ボイスコンテンツ搭載！　大きな声を出そう！｜リアクション

ボイスコンテンツ搭載！　大きな声を出そう！

　にやりと笑う祖麩羅野。
　ミスターレディーの彼女、傷つけられる言葉を受けることもあっただろう。
　言葉で傷ついた自分が、言葉で他人を傷つけたということを顧みたようだ。

「めー」
「めー」
「めー」
　動けない場末に、舞華はダメ押しの羊ボイスを繰り出す。
　相手を柔らかく包み込む毛玉の声で、場末はすっかり眠り込んでいる。

「ちょっと、これで終わりなの？」
　悲鳴のような声が手那から上がる。
「有戸、あんた小娘に『普通の人間だ』とか言われてて満足？」
「いや、俺は普通の人間だよ」

　何やらつきものの落ちたような、さっぱりした顔で言う有戸。
「有戸･･････」
「普通の就職とか、なんかイヤでさ。なにかスゲエことができる、なんて考えてたけど･･････でも、俺は普通の人間なんだ。
　親父の後を就いて、職人になる。遊び歩くのは、今日で終わりだ」
　なぜか心のろっこんが、一人の青年の行方を指し示したらしい。
「有戸･･････」
「手那、そしたら俺と一緒になってくれ」
「――有戸、その前にもう一つ。あたいも、夢が見つかった」
「夢？」
「あたいも、ボイスアクターになりたい。･･････変かな？　マタ工出のヤンキーが、ボイスアクターなんて」
「手那･･････」
　
　有戸と手那、二人の言葉を、思い思いに聞く一同。
　なんだか、自分たちの戦略によって、チンピラを撃退しただけでなく、更正までしてしまった。

　そんな二人を見つめる、祖麩羅野の目は優しい。
（そういうことか……）
　一同は勘づく。
　何事もうまくいかない仲間たち。
　そんな彼らが暴れるのを、祖麩羅野もかわいそうに思いながら、持て余していた。
　荒れる彼らの気持ちも、わからなくはない。
　大音量を技をもつ祖麩羅野が、積極的に攻撃をしなかったのも、内心自分の後輩の更生を願っていたからだ。

「礼を言わないといけないかしら」
「このまま引いてくれると助かる」
「あんた、いい男ね。こんどデートしましょ」
　祖麩羅野は修にウインクし、三人を軽々オープンカーにのせて、走り去った。

（……終わった、かな……）

「『やんちゃするのは結構だけど、他の人の迷惑にならないようにね』」
　しっとりお姉さんボイスで叱り、舞華は周囲の人間にのど飴を配った。

　状況が終了したと見て、屋根からそっと飛び降りる拓郎。
　いずれこの混乱も収束するだろう。
　コメディエアーの作用により壊れた建物も直る。
　自分も退散することにしよう。
「と、その前に……」
　目当てのたい焼き、チョコ、クリーム……いや、今日はカスタードだ。
　それに、少しのども乾いた。たい焼きの前に、スポーツドリンクでのどを潤しておきたい。
　拓郎は、さっそうと駆け出した。

　後日。

「ね、英二くん。私たち、昨日声ブロックであそんだよね」
「いや、なんの話かな。夢でも見てたんじゃないのかな」
「……後頭部怪我してるんだけど」

　何度言っても、頑強に「声ブロックの話は夢である」と譲らない英二。

　世界はこうした「普通」の人たちの力で、支えられている……のかもしれない。
　

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あとがき

担当マスター：ぱーすぺ
ファンレターはマスターページから！

ありがとうございました！
ボイスコンテンツ搭載という冗談からスタートしたガイドでしたが、バトルに日常といろいろな内容のアクションができました。
バトルも単に打倒するだけではなく、パフォーマンスや相手に対するコミュニケーションなどがあり、
とてもらっかみらしいものに成っていたと思います。
では、また機会がございましたら、よろしくお願いいたします。

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