this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
今宵の月も
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
…
32
つぎへ >>
──月の夜の夢
「貴女の愛を、見せて頂戴」
黒いドレスの女悪魔の囁きに、
シャロン・ナイトプレッジ
は夜色の瞳を瞬かせた。
銀髪の女悪魔とは、この夏に顔を合わせている。あのときの舞台は寝子高校だった。悪趣味な牢に囚われ、露出過多な衣装を纏った彼女に切ない恋の歌や劇を見せろとせがまれた。
「切ない恋の次は愛が見たいの?」
先の衣装とは真逆な指先から爪先まで覆う黒衣を纏った女悪魔から星を象った角灯を手渡されるまま、シャロンは小さく頷く。
「……分かったわ」
私の愛は貴女の為ではないけれど、と意志の強い眼差しを月に照らし出される悪夢のような城へと向ける。
「覗き見ぐらいで萎えたりしない」
あの城の中に大切な人が囚われているのであれば、どんなに不気味でも、
(何も怖くないわ)
黙して手を振る女悪魔に見送られ、シャロンは苔で黒ずんだ石畳を踏んで歩き始める。操り人形じみた動きで夜空に舞う蝙蝠のようなナニカに視界を横切られながら、月に白く照らし出される城を見据える。
(私の愛しいひと……そんなの珊都しか居ない)
視界を埋める月の城は酷く広大に見えるけれど、シャロンに見えるのは愛しいひとを見出すゴールだけ。他には何も、見えない。
(珊都が待っているなら)
黒く錆びついたドアノブを回す。開いた途端に溢れだす闇を片手に掲げた角灯の光ひとつで押しのけて踏み込む。微塵も躊躇わず、お行儀も忘れてずんずん進む。
破れたカーテンに潜むナニカにも、廊下に蹲る闇よりも濃いナニカにも目もくれず、光の輪に引っかかった扉を見つけ次第手当たり次第、片っ端から開いてゆく。部屋を隙間なく埋める暗闇を星の角灯で照らし出してゆく。
カーテンの隙間から流れる月の光に黒く佇むナニカは角灯の光で照らし出して求めるひとでないことだけを確かめる。追い縋ってきたナニカは、星の光宿した挫けぬ眼差しひとつで追い払う。
(何も怖くないわ……!)
どの扉の向こうにも、どの階段の先にも、愛しいひとの姿は見つけられなかった。闇を辿る足取りはそれでも鈍らない。むしろ速さを増して行く。
自分の一歩がひどく小さく感じられて、シャロンは唇を噛む。今ばかりは、男の子たちの大きな足取りが羨ましかった。気持ちばかりが急いて足が絡む。転んでも痛む足を無視してまた立ち上がる。歩き始める。駆け出し始める。
(焦ってるんじゃないけど……)
胸をどきどきと弾ませる気持ちの正体を見定めようと目の前の闇に目を凝らす。この想いを何と言えばいいのだろう。
(だって、)
階段を幾つ上ったり下りたりしたのかも、どれほどの扉を開き、どれほどの闇に目を凝らしたのかも分からなくなった頃、シャロンの胸に湧きだし続けていた気持ちがとうとう溢れて零れた。
「会いたいの……!」
月の光も届かぬ暗闇に向けて叫ぶ。星を象った夢の灯火を暗闇にかざす。シャロンの心からの願いに応じるが如く、夢の灯火が強く煌いた。七色に輝く光の輪が広がる。行く手を遮る漆黒を打ち払う。
金剛石の煌きに照らし出されたのは、真っ暗な廊下の突き当りに打ち捨てられた錠も扉もない鉄の檻。鳥籠のかたちした檻の中に、
「……珊都!」
ようやく見つけた大切なひとの後ろ姿。後ろ姿であっても決して見紛うことのないひとへ向け、思わず叫んで駆け寄るシャロンに、檻の中でありながら背を伸ばし凛と立っていた少年が振り返る。
手にしていた星の角灯が激しく踊るのも構わず、角灯の紐が指に掛かっていなければ落ちていたかもしれないことにも構わず、シャロンは檻をかたちづくる冷たい鉄格子に飛び付く。錆が腕を傷つけても怖じずに懸命に手を伸ばす。
「珊都……!」
幼い頃、シャロンの故郷である英国へ家族旅行で訪れたひと。シャロンの屋敷の庭園にギターと一緒に迷い込んで来たひと。シャロンに音楽と初恋を教えてくれたひと──浅海珊都。
出会って別れて、そのあと彼はファンもたくさんいるアイドルタレントとなった。
彼を追いかけて日本に来て、芸能事務所に所属した。音楽の才能を磨き続けた。その甲斐あって、彼が出演する映画にエキストラとして名を連ねることができた。二人きりで会話する機会さえ得た。
けれど。そのときシャロンは初対面を装い芸名である『シェリー』を名乗った。旧友でさえ間違えてしまうくらいに変貌した己を、己の幼少期しか知らぬ彼はきっと気付かない。
──まだ気付いて欲しくないと願ってしまった。恋心だけで近づく自分は許せなかった。
けれど、夢の中でなら。
(言わなきゃ、……)
伝えたいことがある。それなのに、言葉が出てこない。
言わなくてはと思えば思うほど、目前に立つ珊都の姿が涙で曇る。溢れる想いが頬を滑る熱い雫となる。
夢の灯火に照らし出された珊都の瞳が、炎の色を揺らめかせて琥珀色に輝く。映画の撮影の日にシャロンが教えた芸名を口に仕掛けて、彼は一度唇を引き結んだ。その瞳に理解の色が灯る。シャロンの前に立ち、珊都はシャロンが伸ばす指先を掴んだ。月を輝かせる太陽の眩しさで、笑む。
「助けに来たわ、王子様」
彼が自分の名を呼ぶより前に、シャロンは精一杯の笑みを浮かべた。
迷って凍り付いていた唇を微笑みの熱に溶かし、シャロンは愛しいひとにまごころを差し出す。
「会いたかった……ずっと」
あげたいものは、初めて出会った幼い頃からずっとずっと、決まっていた──心の真ん中で燃え続ける、一番の愛。
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
…
32
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
今宵の月も
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!