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つくものかみの言うことにゃ
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【自らが、存在を紡いだものと一緒に】
それはとても幼かった頃の記憶。
小さな手で、机の上に、ただの布と柔らかな綿を広げながら、四苦八苦しながら作った初めてのうさぎのぬいぐるみ。
この主は手こそ器用だが、如何せん、初めての作成というハードルは非常に高く、かなりの苦戦を強いられた。
しかし、その人形の洋服を作り、耳飾りを作り、綿を詰めて完成させた時の感動は計り知れないものだった。
今、作り主の大のお気に入りとなって久しい、その肩に乗る大きさのぬいぐるみに、そっと神魂が隠れるように潜り込んだ。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「ねえ、パパ。朝だよ、起きてパパー」
その日の朝、ぐっすりと眠っていた
滝原 レオン
は、肩をふにふにと何かに押される感覚と、可愛らしくも明るい声を耳にぼんやりと目を開けた。
「あ、起きた! パパー」
視界がぼんやりしている中、起きたことを喜ぶ嬉しそうな声と共に、その頬にぺたんと何かが触れて離れる感覚。
「なな、なんだなんだ!?」
レオンは驚きを隠しきれずに上半身を跳ね上げ辺りを見渡した。
すると、そこにはこちらの顔を見つめ手をぶんぶんと振っている、レオンが初めて作った白うさぎ──『ましろ』と名付けたぬいぐるみの姿があった。
「やっほーパパ、ぼくだよ!♪」
ましろが目の前で動いている──毎日自宅ではもちろん、学校にもバッグにこっそり忍ばせて連れ歩いているが、当然今までレオンのろっこん以外では動いたことはない。それが、勢い良く動いているということは……
「あれ……俺寝ぼけてろっこん使った……?」
「違うよっ、もうこんなに動けるようになったのにパパひどーい!」
「──あれ、違う?
ていうか、え、しゃべっ……?!」
起こった様子で両手を真下に、耳を真上にピーンと引っ張り伸ばしながら怒るましろを見つて、レオンは必死に心当たりを探る。
(なんだ……!? 俺のろっこんじゃ喋らせることは出来ないし……。あれか! 今までましろへの愛着を込めすぎて、ついによく言われる式神とかになっ──いや、それはない。ない、よな……?)
レオンの思案が、どれも容赦無く絡んだ糸のようにしっちゃかめっちゃかになっていく。
そこで、一つ深呼吸。
(というか、どれも現実的じゃないな──って、あった!
一つ……現実だけども、一番現実的じゃないものが!)
そうして、レオンがそこから導き出した答えは、
「また! 神魂! か!!」
極めて端的、かつ、それは実感すれば手に取れそうな程に明確な事実として、レオンの心にすとんと落ちた。
「神魂かー……!!」
思わず呻きながら、レオンは大きくその頭を抱えずにはいられなかった。
今、不思議事案のるつぼと化している寝子島において、確かにこの程度の事ならば呼吸するように起きてもおかしくはない。
しかし、それが我が身に掛かるとなれば話は別だ。ましろが動いている事は、この上なく嬉しい事のはずだが、……その嬉しさを諸手を振って享受するには、自分の中にある一般的な常識が邪魔をする……
「ましろ……? やっぱり今動けているのは神魂のせいなのか?」
「えー? ましろちゃんそういうのわかんなーい」
しかし、ましろはその問いに、ぬいぐるみの柔らかな手を口に当てては、きゃっきゃと小悪魔じみた様子で楽しそうに笑ってみせる──
それを見た、レオンは悟った。
──動けているましろが、本当に可愛いから許す。許す。神魂グッジョブ。
「……」
しかし、問題はここからだった。
ましろが先程、レオンが悩んでいる間から、よいしょとその脚の上に登って、ずっと、とある事を訴えかけているのである。
「パパ。ましろちゃん、お外に出たいなー」
「外かぁ……。いや、でもな──」
レオンは神魂の効果であるが、これが現実である事には理解した。
ましろは動く。喋る。しかも可愛い。それは良い。
だが、その『ぬいぐるみが動いている』という、常識と世界摂理にボディブローをかましている現実を、外というフツウの中に持ち込んでも良いものか……
「ねぇ、パパおねがーい♪」
柔らかい綿の入った両手を顔の前に合わせて、レオンの膝の上でましろがまっすぐ瞳を見つめてくる。
そして、こちらの様子を窺うように、こくんと小首を傾げて見せれば、
──『ばきゅーん!』と音がして、
その愛くるしさに、レオンのハートは見事に打ち砕かれた──
「しょ、しょうがねえな……!
