「あー、退屈だね」
最近の
ののこは、なんだかアンニュイだ。
季節はもう秋。
時のたつのは早い。やらなきゃならないことは一杯なのに、なにから手を付けたらいいかわからない。
なんかやきもきする。
「うわー!」
そう絶叫する。
その瞬間。
「う」と「わ」と「ー」が、空中に生まれる。
「あれ」
ふよふよと降りてくる「う」と「わ」をキャッチするののこ。
「う」をうまく放り投げると、ブーメランみたいに戻ってきた。
「へんなの」
声が固まってしまう。夢かな?
――なんか、変わったことがあるかも。
「う」「わ」を片手に、ののこは町に飛び出した。
「ふふふん」と鼻歌が漏れ、その「ふ」「ふ」「ふ」「ん」を足下にこぼしながら。
* * *
「ふむ」
固形化した言葉をじっと見つめて
檜扇 舞華は考える。
ボイスアクトレスである彼女は知っている。
声はデリケートな道具だ。メンテナンスにも使用にも、プロの手が必要。
「もし、変な奴らが声を使って、争いを始めたら・・・・・・」
ひときわ流麗な
「にゃー」を片手に、舞華は顔を上げた。
「私が始末しなければならないかもしれませんね」
* * *
(ふーん、声が形になる現象・・・・・・)
ぼんやりPCの画面を眺めて、
小山内 海は考える。
新しい現象が、話題になっているらしい。
(でも、自分には関係ないかな)
声が出せない自分。
せっかく楽しそうな現象でも、自分にはあまり意味がなさそうだ。
(はあ)
おもわずため息がでる。
すると、空中に生まれる
「は」と
「あ」のブロック。
(ブロックが生まれる?)
ぽとぽと足下に落ちる「は」と「あ」を、海は見つめた。
自分の、思ってもいない声の形。
色とか付けてみたら、どうだろうか?
* * *
「おらおらおら、さっさとどきやがれ!」
「声ぶつけるぞ!」
旧市街では、今時めずらしいくらいの不良が、大声で暴れ回っていた。
具現化した声をつかんで、あちこちに放り投げる。
あわてて住人達が顔を伏せる。
「どんな理由かわかんないけど、大声を相手にぶつけられるんじゃん。
ちょっとオオアバレしてみたい感じよねぇ・・・・・・」
不良のリーダー格が不適に笑う。
「なんか、私のろっこんと同じような現象が起こっているみたい・・・・・・」
乱暴狼藉の有様を、じっと見つめる、
晴海 飛鳥。
「だけど、使い方は素人同然。
その声の使い方は、私が遙か昔に通過したところだわ」
飛鳥のろっこんは、声を具現化する。
その上で、高速で打ち出すことができるのだ。
「本当の声の使い方、見せてあげる!」
檜扇 舞華さま、小山内 海さま、晴海 飛鳥さま、ガイドのご出演ありがとうございます。
ご参加頂ける際は、、ガイドに関係なくアクションをおかけください。
ぱーすぺです。ついにらっかみでもボイスコンテンツ搭載ですよ奥さん。
え、そういうことじゃない?
●大声をだすと声が固まります
投げたり、くみ上げたり、好きに使ってください。
形や重さなどは、自由に設定できます。
●壊すと声が再生されます
色を塗ったり、料理しておけば、声が優しくなったり、明るくなったりします。
●何かの理由で声の出ない人
思っているだけでも声のかたまりはできます。
壊すと声が出るかもしれません。
●NPC
ののこがふらふらしています。からんであげるとよろこぶ。
●チンピラ
マタ工OBのチンピラが、旧市街で大声を出して暴れる事案が発生しています。
・祖麩羅野
「あら、カワイイじゃない」
オネエ系のチンピラ。
高音を相手に飛ばして来ます。
・有戸
「ふん、遊んでやるぜ」
細身の日焼けしたチンピラ。
鋭い高音を手にして殴ってきます。
・手那
「マジうざいんだけど」
小柄な女性のチンピラ。
低音をたくさんばらまいてきます。
・場末
「いっちょ、遊んでやるか」
大柄の太った男。
ドスのきいた太い声で重量爆撃を仕掛けてきます。
街中ではコメディエアー発生中で、多少壊れても平気です。
ガイドは以上になります。