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つくものかみの言うことにゃ
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【誰かを想う、その自由だけは】
その持ち主は、夜の間ずっと眠ることが出来なかった。
怖くて、不安で。
今、ベッドに腰掛けている自分の足元が、突然抜けて暗闇に落ちてしまうような錯覚までして。
考えれば考える程、胸の内でわだかまる恐怖。もう夜が明けてしまう中、持ち主は手を辿り探るように伸ばした先にある、大切な存在を強く抱き締めた。
一筋の日が差し込む。夜陰の中の明るさと共に、持ち主は腕の中の大切な存在に、温かでまるで生きているかのような違和感を覚えた。
そして──持ち主の切なる思いに、応える為であるかのように、それは小さく身じろぎするように動き始めた。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「タイラ……タイラ、ごめんね。ほんの少し苦しいかも」
「──!?」
腕の中から響いた声。
タイラ・トラントゥール
は、いつしか形が崩れるほどに抱き締めていた、腕の中にあるぬいぐるみに視線を向けた。驚いて手を緩めれば、それは、そっとタイラが腰掛けているベッドの隣へと移動する。
それは寝そべるように伏せた形をした子虎の抱きぐるみだった。
『シャルル』と名付けられた、金の毛並みと露草色の瞳をした、持ち主のタイラと同じ色彩を持つ姿。
それは何年も、タイラが生まれた時から、ずっと長く一緒にいる分身にも近い存在──
「……、
ボクはまた夢でも見ているんだろうか……」
理解が及ばず、つい過去にもシャルルと対話をした事のある、
夜の図書館での出来事
を思い出す。
あの時は、目に入る全てのぬいぐるみが自由に動き回ってかなり騒々しかったが、今動いているのはシャルルだけのようだ。
静かな、まだ誰も起きていない暗すぎる夜明け。こちらの様子を見つめるシャルルと目が合った。
「シャルル……」
「……また眠れないと、いつか目の下にクマが出来ちゃうよ」
「あ、ああ……」
ぬいぐるみなのに、今はシャルルが心配そうにしている様子がはっきりと伝わって来る。その視線を受けて、タイラは慌てて目を擦った。本当は心配を掛けたくはなくて『きちんと寝ている』と言いたかったが、あまり説得力がなさそうだった。
「タイラは、最近ずっと悩んでるよね」
「そ、そんな事は……」
シャルルのつぶらな瞳を前にして、タイラは否定しようとした言葉を最後まで言うことが出来なかった。
それでも、言葉の行く末を見守るようにこちらを見つめる様子に、タイラは眠れずに胸にわだかまっていた思いの一端を、小さな吐息にしてシャルルにこぼす。
「……」
シャルルは、タイラが部屋にいる時、いつもその傍にいる。
日常では動く事はなくても、話すこともなくても。いつもその隣にいて、タイラが両親を含め親族には決して零さない話を無言の内に聞いてくれていたのだ。
シャルルがぬいぐるみらしく、もそもそと動いてタイラの膝の上に乗る。
そっと手を伸ばしてタイラが触れれば、そのぬくもりや手触りは、本当にいつも知るシャルルそのもので、少しほっとする自分に気が付いた。
……いつも通りのシャルルだから。きっと自分の事はお見通しなのだろうと思う。
いつもは、自分が一方的に語り掛けるだけであったけれども、今の状況ならば、少し……きちんと話を聞いてもらうのも良いかも知れないと思えた。
「………………」
それでは何から話そうかと──タイラが改めれば、それは言葉にするのが何だかとても難しくて、そしてどうしようもないほどに苦しく思われた。
息が詰まったように言葉を探すタイラの胸に、長くない手を当てるように向き合ったシャルルが、穏やかに話し掛けた。
「タイラはフランスに居たときよりもずっと楽しそうだよ」
シャルルのその顔は、つぶらな瞳はそのままに、柔らかな表情でタイラをじっと見ていた。
タイラはそれを見ながら、自分の記憶を振り返った。
思えば、寝子島に来てからは、フランスに住んでいた時よりもずっと思い出が増えた。同時に忘れられない奇妙な夢もたくさん増えたが──
「あの子のおかげ?」
シャルルが自分達から少し離れたベッドサイドに置かれている、小さなちび竜のぬいぐるみに目を向けた。
タイラも一緒にそちらの方を見ると、そこには動いていないひとつのぬいぐるみがあった。
過去にとあるテレビ番組の謝礼でもらった、焦げ茶色の布地を中心に、赤と黄色の炎模様をしたバンダナを巻いている……どこか親友にとても良く似たぬいぐるみ。
いつも見る奇妙な夢は──その友も、何故かは分からないけれども、一緒に覚えていて、共有の出来るものであったから。
きっと誰にも話せないであろうお互いの思い出は、普通の倍くらいは一緒に大事に持っている──
「……アイツと一緒に居るのは確かに楽しい。
だが、同時に──」
そんな思いを重ねて、タイラは再び言葉に詰まる。
友と、共にいるのは楽しい。これは本当だ。今まで、苦楽も、そこに危険が交じっていても、それらをずっと共にしてきた。
自分のかけがえのないライバルで、そして『親友』だ。それは違えようも──
「……」
『ない』と──断じようとしたところで、胸が、脳がぎしりと痛んだ。
怖いという感情が、苦しいという感情が、容赦無くタイラの心を苛んだ。
「……タイラ? 大丈夫?」