着替えるから、待っててくれ」
小悪魔要素を全開に出したましろの仕草に、幸せ脳内物質で頭をいっぱいにしたレオンが立ち上がる。
「やったぁ。パパ大好きー!」
……こうして、レオンは世界に対してほんのささやかな喧嘩を売ることにした。
全ては、六年間愛情を注ぎ続けて来た、可愛くも愛しい存在の願いを叶える為。
そんな思いを浮かべながらも──動くましろを見つめながら着替えるレオンの表情は、幸せという思いに、てろてろに溶けていたのは言うまでもない──
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「大丈夫か? 座り心地悪かったりしないか?」
「うん、大丈夫だよ。パパと同じ高さなのすごーい♪」
シーサイドタウンまで歩く道。
家の中で、レオンは形だけではなくて、ちゃんと徒歩にも耐えられるお手製靴『ましろ専用靴』を履かせて家を出たのだが。
当のましろ本人(本ぬいぐるみ)は、嬉しそうに歩くこと二十歩にして、
「むー、歩くのめんどー。
パパ、肩に乗せてー」
そう言いながら、よじよじとレオンの肩に登ってきたのである。
レオンもその言葉は少し悲しく思いつつも、膝を落として、途中からましろを持ち上げて自分の肩に乗せてあげた。
……もちろんそのまま、ましろが歩くのが楽しければレオンは喜んで待つつもりだったのが、
それでも──今日という時間が、あまりも少ないのはお互いに分かっていたから。
一つの事に、あまり時間を費やせないことも、お互いに確認しなくても、共通項として胸に残る事であったから──
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「ましろ、何がしたい?」
辿りついたアウトレットモール。レオンの肩に座って歩くのもしっかりと板についた、ましろへと語り掛ける。
「甘いもの食べたい!」
それにましろは、ぬいぐるみ用ビーズの赤い瞳をきらきらと輝かせて、片手をあげて元気いっぱいの返事を返してきた。
「よし、あそこにカフェがあるしそこに行くか!」
「うん!」
明るくも、今までに無い体験に喜びの連続であるましろを伴って、早速喫茶店に足を運ぶ。
店員さんは、肩に乗ってとても自然に動いては、レオンに話し掛けるましろを見て、驚きに目を剥く様子を見せたが、それでも席の案内から注文の品を届けるまで、どれも滞りなくこなしてみせた。
「わぁ……っ。本物のケーキと紅茶」
ましろの為に、レオンは食べ物をぬいぐるみで作った事もある。しかし、ましろにとって流石に本物は初めてだ。
ましてや、本物を口に入れる機会は、幾ら寝子島でもどれだけ機会があるかは分からない。
「パパ、あーんさせて♪」
ましろのリクエストを受けて、レオンがスプーンを持ちケーキの端を掬って、その口元へと運ぶ。
ましろは躊躇いなくそれを小さな口でぱくっと食べた。そして、
「おいしい!!」
と周囲にまで響く声で、大喜びでその嬉しさをレオンに伝えた。
周囲がテーブル席に、実質一人で座っているレオンに目を向ける。
しかし、それを余所にレオンはその瞬間にましろが見せた、一際輝いて見せた表情に浮かんだ微笑みを隠さなかった。つまり他の人の目はもう全く見ていなかった。
「もう一口ちょうだい!」
「もちろん、せっかくだから食べられるだけ食べるんだぞ。あ、紅茶も飲むか?」
「飲むー!」
そうして、人ひとり分の紅茶とケーキはどこに入っているか分からないが、全てましろのお腹の中に収まった。
「おいしかったね、パパ!」
一人とひとつが満足して店を出る。時間は夕方を差していて、綺麗な夕暮れが外の窓からアウトレットモールの中に光を差し込ませていた。
ここから、改めて他の場所に行くには、あっという間に夜になってしまう時間。それなら、色々な物が目に入るここを歩いて、たくさんの会話をしたいと思えたのだ。
道中、バッグの店を見れば、ましろが新しいバッグよりも、今レオンが使っているバッグの方がきっと居心地がいいから変えないでと訴えかけたり。
話をすればする程──そこには、レオンにとって今まで知るよしもなかった、ましろの世界を知ることが出来た。
「……」
レオンは、楽しそうにキョロキョロし続けるましろを肩に乗せて──このまま、ずっと話が出来ればいいのに、と思ってしまう。
それでも、気が付けば夕日は既に沈んでいて、いつしか夜の色にオレンジ色の名残だけを残しているところだった。
