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今宵の月も
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蔓薔薇の絡む黒鉄の門がゆっくりと開いて行く。
「ここは……」
小さく呟いて、
アルレッテ・ザメニス
は夕陽の色した瞳を細めた。中天に輝く月より白い髪を揺らして首を傾げる。
「どこかな」
周囲を見回しても、占めるのは暗闇ばかり。正面に月を掲げる白銀の城がそびえるばかり。
居住する星幽塔でも、時折迷い込む寝子島でも見た覚えのない景色の中、けれどアルレッテは慌てることもなくただ静かに佇み続ける。
(夢遊病ではないと思うんだけど)
のんびりと瞬く。知らない場所に知らないうちに立っていて、こういうときに隣に彼が──
レイリー・マクティーラ
の姿が見えないとどうにも落ち着かないけれど、
(待っていればまた迎えに来てくれるかな)
いつも、いつだって彼は助けに来てくれた。今度だってきっとそのうち怖い顔をして助けに来てくれる。そうしてどうしようもなく優しく笑いかけてくれる。
月の城をのんびり眺めて待ちの姿勢に入りかけたところに、
「待ち人はきっと来ないわよ」
黒いドレスの女が星型の角灯を手に現れた。どこか寂し気にも見える女悪魔から夢の中の事情を聞きだして、それでもアルレッテは戸惑うことも怒りを覚えることもなく、むしろ楽しそうにおっとりと微笑む。
「……なるほど、そういうことなら」
城に囚われているという『大切なひと』が誰であるのかなんて、決まっている。
「レイは迎えに来てくれなさそうだなぁ」
ふふ、と笑みが零れる。いつもは王子様のように雄々しく助けに来てくれる彼が物語のお姫様のように囚われているパターンは今までになく新鮮で、うっかりワクワクしてしまう。
(私が迎えに現れたら、レイはどんな顔をするだろう)
そう考えただけで楽しくなって、アルレッテは女悪魔から『夢の灯火』なる星型のランプを受け取りながらまた笑った。
「それじゃあちょっと行ってくるね」
優雅に手を振る、お姫様のようにも王子様のようにも見えるアルレッテに、女悪魔は行ってらっしゃいと手を振り返した。
来客を怖がらせるような黒い悪魔のドアノブを手にして重厚な扉を引き開ける。城内にひしめく暗闇を手にした角灯の光で怖れることもなく押しのけ進む。背後で扉が軋んで閉まっても光の届かぬ廊下の隅で見えないナニカが蠢いても、驚きはすれど慌てることなく、アルレッテは闇を踏みしめ先に進む。
(なんだか)
焦ることもなく、光の輪に捕えた扉をひとつひとつ開いては部屋の中を確かめる。ゆっくり確実に『大切なひと』を探しながら、アルレッテは尖った耳を小さく震わせた。
(やっぱり落ち着かない)
周囲を見回して、ついでに真っ暗闇な窓の外を音もなく横切る大きな蝙蝠の影に小さな声を上げる。そうして、また笑う。
(レイに話す冒険がまた増えた)
『大切なひと』の金色の瞳がふと浮かんで、思い当たった。
(ああ、そうか)
落ち着かないのは、月がここにないからだ。
女悪魔は、ここが夢だと言っていた。それならば、とアルレッテは己が祈り捧げ続けてきた月に祈る仕草をする。己の神である月を思い浮かべながら、もうひとつ、天に浮かぶ月とは別の月の光を想う。いつだって己を見つめてくれる、焔を宿した金のまなざし。
(綺麗な綺麗な、レイの瞳)
緋の瞳を伏せて祈る。瞼の裏さえ照らす光を感じて眼を上げれば、星の角灯に煌く光は鮮やかに燃える金色の月の色してアルレッテの道を照らし出していた。
(怖い事なんかどこにもない)
だってこれは、レイリーに至るための道だ。
レイリーの瞳の色と満月のかたちした光に導かれるまま、アルレッテは真っ暗闇な廊下を進む。
(ああでも、)
くすり、心配性なレイリーを思って笑みさえ零す。
(あんまり時間をかけすぎると心配するかな)
瞼を開いているのかいないのかさえ分からぬ暗闇の中、レイリーは月の色した瞳を幾度となく瞬かせた。
(どこだここ?)
暗闇の中に感じるのは、鉄と煉瓦のにおい。星幽塔の自宅のにおいではない。アルレッテが営み、よく店番を任される店のにおいでもない。
(そもそも寝てた筈だろ)
頭を過るのは、こういう不思議な出来事の折には大抵傍に居る白銀の髪の元神官。
「……アル?」
名を呼んでも応えはない。そもそも彼の気配を感じられない。
(ああ……)
見知らぬ暗闇に彼がいないことを安堵すればいいのか、側にいないことを不安に思えばいいのかさえ分からなくなって、分からないことにすら苛立って、レイリーは舌打ちする。
(くそ、落ち着かねえ)
狼のかたちした黒い耳をそばだてる。イヌ科の獣と同じに効く鼻に神経を集中させる。匂いの感じられる範囲には、
(……いないか?)
