宝石箱をひっくり返したような星空を、密やかにオーロラのヴェールが覆う。
そんな夜のことでした。
例えば……
千歳飴 楓子は黒一色に身を包み、立ち尽くしています。
「……どうして……」
つつがない通夜の進行が止むことはなく、ましてや時を戻すことなどできません。
棺に横たわるあの人が、お笑い番組よろしくむくりと起き上がり、楓子へ手を上げ目覚めの挨拶をする。そんなわけもありません。
楓子はどうしようもなく、理解しています。もはや手遅れと分かっているのです。
「どうして……楓子を置いていってしまったんだ」
それでも棺へ、手を伸ばさずにはいられません。つぶやかずにはいられません。
どうしようもなく……分かっているはずなのに。
これが永遠の『別れ』であるのだと。
まるで深い深い海の底へ、とめどなく沈んでいくかのよう。
「ふおあっ」
そして楓子は、目を開きます。
窓の向こう、真夜中に人知れず揺れるオーロラが見せた夢と悟るのです。
「……いやな夢だ」
頬を伝う雫を少し乱暴に袖で拭うと、放りだしたままのスマートフォンを取り上げます。
画面の中に映る、夢の続きではない、いつもと変わらない現実に安堵します。
通話ボタンに指をかけ、小さく鼻を鳴らしながらに言いました。
「たまには優しい言葉のひとつもかけてやるか。いや、楓子はいつだって女神のように優しいわけだが」
神魂がオーロラを形作る、静かな夜更け。
あなたもきっと、『別れ』を夢に見るでしょう。そうして胸へ悟るのでしょう。
本当に大切な何かは、案外近くにあるものです。
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
こちらは千歳飴 楓子さんの、イラストコンテスト受賞によるプレゼントシナリオとなります。
千歳飴さん、おめでとうございます! 墨谷がプレゼントシナリオを担当することができて、とっても光栄です。
ガイドはあくまでイメージですので、全く別のアクションでも大丈夫です。自由な発想でどうぞ!
このシナリオの概要
今回は主に、皆さんが見る『別れの夢』と『目覚め』、ふたつのシーンを描きます。
大切な何かとの『別れの夢』。
何か、は文字どおり、なんでも構いません。
大切な家族や友人、恋人との別れだったり。
いつも肌身離さず持ち歩いている愛用品が壊れてしまったり。
超ハマってるスマホアプリがサービス終了になってしまったり、なんていうのも、『別れ』には違いありません。
シリアスも、コメディも、何でもOKです。
別れの夢を経ての『目覚め』は、その大切さをあらためて噛みしめるものになるでしょう。
夢での喪失感がまぼろしであると知った時、安堵に泣いてしまうかもしれません。
あるいは、笑ってしまうのかもしれませんね。
またあるいは、大切なものについて、深く深く考えるきっかけとなるのかもしれません。
あなたの別れと目覚めを、自由にアクションにて教えてください。
それをリアクションとして、マスターがじっくり表現させていただきます。
アクションでできること
『別れの夢』と『目覚め』は、特にご指定がなければ、半々程度の比率で描写します。
どちらかを重点的に描写することもできますので、アクションにてご指定ください。
夢については、どんなシチュエーションでも、どんな世界観でも、自由に設定して構いません。
夢ですので、いつもと違った役柄を演じてみるのも良いでしょう。
PCさん同士で別れの場面を描く時は、GA(グループアクション)を組んでください。
また、このシナリオに不参加のPCさんは描写できませんので、ご注意くださいませ。
NPCについては、登録済みのキャラクターでしたら、基本的に誰でも登場可能です。
墨谷のシナリオに登場したNPCでしたら、未登録キャラクターでもOKです。
夢の中なら、どんなシーンでも大丈夫です。
目覚めのシーンは、不自然でないシチュエーションに限ります。
以上になります。
それでは、ご参加をお待ちしております~!