寝子島八百万大宴会｜リアクション

寝子島八百万大宴会

●酔った勢いで大胆に

　羽生碧南と小バッカスさんは、酒蔵や地ビールの醸造所などを巡り歩いていた。
　行く先々で杜氏やビールを作っている職人さんの説明を聞いたり、地酒や地ビールの試飲をしたり。
　小バッカスさんはお酒の神なので美味しそうに飲んでいたが、碧南は最初、苦い、といった顔に。
「美味しいれすね～、このお酒」
　酔いが回ると気分が良くなり、お酒も美味しく感じるように。口調も若干、変わっている。
　次の酒蔵に行く時、脳内で過去のコンプリートした乙女ゲーの攻略対象キャラクターに酒蔵の跡取りがいたことを思い出した。
（小バッカスさんの声、誰かに似ていると思ってたけど～、あのキャラだったのね～）
　跡取りキャラとのラブなひと時を脳内で繰り返し再生しては「ぐふふ……」「えへへ……」と怪しい笑いを。
　ウフフ……と笑い、情熱を帯びた瞳で小バッカスさんを見つめる碧南はいきなり告白を。
「好きれすっ！　私と付き合ってくらさいっ！」
「い、いきなり、そう言われましても……」
「ああ、なんだか暑くなってきたわ～」
　そうこうするうちに、あまりの暑さに服なんて脱いじゃえ！　と言わんばかりに碧南は下着姿に。
「公衆の面前で脱がないでください！」
　服を持ち、どうにかして碧南の下着を隠そうとする小バッカスさんの酔いは一気に冷めたしまった。
　小バッカスさんも脱ごう、と要求されたが「嫌です！」と断固拒否。
「さあ、次の酒蔵に行くわよ～！」
「だーかーらー、服を着てくださいってばー！」
　小バッカスさんの苦労は、当分絶えそうもない。

　その頃、宮祀智瑜は、桐島先生への想いが溢れてきたので告白することに。
　じっと見つめる瞳は潤み、頬は赤くなっている。赤くなっているのは酔っているからでもあるが。
「義弘先生、大好きですっ！」
　ぎゅって抱きしめそうになるが、桐島先生が２人いるように見える。
「あれ？　義弘先生が２人？　どっちの義弘先生も好きですっ！」
　抱き着こうとしたが、また、ひとりに戻った。
「不思議です……」
　時間が経つごとに、智瑜の顔と身体が暑くなってきた。
　夏の暑さのせいか。それとも、飲んでいたお酒のせいか。
　暑さに堪えられなくなったので、服を脱いで下着姿に。
「義弘先生、暑くないですか？」
「だ、大丈夫だ！　下着姿で抱きつかないでくれないか……！」
　顔を赤くし、智瑜に服を着るよう促すが彼女は下着姿のまま桐島先生に抱き着いた。
「暑いけど抱きしめたくなっちゃいます。義弘先生だからいいんです」
　幸せ……と更に抱き着く。
「先生も一緒に脱いじゃいましょう！」
　脱がせようとするが、義弘先生が酔っぱらっていながらも拒否。
「いい加減にしないかー！」
　酔っぱらっていても普段のクールさを崩さない。そんな桐島先生がいつもよりカッコ良く見える。
（そう思うのは……恋の力？）
　桐島先生を脱がそうとしたが、なんだか眠くなってきた。
　眠気に勝てない智瑜は、桐島先生に寄りかかったウトウトと。
「困ったものだ……」
　気持ちよさそうに眠っている生徒を起こせないので、そのまま眠らせることにした桐島先生だった。

　そこから少し離れた場所では、天之丸尾猫神と真境名アリサのチャンバラに決着がついた。
　勝負は天之丸尾猫神の勝ちだったが、アリサは上機嫌だった。
「あー、なんか胸元が涼しーなー」
　暑かったから丁度いいわと気持ち良さげなアリサは、ビキニのブラがチャンバラの最中に切れ、落ちたことにまったく気づいていない。
「おぬし、アメノウズメのようでござるな」
「あたしが女神様みたいってこと？　そう言ってもらえると嬉しいわー」