万が一にでも、微かにでもアルレッテの気配がすれば飛び出して迎えに行ってやらねばと眉間に皺を寄せつつ、レイリーは深く呼吸をする。
(とりあえず落ち着こう)
近くにいないにしても、アルレッテがこの変な場所にいる可能性はままある。
(とにかく)
いるかいないか確かめるためにも、ここを出なければ話にならない。
暗がりに手を伸ばす。手探りでいちばん最初に触れたのは、煉瓦造りの冷たい壁だった。片手を壁に触れさせ、壁伝いに歩く。壁よりも冷たい鉄の扉に触れたところで足を止める。両手で扉に触れ、金属の取っ手を探りだす。鍵がかかっているのか、どれだけ力をこめても回らぬ取っ手に息を吐くと同時、力任せに扉を蹴る。
硬い音が響くも開きも壊れもせぬ扉に鋭く舌打ちし、暗闇に視線を巡らせる。獣のようにそう広くない部屋中を歩き回り、床に鍵でも落ちていないか探る。壁に何かしら掛けられていないか指の感覚を頼りに探す。
隅々まで一巡りしても、何も見つかけられなかった。
舌打ち交じりにまた扉を蹴る。苛立ち紛れに扉を殴る。
音ばかりが響き渡ることに、身動きが取れぬことにますます腹が立った。額を扉に打ち付ける。
(俺が、アイツを探しに行ってやらねえと……!)
力の限りに鉄扉を拳で打つ。助走をつけて微塵も躊躇わずに体当たりをして床に転がる。身体がどれだけ痛んでも構わずどうにかして扉を開こうとして、けれどかなわない。何十回めかに扉にぶちかましをかけて石床に打ち返され、軋む身体で起き上がったとき、──軽やかな足音を聞いた。
なにものも恐れぬような、むしろ事態を楽しんでいるような呑気な足音に、聞き覚えがあった。
「アル!? いるのか!?」
「レイ?」
声を掛ければ、すぐに返事があった。格子のかたちして光が床に落ちる。
「やっと見つけた」
扉の上部に据え付けられた覗き窓に琥珀金の光が揺れる。光の隣に探しに行くはずだったアルレッテの微笑みを見て、レイリーは眩しさに瞳を細めた。聞こえる声に緊急性は感じられない。ということは、
(案外外は平和なのか?)
それでも油断はしないに限る。扉に張りつく勢いで格子に手を掛け、光とアルレッテの隙間から扉の外へと気を配ろうとした途端、どれだけ苦労しても頑丈で開かなかった扉が音もなく開いた。
闇に占められていた視界に光が広がる。光の中にまろび出ながら、眩しさに瞳を細めながら、レイリーは手を伸ばした。眩む視界の中、繊細な指が手を掴んでくれる。光と共に濃くなる嗅ぎ慣れたにおいに、指に触れる体温に、どうしようもなく安堵を覚えた。
「アル、無事か」
アルレッテの存在を確かめるようにその白い頬を両手で挟み込む。どこにも怪我がないか検分する。
「ふふ、別に何もないってば」
「何もねえならいいけど」
「やっぱり君は心配性だなぁ」
くすぐったそうに笑いながら、それでも両手から逃れようとはしないアルレッテに、レイリーは重ねて問う。
「お前も閉じ込められて出てきたのか?」
よく無事だったな、怖い思いはしていないか、──心配性なレイリーに矢継ぎ早に問われて、アルレッテは返事の代わりに静かに笑んだ。つと指を伸ばし、レイリーの唇を指先で塞ぐ。
「ねえレイ、今日は私から言わせてね」
レイリーの瞳と同じ色した夢の灯火の光でレイリーを照らし出せば、レイリーは小さく首を傾げながらも口を閉ざした。真直ぐに見つめてくるレイリーの瞳を、アルレッテは見つめ返す。見つめても微塵も逸らさず見つめ返してくれるレイリーに、アルレッテは心底安堵した。
(私は、側にいてくれるだろうと君に尋ねるばかりで)
自分から願ったことはあまりなかったように思う。
(ねえレイ、聞いてくれるかな)
その願いを口にすることは、ほんの少し勇気が要った。元の世界に居た頃、──月の神殿に神官として生活の全てを祈りに染めていた頃は、己のための願いを口にすることはひどく憚られた。
(……でも)
祈るように、アルレッテは唇を開く。黄金の月のようなレイリーの瞳を見つめる。
「今日も、私の月は綺麗だ」
──この国では好きを月が綺麗ですねと言うらしいよ
アルレッテの言葉を耳にすると同時、レイリーが思い出したのは、以前迷い込まされた一面の砂漠でアルレッテが教えてくれた言葉。
(ああ、)
あのとき、言葉の意味を教えてくれたアルレッテの心のうちをレイリーは理解する。理解して、笑う。
「ずっと側にいてね」
アルレッテの指先が唇から離れた。
「……いるって、言ったのに」
あのときは眩しすぎて見つめていられなかった月の神官の瞳を今度こそ見つめる。言われなくとも傍に要るつもりではあったけれど、まっすぐに求められたことが今は嬉しかった。だから笑う。月の如く美しい神官に手を伸ばす。
「今更過ぎるだろ」
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
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