【体育祭2nd】アニマル☆スター、熱く翔る！｜リアクション

【体育祭2nd】アニマル☆スター、熱く翔る！

【Ｃ】当日フリー。各種競技、イベント、お弁当など
　百メートル走
　嘉渡洲稀跡はがらんとした教室にいた。灰色の長い髪を後ろに束ねて結び、白虎を模したパーカーを羽織る。着心地を確かめるように身体を左右に捻った。
「問題ないわ」
　教室のドアに手を掛けた瞬間、動きを止めた。背中のフードを引っ掴んで頭に被ると獰猛な眼が現れた。額には丸みを帯びた黄色い輝石が嵌められていた。
　淡々とした表情で稀跡は教室を後にした。
　競技が進むに連れて観客の声援が高まる。稀跡がグラウンドに姿を見せると子供達を中心に大きな声を掛けられた。
「白いトラさんだ！」
「宝石みたいなのがあってカッコイイ！」
「動物園で見たことある！　ホワイトタイガーだよ！」
　腕白そうな子供の一言に、そうなんだ、と一斉に声が上がった。
　耳にした稀跡は、白虎よ、と口にしたが賑やかな声に掻き消されてしまった。
「……いいけどね」
　稀跡はスタートラインの際に立ち、緑色の目でゴールを眺める。
「白猫組ー、頑張れー！」
　恵御納夏朝は同じ組を応援した。にゃーばんくるの仮装を駆使して、その場を盛り上げる。コミカルな動作で背中の金色の翼が大きく羽ばたく。
　稀跡は夏朝に向かって軽くお辞儀をした。
　スターターの姿を見て各々が構える。稀跡は立った状態で少し上体を傾けた。手と脚を感覚で開く。
　発砲音と共に全員が飛び出した。稀跡は涼しげな顔でゴールまで走り切った。着順は四位であった。
「順当ね」
　周囲の激しい息遣いを余所に稀跡は短い感想を口にした。
　チアガールとして応援していた雨崎楓香はポンポンの手を止めた。
「マイペースなところが稀跡ちゃんらしいよねぇ。でも、四位は凄いよね？　九人で走ったんだから上位じゃん！」
　楓香はクラスメイトの健闘を讃えるように激しく踊る。目にした稀跡は、ありがとう、と優しげな目で呟いた。