土曜日の午前の時間帯、寝子島高校の第一グラウンドでは体育祭に向けた自主練習が盛んに行なわれていた。専用のユニフォームを着た集団は本番さながらの走りで精を出す。
ランニングウェアに身を包んだ
雨崎 楓香はグラウンドの空いたところを探す。フェンスに目が留まり、軽い足取りで向かう。
「真面目だよねぇ」
蜂蜜色の目で周囲を窺う。自然に口角が上がった。
フェンスの端に着くと靴先で線を引いた。速やかに両手を突いてクラウチングスタートの姿勢になる。
僅かに口が動いて楓香は飛び出した。一気に加速して十数メートル辺りで、ふっと力を抜いた。
その後もロケットスタートを繰り返す。
前髪が汗で湿ってきた。軽く流していた楓香は青い空を眺めた。
「あたしも真面目だよねぇ」
微かな笑みでスタートラインに戻っていった。
黒いジャージ姿で
穂村 敦は海岸線の道を走る。風に靡く一つ結びの髪は情熱の色を纏って燃えていた。
「体育祭は戦いだぜ。絶対に負けられねえ」
決意を口にして速度を上げた。
エノコロ岬を越えると右手に寝子ヶ浜海岸が見えてきた。
徐々に速度を落とし、歩きに変わる。首に下げたタオルで顔の汗を拭った。持参したペットボトルを口に咥え、喉を鳴らして飲んだ。
「生き返るぜ」
口の端をタオルで拭って横手に目をやる。防風林の合間から白い砂浜が輝いて見えた。波打ち際では子犬を散歩させている若い女性がいた。
「あれも、そうなんだな」
砂浜の中央には四人組がいた。三人の男子は馬となって
七音 侑を支える。
「全速前進!」
侑の指示を受けて馬は全力で駆ける。
「右旋回!」
誰一人、足を滑らせることなく切れのある動きで右に曲がった。
「敵の様子を確認して!」
馬となった者は仮想の敵の位置を手短に伝える。
「良い感じだね。前よりも連携が滑らかだよ」
騎手役の侑は無邪気な笑顔を見せた。
道で眺めていた敦は再び走り出す。
「……負けられねえ」
その言葉が引き金となり、全力の走りを見せた。
――秋で最も
熱い一日が間近に迫っていた。
寝子高の体育祭を丸ごと描き切る、楽しみ尽くす! 盛りだくさんのシナリオです!
実行委員も、そうでない生徒も、寝子高生以外の人も、誰でもウェルカム!
前日までの準備や練習、当日の各競技、応援、運営、お手伝い、放送、そして片付け、打ち上げまで!
運動の得手不得手に関係なく、青春の一ページに欠かせないこのイベントをみんなで楽しみましょう♪
今年のテーマは『アニマル☆スター、熱く翔る!』
さあ、アニマルの星となって、熱く、翔るのです!!
雨崎 楓香さん、穂村 敦さん、七音 侑さん。ガイドの登場ありがとうございます。
ガイド本文はイメージですので、アクションでは自由にご投稿ください。
体育祭シナリオの楽しみ方
アクションは以下の【A】~【E】のうち、1~2つに絞って投稿してください。
NPCは、不自然でなければ誰でも絡むことができます(特定のマスターさんのNPCは除きます)。
ろっこんは基本的に使えませんが、笑って楽しめる範囲(勝敗に関係ない場合)では使えることもあります。
【A】開会式までの様子(準備や練習など。数日前から直前まで)
寝子高生はもちろん、子供や大人も自由な発想で投稿してください。
<例>
・リレーの選手に選ばれちゃったから、練習するぜ!
・実行委員になってみたけど、えええ?(野菜原ユウが原因のトラブルは確定ロールOK)
・テーマに沿ったクラスTシャツを作ろうぜ~♪
・当日の朝。徒競走で1位になったらあの娘に告白! 緊張するぜ……。
・転校初日。え、今日体育祭なの? アニマルスター? なんだこの学校は!
【B】ネココー式借り物競争
寝子島全体を使っての借り物競走です。
アニマルカードを渡されたため、強制参加という扱いです。
寝子高生以外の方は「黒猫組、白猫組のどちらを応援しているか」を書いてください。
得点が応援している組に加算されます(記述がなければランダムに割り振られます)。
●1.借りるモノを決定
コメントページで発言して出た、サイコロの右の目が、借りるモノです。
借りるのに苦労するモノもあるかもしれません。交渉したり自腹を切ったり、とにかくがんばって♪
<借りるもの>(返すべきモノは返して、食べるべきモノは食べてね♪)
・黄色の1:【宇宙琥珀糖】(雑貨屋『Walpurgisnacht』)
・黄色の2:【ヤギ】(またたび市動物園)
・黄色の3:【カニ】(寝子島マリンパラダイス)
・黄色の4:【漫画か小説】(喫茶『しゃのわぁる』)
・黄色の5:【カプギアのパーツ】(『なみなみ児童公園』で中古パーツのフリマ開催中)
・黄色の6:【にゃんこパンケーキ】(ゲームカフェ『Hideout』)
・白の1 :【寝子島ちくわ】(魚屋『魚新』)
・白の2 :【ドイツの置物】(欧風料理店『Mahlzeit』)
・白の3 :【トルコの置物】(ドネルケバブ『Gule gule!』)
・白の4 :【映画のパンフレット】(ミニシアター『Lumiere』)
・白の5 :【サンマそば定食】(蕎麦屋『すすきの』』)
・白の6 :【黒猫のこしあん】(校長室……にはいません。探してね♪)
●2.借りてきて、走る
目的地までは、自分の足で走るのはもちろん、乗り物を利用するのもOK。
※各コミュの関係者PCさんは、シナリオに参加されていない限りは登場しません。
借りたモノを身に付けたり連れ添ったりして、第一グラウンドを一周します。
(食べ物ならこぼさないように、ヤギなら手綱を引く、など)
ゴールには『借り物大魔神』という謎の人物が控えています。大柄でジャージ姿、
顔の半分はマスクで隠れていますが、怒ると「このバカタコがっ!」と口癖が飛び出します。
役割は得点の判定で「着順、借りてきたモノが正しいか」などを採点して、各組に加算されていきます。
【C】当日フリー。各種競技、イベント、お弁当など
100メートル走、組対抗リレー、フォークダンス、応援合戦など一般的なものは大抵あります。
自由に出場したり、応援したり、サポートしたり、食べたり、サボったりする様子を投稿してください。
リレーでアンカーを任されたり、先生に怒られたり、多少の確定ロールは大丈夫です。
やり過ぎの場合は調整させていただきますので、安心してアクションに情熱をドバドバと注ぎ込んでください。
(学科対抗リレーは別シナリオになります。本シナリオでの描写はありません)
<例>
・リレーでアンカーを任されたオレ、緊張して転んでもすぐ立ち上がるぜ!