「あ、パパ。あれすごいね、キラキラしてる!」
その時、ましろが指差したのは、店頭に様々な商品が置かれた雑貨屋だった。
そのいくつかがレオンの目にも留まって、ふと、せっかくだから今日という日の思い出に何か買って行ければという思いが心に湧いた。
「分かった、ちょっと見ていくか。せっかくだから何か買っていこう」
「やったー! パパ大好きー!♪」
うきうきと、一人とひとつで店内を見て回る。
そこで、レオンは一つの小さなブローチを目に留めた。
「これとか……」
そう告げて、レオンが手に取ったそれは、二つ一組で、一つに組み合わせる事でハートの形になるというものだった。
「こういうのってカップルでつけるものじゃない?」
両手を自分の口に当てて、肩にいるましろがクスクスと笑う。
──でも、それはまんざらでもなさそうな様子だったから。レオンも冗談めいた様子で笑い返して、それを持ってレジへと向かった。
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夜が更けて、大分経つ。
薄明かりだけを付けたレオンの自室で、一人と一つは、その場でその時、心に思いつく限りの話をした。
時間は駆け足で過ぎていく。子供の頃の思い出話にまで遡った頃、時計は午前三時を回っていた。
季節は夏。夜明けは早く、それが刻限だと一人とひとつは良く分かっていた。
だから、時間制限の痛切さを味わうのではなく……一人と一匹は、その時間を一緒に眠ってすごそうと、どちらからともなく、そう決めたのだ。
薄暗い中、レオンはましろに今日一緒に買ったブローチを服の上から付けてあげた。
「ねえ、パパ。ぼく、ブローチ似合ってる?」
「ああ、似合ってるぞ」
「よかった」
そして、今までの中で一番落ち着いた声で、ましろがレオンにそっと告げた。
「パパ。大好きだよ。これからもよろしくね」
それは、分かっていたけれども、切なくて。そしてどうしようもなく嬉しい言葉。
レオンの胸が、ただ泣きそうな程にじんわりとまだ流していない涙で滲んだ。
「──俺も大好きだよ。明日からもまたよろしくな」
太陽が昇れば、またいつもと同じ日常が巡る。
それでも、今日という日を過ごした一人と一つにとっては、きっと今まで以上に大切な日常になるだろう。
その大切な想いを胸に、一人と一つは寄り添い合って、静かに二人一緒に眠りについた──
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あとがき
担当マスター:
冬眠
ファンレターはマスターページから!
この度は、ご参加くださいました皆様、ならびに最後まで読んでくださった皆様。誠に有難うございます。この度マスターをつとめさせていただきました冬眠と申します。
今回は、大規模の遅延を起こしてしまい、ご参加の皆様にはお待たせしてしまいまして、誠に申し訳ありませんでした。
現状の状態では、様々なスケジュールがどうしても上手くいかない状態であることから、MS業をしばらくお休みさせていただくこととなりました。
この度、お待たせしてしまいました皆様には本当に、重ねてお詫び申し上げさせていただきます。
この度は、物を対象にしたシナリオということで、カツカツではございましたが、執筆自体は本当に楽しく行わせていただきました。これ程嬉しい事はありません。本当に有難うございました。
それでは、これにて。少し見通しは立っておりませんが、復帰が叶いました際には、どうかまた何卒宜しくお願い致します。
今まで、本当に素敵なお時間をいただいてまいりました。ここに深く、皆様への心からの感謝を込めまして……。
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冬眠
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ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月29日
参加申し込みの期限
2019年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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