シャルルが、不安を表情に乗せてタイラの様子を窺う。
言葉途中で、心配を掛けてしまった事を申し訳なく思いながら、タイラはシャルルの柔らかい毛皮を撫でた。
小さくも長く、息を吐いて吸い直してからタイラは続ける。
「──アイツは、いつも……バカみたいに真っ直ぐで、勝手に助けようとするお人好しで。
太陽みたいに眩しくて……温かくて……優しい」
シャルルには遠いが、タイラには手を伸ばせば届く所にある距離──今はシャルルと違って、動いていない『リール』と名付けられたちび竜の首を、タイラは愛しさを込めて、触れるようにちょんとつついた。
可愛らしく揺れるリールの動きに、タイラの表情に柔らかな微笑が浮かぶ。
しかし、それも──先程から何度も波のように押し寄せる暗い感情に、簡単に押し流された。
「……けれど、兄様ならそんなものは不要だと……
付き合う価値などないと──そうすっぱりと切り捨てるだろうな……」
呟きと共に、声という形になった『起こりうる未来』に、タイラの心は完全に闇に伏せられた。
兄様──タイラの従兄にあたる存在は、ある意味においては『完璧』であった。
それは、彼に接する誰もが目にする、厳格で自信にあふれた行動ではない。
彼と出会い誰もが感じる、その気品と明晰な頭脳でもない。
それらの陰に必ず存在する──傲慢さと狡猾さに、躊躇いなく裏でその身を委ね、隠し持っていた残忍さで、タイラを『完全に自分の人形とした』その一点において。
「……兄様に知られるのが怖い?」
尋ねてきたシャルルにも、それは分かっていた答えだったかも知れない。それでもゆっくりと言葉にしたのは……それは今、タイラが頑なに封をして話さず隠してきた、その事実をきちんと認識しなければいけない気がしたからと思える。
「そう、だな……怖い……とても……」
その事実は、考えるだけで震え上がるようだった。
今のタイラにとって従兄の不興を買う事はこの世の終わりにも近かった。
「……ボクと一緒にいると……知られると、いつかアイツを傷付けるかもしれない。
……そんなものは見たくない……」
もう自分は、どうしようもなくても。
それで、あの眩しい親友が傷付けられるのは、とても堪えられそうにないから。
深く思いにふけり、その場でついに沈痛な面持ちで沈黙をしたタイラの様子に、シャルルは柔らかな体をタイラの膝の上で体勢を変えながら、問い掛けた。
「それは、あの子の事が好きだから?」
「なっ──!?」
タイラの顔が、想定外の驚きから、一気に朱色へと変化した。
この場合の好きの定義はどの辺りになるのだろう。それはそうだ、あの輝かしいまでに眩しい存在を、嫌いだなんてどうして──
「──違うっ、そういうことじゃない!
シャルル! と、突然何を言い出すんだっ!」
突然のシャルルの言葉に、動揺したタイラの反応が大きく揺いだ。
シャルルはそれに動じる事なく、一つこくんと頷くようにしてから、少し小首を傾げて尋ねかけた。
「じゃぁ嫌い?」
投げ掛けられた問いに、タイラの思考が不意を突かれて停止した。
そして、瞬きを一つしてから考え始める。
確かに、親友には猪突猛進だったり、頭が若干良いとは言い難かったりと難はある。
難はあるが──今、それがどうして嫌いになる理由となるだろう。
「……嫌い……では、ないが……」
しどろもどろに、それでも確かに、タイラはそこに否定を置いた。
「ふぅ~ん」
言葉の後。シャルルは再び頷いた後に、タイラの膝の上で大きく伸びをした。
「シャルル。真面目に答えたのに、なんだというんだ」
今度は、タイラがシャルルに対して、若干珍しくむくれた表情で明確な不満を露わにする。
すると、シャルルは綺麗なタイラと同じ色をした瞳をパチリと瞬かせて、その目を僅かに細めて、こう答えた。
「だって、前なら『嫌いだ』って言ってたよ」
「──!」
タイラはシャルルの言葉に、無意識のうちに片手で顔を覆っていた。
……過去の自分という存在を逡巡する。
確かに『過去の自分なら』間違いなく相手を『嫌いだ』って言うだろう──
「ね?」
「~~~~~っ」
タイラの胸に、言葉にならない恥ずかしさがこみ上げて来て止まらない。
これは、過去と違うという成長なのか。単なる平和ボケなのか。
それとも──もう『嫌いになる事は、決して無い』という、想いなのか……
「………………」
今口を開けば、余計に恥ずかしいことになってしまう気がして。タイラはシャルルから視線を外して、その場で押し黙る事にした。
それでも、目の端にそんなタイラを見て、嬉しそうに、自分の手触りのように柔らかく笑っているシャルルの姿があった。
……そこには。たとえ自分の、その全てが終わってしまう可能性が見えたとしても。
それでも、タイラの『誰かを想う、心の自由は消せないのだ』と──そう、胸の奥でシャルルが教えてくれている気がした……
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冬眠
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ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月29日
参加申し込みの期限
2019年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月05日 11時00分
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