皆が寝静まる真夜中に。
人が『心から大切にしている物』へ、ふわりと神魂が舞い降りた。
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「よいしょっ……もう、ちょっと……っ」
朝。遠くから声が聞こえたような気がして。
御剣 刀が目を覚ますと、そこには何時も傍らに置いて、一緒に沢山の光景を見てきた
ビスクドールのルヴィアの姿が消えていた。
「──っ!?」
刀が慌てて跳ね起きる。それはとても『大切にしている』もの。
昨日の夜、茶の間から連れてくるのを忘れてしまったのだろうか。しかし、毎日と言っても過言ではない程に、共にあり続けてきたのだ。それはない。
ならば泥棒が侵入したのだろうか。しかし刀のその性質上、眠っていても他人が侵入してくる等という気配の変化に気づかない訳がない。
だが、昨日は星幽塔で酒場の依頼を一つ片付けてきたばかりで疲れていたのも確か。刀は後から追従して来るそれらの思考を待つ前に布団から飛び出した。
慌てて、目に入る部屋を片端から見て回る。
そして茶の間へ足を踏み入れた時、そばの台所の方から声がした。
「刀は、いつも、ここで……っ。美味しそうな朝ご飯を──
私にも、できたら、刀も喜んでくれる、かしら……っ?」
刀が飛び込むと、そこにはその慌ただしさにも気づかないで、台所の洗い場の前でジャンプを繰り返す『動かないはずの人形』であるルヴィアの姿が。
「ルヴィア……?」
思わず名前が零れた。また夢を見ているのだろうか、と思う。
「あっ……!」
そしてルヴィアは、その声に初めて刀に気づいた様子でそちらを見ると、その場でちょこんといつもと変わらない様子で、何事もなかったかのように座り込んだ。
「ルヴィア、今どう見ても動いてたよな」
側に寄った刀がそっとルヴィアを抱き上げて、その目を覗き込む。
「……」
ルヴィアの瞳が逸らされた。
今、動いている事の証明。刀の表情が更に驚いた様相へと変わる。
「急に動けるようになったから、少しでもできる事があればと思ったの……。
やっぱり、動いちゃいけなかったかしら。──気持ち悪い?」
ルヴィアが、不安を隠しきれない様子で問い掛けた。
「いや……」
刀が何とかそこまで声を絞り出して答える。
むしろ、ずっと大切にしてきた存在だから。
いつか動いて、その言葉が聞きたいと、そう思ってきたのだ──
こんにちは。この度MSをつとめさせていただきます冬眠と申します。
シナリオガイドには御剣 刀様にご登場いただきました。誠に有難うございます。
もしご縁がございましたら、是非ご自由にアクションを掛けていただければ幸いでございます。
それでは、以下より軽く状況説明を行わせていただきます。
状況説明
ある夜、PC様の所有する『大切な物一つ』が、神魂の影響により、自由に意志を持って動き、話し始めました。
※今回の『大切な物』は、無機物であればぬいぐるみ・おもちゃ・アクセサリーまで、種類は何でも構いません。
(今回、カプセルギアと生き物等の有機物につきましては不可となります。誠に申し訳ありませんが、ご了承いただければ幸いです)
行動と制限時間
制限時間は『夜が明けた日の早朝』から、神魂の効果が消える『翌日の朝日が昇る瞬間』までの間となります。
時間を過ぎると、大切な物は元の無機物に戻ります。PC様も大切な物も、その制限時間が何となく分かります。
(不思議な神魂効果で『ぬいぐるみ等と共に食べ歩きがしたい!』などのご希望の場合、一時的にですが可食物の飲食も可能です。
この辺りは、かなりゆるふわに考えておりますので、是非ご自由な形でのアクションをいただければと思われます)
行動に制限はございません。上記時間の範囲内にて、ご自由にその存在と共に過ごす事が可能です。
(本来、人目に触れればフツウが若干危険ですが、人目は引きましても1日限りの現象の為、外でも内でもお気軽にお過ごしください。
テオはどこかで寝ているので、きっと大丈夫)
『大切な物』について
今回のシナリオは、PC様が大切にしておられる『無機物のコモンNPC様』的なイメージで出させていただいております。
その為、動き出す『大切な物』につきましては、大変御手数ではございますが、
外見特徴、性格、その口調や台詞例、状況からPC様への感情など、リアクション描写に必要と思われる情報を思いつくまま存分に、アクションにてご記載の程をいただけますようお願い致します。
記載内容につきましては、基本アクションを準拠させていただきますが、それらの記載がない場合につきましては、全てアドリブでのご対応となりますので、ご了承の程をいただけましたら幸いでございます。
(※ある程度のご指定の後に『アドリブでお任せ』といただけました場合には、可能な範囲にて、全力で善処致します)
※事前に参照をご希望のリアクションがございます場合には、3つまでを目処に、アクション内に『シナリオ名』と『登場ページのURL』をご記載いただけますようによろしくお願い致します。
この度はゴールドシナリオですので、やりたい事やPC様の『大切な物』語り、大切な物が動き出したらどのような事を言って何がしたいのか、『大切な物』の反応等など……アクションにて、思う存分限界まで書いていただけましたらと思われます。
皆様と『大切な物』との、不思議な一日のお時間を心より楽しみにお待ち申し上げております。