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【時を決す】
小さからぬ変化の波を、敏感に感じ取っておりました。
なにしろ、好きな人のことです。
綾辻 綾花
に分からないはずもありません。
「あの……珪先生? どうかしましたか?」
「ん? うん……いや、なんでもないよ」
図書準備室で書類仕事などこなしつつ、
早川 珪
はいつもの穏やかな微笑を浮かべてはくれるものの、彼の心中がなにか、事情は分からないけれどさざ波立っていることが、綾花にははっきりと分かりました。
好きな人のことですから。
(なにか……あったのかな)
綾花の胸の奥はちくりと痛みます。ペンを握る彼の指、肩の動き、憂うような眉の下がりも、綾花にとってまるで自分のことのように、彼の感じる寂寥や悲しみ、そんな感情を微かながらに伝えてくれました。
知りたい。
けれど直接訪ねるのは、気後れしてしまいます。
彼は大人です。綾花の受け止めきれないような深い事情であったなら、きっと少なからぬ隔たりが綾花を苦しめるでしょう。
知りたくない。
今はただ、いつもどおりに図書委員としての仕事をこなすだけ。綾花には結局のところ、そうすることしかできません。
頼ってくれたらいいのに。そう思います。
同時に、今のままでは……彼の横に並び立つには足りない。否応なく突きつけられます。自分がこんなにも子どもであるという事実に。
(なにか、私にもしてあげられること……ないのかな)
新しく入ってきた本たちにラベルを付ける作業を、そんなことを考えながらやっていたものだから、
「綾辻さん? それ、違うんじゃないかな。その本は古典文学の棚だよね。そっちのも、ほら、社会科学じゃなくて自然科学のほうだね」
「あっ。す、すみません! 今直しますから……」
「はは、大丈夫。慌てなくていいよ」
ああ。なんて失敗。
なんて余裕だろう。まるで子ども扱い。
自分がひどく気恥ずかしく思えて、ちくりと痛んだ胸に、綾花は珪先生からふいと顔をそらしました。
それからじりじりとわけも分からず焦り、すり減りそうな半月ほどが過ぎた頃。
「…………え」
「ごめん」
彼もきっと、迷っていたはずです。どんなタイミングで切り出したものか、迷いに迷ったことでしょう。
「4月からね……僕もね、寝子高が気に入っていたのだけれど」
申し訳なさそうに、彼は告げました。
転任についてそうして聞かされても、しばしの間、綾花は気の利いた言葉を返すことができませんでした。
「……どこ、へ……」
「ん。ちょっと遠くだね。綾辻さんにも、もう会えないかもしれないな」
本当を言えば、少しだけ、そんな予感はありました。おぼろげながらに、彼の言葉へ覚悟もしていたはずです。
けれどそこになんら意味はなく、自分の矮小さが身に染みただけ。
「ああ。綾辻さん、ごめんよ。ごめん。僕も言わなきゃ、言わなきゃと思ってたんだけど……」
結局、やっぱり、綾花の瞳からは涙の大きな粒があふれて。あふれて。こぼれ落ちるのを、止められませんでした。
「……すっ、すみませっ、わたし……せんせ、こまらせ、たく……っ」
「いいんだよ。ごめんね、綾辻さん」
3年生になったら、珪先生の姿は、この図書室にありません。
遠く。綾花の手の届かない遠くへ、行ってしまうのです。
珪先生もきっと、話せばこうなると分かっていたのでしょう。だから大いに、迷っていたのでしょう。
結局、こうです。きっと彼の思ったとおりに、泣いてしまいました。
彼は物言わず、ただぽんと綾花の震えて止まらない頭へ手を乗せたのみ。
なんて彼は、大人だろう。それはそうです。彼はひとまわりも年上の、成熟した男性なのですから。
自分はどうだろう? 綾花の胸はじくじくと黒く、ずきずきと痛みます。
なんて自分は、子どもなのだろう。学生なのだから当たり前、だなんて思いたくはありません。好きの気持ちに偽りはなく、いつだって、これから先も、彼の隣に居たいのに。
だというのに、自分はなんて。なんて……。
「会いに……」
「うん?」
「会いに、いっても。いいです、か」
くしゃくしゃに濡れた顔を見られても、今は彼の瞳を覗かなければと、頑張って見上げたけれど。彼は困ったようにひとつ、笑っただけ。
ああ。ああ。そうなんだ。これが、そうなんだ。
気の遠くなるような事実に今さらながら気が付いて、綾花の喉からは嗚咽が漏れました。
私の恋が、今。終わったんだ。
「っ、あ! あっ、あっ」
ひどい汗をかいて、綾花は布団を半ば蹴とばしながら飛び起きました。
ど、ど、と胸が鳴っています。喉はからから。頭は真っ白です。
頬へ手をやると、ぺしゃりと濡れていました。汗だけではないようです。
「く……クロワ。クロワ……」
ふみいと鳴いて、どこか心配そうに寄り添ってきた
黒猫
を、きゅうと抱き締めます。ぬくぬくの毛並みに鼻を埋めてなお、身体の芯からくる震えは、しばし綾花を苛みました。
そうしてしばらく夢の余韻に耐えてから、少し冷静になり、綾花はクロワへぽつりつぶやきます。
「私……大人にならなくっちゃ」
決してありえない夢ではないでしょう。生々しい現実感。正夢にならないとも限りません。
そうならないようにと祈りながら、再び目を閉じます。
「大人に……」
受け止められるように。彼がどれだけ遠くに行ってしまっても、会いに行けるように。ほかの誰でもない、自分の力で。
備えなければ。成長しなければ。だって、
「『好き』は、変えられないから」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月02日
参加申し込みの期限
2019年07月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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