・いちゃつくカップルを尻目に、せっせと用具運びに撤する実行委員のわたくしなのです。
・弁当忘れたからみんなに一口ずつもらいにいこうっと。ついでに友達を増やすぞー♪
・体育祭? やってられっか! 屋上で煙草でも吸うかー。げっ、バカタコが……!
・転校初日。え、何この人。こっちの人もアニマル。なんだこの仮装している生徒達は!
【D】騎馬戦
体育祭の伝統にして目玉イベント、全校生徒による最終競技です。
寝子高生以外の方は、応援や観客、お手伝いなどを行うことになります。
黒猫組と白猫組、それぞれで自由に騎馬を組み、
相手から獲得した黒と白のハチマキの数で「得点」を競います。
<騎馬の役割(ポジション)>
・騎手(上/1人)
・馬(前/1人)
・馬(横/2人)
・馬(後ろ/4人組の場合は0人、5人組の場合は1人)
「後ろ」は、後ろから騎手を支える役。手でお尻や腰を支えたり、頭で肩車のように支えたり。
馬役の性別は不問ですが、『騎手は女性が務める』ことが伝統であり規則です。
ただし、フジコ先生のように心が女性であれば、身体的に男性でも騎手になれます。
騎馬のメンバーや役割は、生徒が自由に組んだり、何故か先生に勝手に決められてしまったり。
プレイヤーとしては、自由に決めてアクション投稿することができます。お好みの設定でどうぞ。
組む相手が決まってないままでもOK。その際は、マスター側でチームの調整を行います。
※NPCと同じ騎馬を組むことを希望することはできます。
ただし、重複した場合などは希望通りになりませんのでご注意ください。
<騎馬の失格条件>
・騎手のハチマキが奪われる(相手のいないときに外したり、付け直したりはセーフ)。
・騎手が落ちる=体の一部が地面に触れる(自ら落ちてもアウト)。
・反則行為が発覚する(審判団が目を光らせているので隠れて実行することはできません)。
※反則とは『殴る、蹴る、頭突き、などの行為』で、馬の体当たりや押し合いは反則になりません。
競技途中で出撃する『チーム体育科先生ズ』が持つ真紅のハチマキは、ボーナスハチマキで得点3倍。
『ボーナスハチマキ』は手に入れても終わりません。試合終了まで騎馬同士で奪い合います。
<今年のチーム体育科先生ズの騎馬構成>
・馬(前):吉田 熊吉先生→至近距離からの必殺技『ベアタックル』が強力。
ただの脳筋。・馬(右):浅井 幸太先生→童顔だけど、脱ぐと凄い。筋肉質。
・馬(左):フジコ先生→特別助っ人。実家の酪農で鍛えた足腰は伊達じゃない。そしてフジコブレス。
・騎手:相原 まゆ先生→小柄な体を活かして敵の攻撃を掻い潜る。スピードタイプ。
【E】閉会式とその後の様子(片付けや打ち上げなど)
閉会式での勝敗発表、その後の片付け、打ち上げとまだまだ続きます。
友達や恋人、家族との交流、ご自由にどうぞ。
今回は実行委員長の野菜原ユウが打ち上げ会場を用意したようなので、
特に参加する打ち上げグループのない方は、ぜひお越しください。
と言いましても、押えていたはずの会場は日にちを間違えていました。
そこで近所の公園に集まってシートを敷き、お花見のようにワイワイやることになりました……。
<例>
・勝ってたらあの娘に告白。負けてもあの娘に告白!
・片付けを手伝います。実行委員の彼がずっと大変そうにしてたのをそばで見てたから。
・ユウくん、どこまでトラブルメーカーなのよ。仕方ない、手伝うか……。
・転校初日。え、これが打ち上げ? なんだこの楽しすぎる学校は! 来てよかった!
細々とした説明は以上になります。皆さん、目は大丈夫ですか? 適当に目薬をポチョンしてくださいね。
まあ、簡単に言いますと、アニマルスターになって熱く翔ければいいんだよ、ってことです(剛腕)。
秋の気配を熱風で吹き飛ばす、そんな記憶に残る一日にしましょう(ご参加、お待ちしています)。