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今宵の月も
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ヴァイオリンの『だるまさんがころんだ』の音と子どもたちの元気いっぱいの笑い声を微笑ましく思いながら、
佐藤 英二
はまずはとその場を少し離れた。
賑やかなのも楽しくて良いけれど、今夜は風流な気分なのだ。
(『風流』ってどんな感じなのかな)
正直言うとフツウの男子高校生に『風流』はちょっぴり難しい気もする。でも、分からないは分からないなりに『風流』な気分を味わってみたい。
となれば『だるまさんがころんだ』は『風流』とは違う気がする。
(あれ、でも月夜のヴァイオリンは『風流』な気も?)
頭を悩ませ首を傾げ、ともあれ英二は中秋の名月を仰ぎながら寝子ヶ浜海岸をの波打ち際へと向かう。ぶわぶわと寄せる潮風を耳のあたりに感じて白い砂を踏みしめて歩けば、なんだか少しだけ風流なような楽しい気分になれた。
宴の喧噪から少し離れ、波打ち際に立つ。波音に人々の笑い声が紛れてしまえば、あとは降り注ぐ名月の光を楽しむばかり。
誰もいない夜の海を前に、海面に月の光を辿る。きらきらと揺れる光の欠片と空にまあるく浮かぶまん丸の月を暫く眺めて、
「……うん、良し!」
充分お月見を堪能した、ような気分になれた。くるりと踵を返し、まだまだ賑やかなお月見大宴会場へ意気揚々と戻る。静寂を楽しんだ次は、喧噪を楽しもう。
「あ、英二くんだ! やっほー!」
ヴァイオリン版『だるまさんがころんだ』にいつの間にか混ざって妙な格好で動きを止めていた
野々 ののこ
が妙な格好のまま楽しそうな声で呼んだ。途端、浴衣姿の女の子がオニ役の女性の服の裾を掴んでいた子どもにタッチする。子どもたちと一緒にわあっと声を上げて逃げて来たののこに、英二は穏やかに笑いかけた。
「こんばんは、野々さん」
鬼ごっこに移行する子らの群れから抜け出て来たののこの手には、周りの大人たちから次々に手渡されたお団子やペットボトル飲料でいっぱいになっている。
「おや、彼氏かい、ののちゃん? それじゃ彼氏君の分もね」
「あ、いえっ、彼氏というわけではなくっ……!」
焦る英二に構わず、ののこにもう一人分のお菓子とジュースを渡し、大人たちは楽しそうに宴会に戻る。
「きっしっし、彼氏だって!」
「……うん」
どう答えればいいのか分からず頬を引っ掻く英二に、ののこは貰い物のお菓子とジュースを手渡した。適当に空いた場所に並んで座る。
「ええと、……」
「お団子おいしー!」
彼氏彼女に間違えられたこともなんのその、色気より食い気でお団子にかぶりつくののこを見ていれば、英二の中の戸惑いはすぐに吹き飛んだ。
(そうだ)
お月見の宴で出会えたのであれば、ここはふたりで宴の雰囲気に浸るのも、もしかしたら『風流』なのかもしれない。
「大きくて明るくて、今夜は良い月だよね」
「まん丸お月さまもお団子みたいだよね!」
「野々さんはお月見楽しんでる?」
「楽しんでる楽しんでる! なんと言っても英二くん、ここはお菓子もごはんも食べ放題だからね!」
いつも通りと言えばいつも通りなののこに、英二は思わず笑みを零して、それと同時になんだかとても安心する。いつでもどこでも、ののこはののこでいてくれる。
「名月を眺めるのも良いよね。何となく風流な感じがするし!」
ののこと並んでお団子をもぐもぐする。ののこと並んで月を眺める。これもまた風流に違いないと英二は信じてみようとする。それはそれとして、
「さっき、個人的に静かな場所で月を見上げて来たけど……まさに『風流』な気分を満喫出来たよ」
