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つくものかみの言うことにゃ
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【いつか、みんなといっしょ】
それは夜。今、少女が眠るベッドの枕元には、オレンジの布で作られた大切な手作り猫のパペット人形が置いてある。
作られたのは、中三の春に行う事になった人形劇。これは、それまで学校の皆の輪に馴染まなかった少女の背中を押してくれた。そんな出来事を象る存在。
そんな、とても大切に、ずっと身に付ける程に大事にしてきたパペット人形へ、前触れもなく神魂が吸い込まれた──
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「……かーさ……かーさ……」
「ん……?」
深い眠りに沈んでいた
恵御納 夏朝
の顔の隣で、とても可愛らしい男の子の声が聞こえた気がした。
そして、頬に柔らかに当たる布の触感は、掛け布団とも違う肌触り。夏朝が不思議に思いながら、ゆっくりと瞬きをすると、そこには黒ビーズの瞳が朝の光でくるんと輝く、可愛い目の橙色をしたパペット人形──ハルくんが夏朝を覗き込んでいた。
「おはようにゃ」
自分の手に付けていないのはずなのに、ハルくんの口がぱくぱくと動く。自分で吹き替えをする事自体も少ないけれども、そうでもないのに、今、確かにハルくんから声が聞こえてくる。
「おはよう……」
視界は定まったものの、まだ思考が追い付かず、とりあえず夏朝は同じように挨拶を返す。
──今までに数度、同じようにハルくんが動き、話したことはある。
だが、当然それが日常である訳がなく。いずれもが『神の気まぐれ』とも揶揄される、決して狙えることのない神魂現象──
「あ……! ハルくん、動けるんだね!」
夏朝はハルくんとの何度かの対話を経て、たとえ動いていなくても、そこに意志という『想い』が詰まっていることを知っていた。
神魂が起こす現象にも、驚くということはない。夏朝は胸に湧き上がる歓喜から連動するように、横になっていた身を起こしてハルくんを強く抱き締めた。
ハルくんの体はパペット故に中身は入っておらず、ハグした体感は殆どないが、それでも心が幸せで一杯になる。
「──」
しかしその瞬間、不意に伝わって来たのは、この神魂効果が『ほぼ一日』の時限式であることだった。
「一日だけ……」
ハルくんを放しながら、ちょんと自分の膝の上に立つその姿を目にして思わず呟く。
最初から、終わりが見える。それが分かるのは心寂しい。しかし、
「……でも、嬉しい」
それでも、話が出来て一緒にいられるという奇跡には変わりはないから。
「かーさとまたお話できて、ハルも嬉しいにゃ!
一日、ずっと一緒にいられるにゃ!」
「うんっ。ハルくん、一緒に寝子島を楽しもう! さっそく着替えないと……」
夏朝が、ベッドから足を降ろして立ち上がる。
それを追い掛けるように、ハルくんもベット脇に両手と足(布の端)を広げて立つと、
「とうっにゃー!」
何と、ハルくんはそこから勢い良く、斜め上前方向けて全力でジャンプした。
そこからムササビのように、滑るように中空を──
「ハルくんが、飛行──!」
する前に、
──ぼてっ。
そのまま、重力に従って真下に落ちた。
「……は、無理かー!」
どうやら今回は、自然摂理には全力で逆らうようだが、物理法則には逆らえない仕組みであるようだった……
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
今日は暑くはあったが、夏風が心地良い日だった。
夏朝は、日よけにオレンジのリボンの付いた麦わら帽子を被りながら、いつも通り左手にハルくんを付けて、寝子島を歩き回った。
寝子島海岸まで足を伸ばせば、そこには夏の終わりを楽しむ人がまだ多く見受けられた。せっかくの機会だからと、夏朝は人気の少ない岩陰と小さな砂浜で、そっとハルくんから手から外して一緒に海を見た。
「お水がしょっぱいにゃ!」
「流されないようにー!」
砂浜で潮の満ち引きを追い掛け始めたハルくんを見て、少し心配になった夏朝も、一緒に足を海に浸して遊ぶことにした。
夏朝は、ハルくんが海の水を吸って、後から大変なことになるのではないかと思いもしたが、見る限り潮水でべっとりになっている様子はなく、安心して一緒に引いては寄せる波を楽しんだ。
それから、夏朝は再びハルくんを手に付けて、海の家で鯛焼きを二つ買った。もちろん、それは自分とハルくん用に。
「次はどこにいくにゃ?」
「そうだね、せっかくだから」
せっかくだから、寝子島を大きく巡りたい。そんな思いで、次の目的地を寝子島神社に定めて、一人とひとつは移動を開始した。
猛暑も大分過ぎてきた。九夜山の木陰に入れば、夏でも心地良い涼が体を包み込んでいく。
そうして辿りついた寝子島神社は丁度人影がなく、セミの声だけが響く不思議な静謐さを漂わせていた。
「この時間に、本当に誰もいないの珍しいかも」
夏朝がそう呟きながら、手に付けていたハルくんを地面に降ろす。ハルくんは小さな体で大きく伸びをして見せた。
「ハルくん……もしかして、手に付けているの窮屈かな?」
「そんなことないにゃ。かーさと一緒に動けるの、すごく楽しいにゃ!」
ハルくんが、ビーズの瞳を木陰の木洩れ日に反射させてきらきらさせながら、嬉しそうに語ってみせる。その様子に、夏朝は湧き上がり掛けていた不安に、ほっと胸をなで下ろした。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
木陰のベンチで、一人とひとつが並んで座る。
夏朝の手にある鯛焼きの上品なつぶあんの甘さが、暑すぎない今日の気候に丁度良い。
「うん、美味しい」
「おいしいにゃ!」
夏朝と同じ鯛焼きを手にしたハルくんも、ちいさな手で器用に持って、大きな口で人と同じ量をぱくぱくと食べていく。
それを夏朝は微笑ましく見ていた。
不思議な体験をして、
その時もハルくんは元気に動いていて。
それらを思い返した夏朝が、ふと胸によぎった思いに、そっと心の中に陰りを示した。
「……」
「どうかしたにゃ? お腹痛くなったにゃ?」
ハルくんが覗き込むように夏朝を見やる。
「本当は……夏夜ちゃんとも、一緒に過ごしたかった」
あの時の不思議な体験のように。ハルくんがこうして動けているのならば。
もし、この機会に自分の中にいるもう一人の『夏夜』ともいられたのなら……
「確かに、僕の中にはいるけど……」
同じように並んで、同じ時を一緒に過ごしたい……それは夏朝にとって、既に積年の願いとしてあるものだ。
それを呟くように告げた夏朝の様子を、ハルくんはじっと見ていた。そして、鯛焼きの最後の一口を両手に持って、神社の本堂の方を見た。
「ハルはつくもがみになりたいにゃ。
……でも、願いが叶うなら、別の事を願うにゃ」
ハルくんの、つぶらな瞳が夏朝の方を向く。
「──かーさとかやが心身ともに分離・共存する願いが叶いますように、にゃ。
ハルは2人の思いを知ってるのにゃ……」
ずっと、夏朝と共にいたハルくんは、同じ身体を持つ別存在……夏夜の事も良く知っている。お互いの願いがどれだけ切なものかも──
「あ、神社にお参りすればきっと叶うにゃ!
