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つくものかみの言うことにゃ
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【だーいすき!】
少女が眠る夜明け前。
隣には、少女にぎゅうと抱き締められ、一緒に寄り添って眠っていた一体のテディベアがいる。
──それは、小学校に入学したばかりの少女を祝う為に、海外出張で忙しい父親から送られてきたもの。
きちんと可愛らしくラッピングされた箱に入っていたそのテディベアを、少女はすぐに『家族』として迎え入れた。
父の日に描いたイラストには、父と母と少女の傍らにそれがいた。まるで砂が水を吸うように、そのテディベアの存在は、少女の中で大切なものとなったのだ。
……だが、きちんと愛されてきたテディベアにも少し、日常の中で思うところがあった。不満と言うほど強烈ではないけれども、きっとこれは不安というのかも知れなくて。動けなくとも、喋れなくとも、それを思うとどうにも心が落ち着かない。
そんな白い体にピンクのリボンがとても良く似合う、テディベアへと。まるでその心の願いを叶えるように、神魂が収まった。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「うー……っ。
ひどいよ、甘桃! せめて何か言ってくれてもいいのに!」
小学校1年生の私室にしては生活水準の影響か、少し広めの部屋の中。
いつも通り『くまもも』──持ち主の名に合わせて名付けられた、白いテディベアは、朝に慌ただしく起床した持ち主である
百岳 甘桃
と顔を合わせた。
それよりも早く、明け方に動けるようになっていたくまももは、朝になって甘桃が目覚めるまでを楽しみに、健気にじっと待っていたのだ、が──
「たいへん、ママがおこって起こしにきちゃう!」
と、そんなくまももをよそに、今日は夏休みの登校日だった甘桃は、つい身支度の時間まで眠ってしまい、周囲がまるで目に入っていない様子で、部屋を飛び出して行ってしまったのだ。
……大切にしている、くまももが動ける事も気に掛けられないまま……
「甘桃のばかー……っ!」
寝過ごすと甘桃のママが起こしに来る。時折、こういう事は起こるのだが……よりにもよって今日じゃなくてもいいじゃないか──くまももは、そんな辛い理不尽を抱えながら、仕方なく甘桃が帰ってくることを部屋の中を歩き回りながら待つことにした──
それから……窓から見られる夕暮れ時。
静かだったくまももの耳に、階段を大きく上がってくる音と、聞き間違えようもない声が響いた。
「ただいまー! 今日はテストが100点だったよー!」
部屋のドアが勢い良く開いて、甘桃が飛び込んで来た。手には赤いペンで花丸が描かれたテスト用紙が誇らしげに持たれている。
「くまももー! 見てみ、て──っえ……?」
「ひどいよ甘桃! 朝からずっと、ぼくのこと見てくれないなんて!」
驚きに硬直した甘桃の前で、二本足で立ち上がったくまももが、両手を大きく振って今度こそはと自己アピールをしてみせる。
「──くまももが動いてる!?」
「もうっ、朝からずっと動いて待ってたんだから!」
「あっ……ごめんね、くまもも。
あさは、おそく起きるとママがおこるから──」
甘桃がしょんぼりとしながら心配そうに、カーペットの床に膝を付けて、くまももに謝るように顔を寄せる。
「う、ううんっ! やっぱり今のはなしだよっ。聞いてくれればいいよ!」
甘桃の謝る言葉が物凄くこちらまで辛くなってしまいそうで、くまももも慌てて怒ったことを取り消した。
だって、いつもは喋らなくても仲良しなのだから。喋って仲が悪くなるなんて、そんな悲しい事があっていいはずがないのだから。
「でも、くまももが動いてるなんてうそみたい!」
甘桃がわぁっという歓声を上げながら、床の上でしっかりと二足歩行をしている、くまももを心のまま勢い良く掬い上げて力一杯抱き締めた。
「きゅぅ~っ、苦しいよ甘桃!」
「今日はごめんね……!? でも、見てみてくまもも!
そのかわり、わたしテストで100点だったんだよ!」
「すごい、甘桃! 甘桃がんばったんだね!」
「えへへ……っ、うん!