自分が感じた『風流』もののこに教えたくて、英二はちょっぴり自慢げに言ってみる。
「風流かあ、どんな気分?」
「うーん、……何となく歌を詠めそうな気分?」
おお、と目をまん丸にするののこの期待に沿うため、英二はどうにかこうにか一句捻ってみる。
「名月や 猫が浜辺に 燦々と 戯れる様 いし微笑まし」
「おみごと!」
「……猫と寝子ヶ浜に降り注ぐ月光を掛けている気がする、けど、……」
ノリだけで作った適当な歌に適当な解説を入れてから、英二は照れ隠しにもぐもぐとお団子を食べる。お菓子も食べてお茶も飲む。
うまくまとまっていない気がとてもするけれど、でもとりあえず、隣でののこが笑っていてくれれば何だってオッケーな気もする。
「じゃあ次、私ね! 名月や お団子美味し ああおいしー!」
聞こえて来たののこの元気いっぱいの一句に、
御巫 時子
はそっと微笑んだ。
手にした風呂敷の中身は、小ぶりなお重箱入りのお弁当。
(月が綺麗ですね……)
晴れ渡る秋の夜空を仰ぎ、海風に黒髪を揺らす。着物に合わせて結い上げた髪の後れ毛をそっと整え、黒い瞳に宴会場を遠目に映す。
(……尚輝先生)
ここに来れば、
五十嵐 尚輝
先生に会える気がした。乙女の勘とも言うべき己が心に従い、お弁当も二人分作って来た。
(雷鶏さん、ヨタカさん)
星が丘寮を出掛けに行ってきますと声を掛けて来た二羽の不思議な鳥たちを思う。ニワトリのかたちした雷鶏さんは明日に備えて就寝中、ヨタカさんはどうやら今晩も九夜山にお出掛けらしい。
(ヨタカさんも今はお月見でしょうか)
学校の近くを通り、海岸まで歩いて来たけれど、ここに来るまでまだ先生には出会えていない。
(尚輝先生がおられるといいのですが……)
もし会うことが出来たなら。一緒にお月見ができたなら。
波の音を聞きながらお月様を見る、そんな一緒の時間を過ごせたなら。
祈るように月夜の砂浜を歩く。大きなブルーシートの端、宴会には加わらず少し離れた場所に腰を落ち着ける。お弁当を広げ、冷たいお茶を水筒からコップに移して、
「今晩は、御巫さん」
掛けられた声の主に、時子は華やいだ笑顔を向ける。
「今晩は、尚輝先生。もう夕食は召し上がられたんでしょうか?」
コップに注いだお茶を勧め、隣に座ってくれた先生に控えめに箸と取り皿を差し出す。
「もしよろしければ」
食べてもらいたいです、と黒い睫毛をそっと伏せる時子に、尚輝は思い出したような息を吐いた。
「そう言えば、食べていませんでした」
いつも通りと言えばいつも通り、実験に夢中になっていたのだろう寝子高化学教諭に時子は心配げなまなざしを向ける。
「……すみません」
困ったように詫びる先生に、時子は首を横に振る。できれば毎食きちんと食べてもらいたいけれど、出来るなら毎食用意してあげたいけれど、学生という今の自分の立場ではそれはやはり難しい。であれば、出来るときに出来るだけ、美味しいものをたくさん食べてもらいたい。
「デザートは餡のかかった団子です。甘さ控えめにしてますよ」
「ありがとうございます」
丁寧に頭を下げる尚輝先生に、時子はまたそっと首を横に振った。先生のためにお弁当を取り分ける。梅干し入りの小さめお握りにシラスと紫蘇入りの出汁巻き卵に、里芋の煮っ転がし。
「賑やかな宴会を見ると微笑ましいですね」
「皆さん楽しそうでいいですね」
「尚輝先生は賑やかな方がお好きでしょうか?」
移動しますか、と問えば、尚輝先生は賑やかな宴の中心へとしばらく視線を伸ばして後、いいえ、と首を横に振った。
「今は、こちらで」
静かな月の光を浴びて静かに微笑んでくれる先生に、伝えたい気持ちがあった。
「尚輝先生」
「はい」
