないが、おそらく自分たちの切り札となる人物。
　
　逆光を背に立つ好男子。
　彼こそが、この状況を捨て置けぬと立ち上がった、志波拓郎だ。