かーさも一緒にお参りするにゃ。きっと叶うにゃ!」
ぱくんと鯛焼きの最後の一欠を食べて、そこにハルくんは名案が浮かんだとばかりに、急いでベンチから降りて夏朝を急かす。
「……ありがとう。ハルくん」
その健気さに、夏朝が僅かな目頭の熱さに俯いた。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「日が昇る明け方まで……」
それが、夏朝とハルくんと一緒にいられる時間。日常の健康的な生活では、夜はいつも通りに眠くなってしまって、眠っている間にハルくんはまた元通りになってしまう……それは避けたいと思った夏朝は、早めに家に戻り、一旦部屋を暗くして仮眠を取ることにした。
「ごめん、ハルくん。ちょっとだけお休みするね」
「分かったにゃ。ちょっと寂しいけど大丈夫にゃ!」
普段動けない部屋を見て回るだけでも楽しい、そう健気に元気に告げたハルくんに、少し申し訳なく思いながら夏朝はベッドに横になった。
「寂しいけど、起きたらたくさんお話できるから寂しくないにゃ」
ハルくんがそう自分に言い聞かせる。
そして夏朝に乗せてもらったベッドの上から、探索を始める為に降りようとした刹那、横になってまだ数分と経っていない夏朝が起き上がった。
「……」
パチン、と身を起こした夏朝が瞬きをした──正確にはその身体に共に住まう『夏夜』が。
「あ、かやにゃ!」
「……まだ、こんばんはの時間じゃないか。
こんにちは、ハル。動けるようになったんだね」
「こんにちはにゃ!
かーさも、かやに会いたがってたにゃ」
「……。僕はこれから寝直すから。
僕が出た事は夏朝には言わなくていいよ」
そう告げて、夏夜はハルくんの頭を、口調とは裏腹に優しく撫でた。
「どうしてにゃ?」
「ハルが動く時間を夏夜にも過ごして欲しかった、ってきっと夏朝は気にするだろうしね。
それに、僕が動いている時間は『夏朝も寝ていない』から、夏朝も夜に起きていられなくなるから。
……夏朝がハルと過ごす時間を取るのは悪い」
そう言って、夏夜はハルくんの頭をわしゃわしゃと撫でると、それ以上は何も言うこと無く、そちらから背を向けてベッドに潜ってしまった。
そうしてぽつんと、ハルくんがベッドに残って。しんと静まりかえる部屋の中で、ハルくんは改めて強く祈った。
『つくもがみになりたいけれども、
それよりも、かーさとかやがお互いに、さわれて共存出来るようになりますように』
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「クリアしたにゃ!」
「ハルくん、強い……! 油断してなかったのに」
そうして、夜遅くから夏朝とハルくんは、サイコロを転がして遊ぶボードゲームと、大きめの本を衝立にしての簡単なカードゲームに興じていた。
特にカードゲームでは、最初は夏朝から自分に簡単なハンデを付けていたのに、気が付けばハンデがなくても負けている。ボードゲームでも、ハルくんのダイス目はかなり良く、かなり賑やかで白熱したゲームとなった。
そんな、楽しい時間も過ぎていく。
気が付けば、空の色が少しずつ遠くから明るくなって来るのが見えた。
「そろそろか……
少し寂しいけど……」
ハルくんは、夏朝と一緒にじっと絞められたカーテンから覗く隙間を見ていた。
時間が迫る。朝日の光が差し迫る。
「明日からも、ずっと一緒だよ……ありがとう、ハルくん!」
「ずっとずっと、一緒にいるにゃ!」
夏朝が、ハルくんの頭を撫でた。それは、夏夜が撫でたのと同じ手の形。
「……また、ハルくんが動ける日が来たら──」
「かやも、かーさと一緒にゃ! 皆で遊ぶにゃ!」
「──!
……うん!!」
小さな手を一所懸命に動かして。朝日が部屋に差し込む中、ハルくんの声も言葉も最後まで確かに届いた。
いつか──また動ける日が来たら、今度こそ皆で、ずっと一緒に過ごせますように。
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月29日
参加申し込みの期限
2019年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月05日 11時00分
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