先生の頭上に輝く月を仰ぐ振りをして、先生の横顔を見つめる。たとえ本当の意味が伝わらなくとも、この胸いっぱいの想いを伝えたい気分だった。
気持ちの昂りを満月のせいにして、時子は囁く。
「月が綺麗ですね……」
「そうですね、とても綺麗です」
時子の想いを悟っているのかどうか、尚輝先生はおっとりとした視線を月へともたげるばかり。それでも、時子は構わなかった。だって今、こうして先生が隣に居てくれている。
「去年のお月見は学校からですか……?」
去年も綺麗な月が出ていた。
去年もここに来て、たくさんの人達とお月見をした。あれはあれで楽しかった記憶があるけれど──いつか、先生と一緒にお月見ができたらと願ってもいた。だから、
「尚輝先生と一緒にお月見出来て幸せです……」
お茶のカップを唇に触れさせつつ、月に照らされる先生の横顔を見つつ、時子は心の底から微笑む。
時子の声が聞こえていたのかいなかったのか、先生はどこか眩しいような笑みを滲ませた。
「来て、良かったです」
聞きたいと思っていた言葉を先生の口から聞き、時子はふうわりと微笑む。肩の触れる近くで、並んでただただ月を眺める。
「こんなに長い時間お月さまを見ながら過ごすことが無いので、時々こうして空を見上げる時間を作るのも良いですね」
そうですね、と頷いてくれる大好きな先生と一緒に、今宵はのんびりまったり、お月見。
隣に、
七夜 あおい
がいる。
それだけで
八神 修
の胸はぽかぽかと温かくなる。
通りがかった途端にこれをどうぞそれもどうぞとお月見宴会只中な人々から半ば押し付けられたお菓子やジュースをそれぞれに抱え、修とあおいは困ったような嬉しいような笑みを交わし合った。
「あおい、お腹は空いてる?」
「うん、ぺっこぺこ。あっ、これ美味しそうだよ」
ツインテールの髪を揺らし、手元のパック入り和菓子を示すあおいに修は柔らかく微笑む。
「本当だ、美味しそうだなあ」
宴会のお裾分けな食べ物飲み物を手に、ふたりは月見の場所を探す。
「どこがいいかな?」
「折角の良い月だしのんびり眺めたい気持ちもあるんだ」
賑やかなのも好きだけどね、と修はのんびりと歩を進める。月影の砂浜をふたりで辿り、お月見の場所に定めたのは宴の喧噪から少し離れた岩の影。
貰い物の食べ物を広げれば、隠れ場所のようなふたりきりのお月見会が始まる。
「あ、ほら」
カップのドリンクに映り込む真っ白な月に気づき、修は笑う。
「ここにも月が」
「わ、ほんとだ」
「あおいのにも」
くすくすと笑い合ったあとは、ふたり一緒に月を飲む。
「湖や杯の月を詠んだ詩があったな」
ぽつりと零して、修は照れた。なんて、と自分で自分をまぜっかえす。膝に置いた月見団子をがぶりと齧る。
「風流か」
吹き寄せる潮風が心地よかった。
頭上に輝く丸い月が眩しかった。
隣で軽やかに笑う女の子が愛しかった。
「……綺麗ね」
だから、その女の子が月を仰いで呟いた言葉にドキリとした。しばらく言葉に迷って、小さく頷く。
「ホントにそうだね」
清廉な光を纏う月を見上げる。
「俺がそれを言うと愛の告白になってしまうから」
軽い口調で言おうとして失敗した。自分でも思いがけず真摯な声音になってしまい、修は焦る。困ったような恥ずかしいような表情で瞳を伏せるあおいに、努めて明るく笑いかける。
「逆に今夜は言い難いや」
声にして笑ってから、でも、とまた月を仰ぐ。今あおいを見つめてしまえば、心臓の高鳴りが彼女に届いてしまいそうな気がした。小さく小さく、囁く。
「……本当に綺麗だね」
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
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