そうだ、アマデトにも見せなくちゃ!」
今日の甘桃の成果は、学校のテストで100点を取ったこと。今日のテストは少し難しめだったのだが、それに満点を取った事で、先生は甘桃を思い切り褒めてくれた。
それも重なり嬉しくて、甘桃はスタイリストのお仕事で帰ってきていないお母さんの代わりに、全力でくまももへと伝えに来たのだ。
しかし、このパッションはまだ消えることなく、そのまま枕元へと大切に置かれているアマデト──カプセルギアのアマデトワールを手に取り、それはもう輝くような顔でアマデトに100点のテスト用紙を広げてみせた。
今回の奇跡は、くまももに起こったものでアマデトが話し動く様子はない。しかし、それでもアマデトは甘桃にとって大切なお友だち。
「……アマデトばかり……」
くまももがぽつりと言った。
──くまももの目には、いつも、アマデトがすごいものに見えている。
アマデト。アマデトワールは、とても綺麗なカプセルギアだ。柔らかなピンクのたてがみに、さらに空へと広がる白い翼と、金色の角が生えたペガサス。可愛くて凛としていて、よくギアバトルの練習で楽しそうに遊んでいる甘桃にぴったりだと思う。
それを言ったら、一応、外見こそは少しシンプルだが、くまもも自身だって負けていないと思う。
甘桃へと込められたお父さんからの優しさとか想いとか愛情とか……くまももには沢山のものがつめられている、つめられている、けれども。
「……え? くまもも、なぁに?」
「な、なんでもないよっ!」
甘桃は、動いてお話出来ることは物凄く嬉しいけれども、動かないものにとっても、やはり同じだけ大事なものなのだろう。
しかも、更にアマデトはギアバトルの練習中は、本当に楽しそうに動いている。
指示を出す甘桃と、まるでお話をしているように、見とれてしまうくらいにキラキラして動くのだ。
だから、動く事はアマデトにとっては特別なことではないと思う。
ならばむしろ、日常完全に動けないくまももにとっては──今は、本当に特別な時間なのだから、本当はもっとかまってもらいたいと思うのだ。
……しかし、くまももはその言葉を頑張って呑み込んで、アマデトに楽しそうに語り掛ける甘桃を見ていた。
何となく、自分が動ける時間には制限が決まっているような気がしたから、その間は喧嘩なんかもっての外で、めいっぱい大好きな甘桃と遊びたいと思ったのだ。
「甘桃、今日は学校で何してきたの?」
「うんっとね……折り紙と、ピアニカ!」
「ピアニカ?」
「うんっ、ちょっと待ってて」
そう言うと、甘桃は大きめの手提げ袋の中から、長いジャバラ状の吹き口がついた鍵盤を、くまももの前に引っ張り出して来た。
「上手くひけるようにならなきゃ曲があって、れんしゅうするのに持ってきたの!」
「すごい! 甘桃、何か弾いてよ!」
「うんっ!」
くまももが、胸をどきどきわくわくさせる音が自分で聞こえるくらいに、目の前のピアニカに釘付けになる。
それに甘桃は、緊張した様子で吹き口をくわえて、吸い込んだ息を吹きながら鍵盤を押した。
ぱ~ぴょ~ぴー
「すごい! 音が出たよ甘桃!」
「う、うん……
あ、あれ? が、学校だともう少し上手くひけたんだよっ?」
「本当っ?」
「本当だもん!」
甘桃が、頑張ってもう一回チャレンジする。学校でならった音符を思い出して、ピアニカの鍵盤をじっと見て……
ぱぴょっぺ~
「甘桃! きっと『ぴあにか』も機嫌が悪いんだよ! だから変なんじゃないかなっ。
練習は後にして、折り紙見せてよ!」
「そ、そうだね…だ、大丈夫だよね。くまももがそう言うなら……っ! こっちはいったん置いといて、折り紙タイムー!!」
……子供の人間関係には、そもそも高等技能である、ツッコミ役と方向修正役は存在していない。
その上、くまもももお父さんが『大切な娘の隣にずっとあれるように』等の沢山の思いをつめた人形の為、ずっと甘桃の傍にいる傍らで、その在り方は『甘桃の双子の兄弟』にとても近しいものになっていた。
ツッコミ役がこの場にいないというのは、人間関係の形成には若干厄介てはあるが、それも子供であれば些細な事であるだろう。
そして──甘桃がくまももをベッドの上に抱き上げて、バッグから折り紙の山を取り出した。
ベッドの上は一瞬にして、シーツの柔らかなピンク一色から、様々な色相彩度の正方形をした紙がひしめき合う色彩の嵐となった。
「お、折り紙ってこんなに大変だったんだね……?」
くまももが、一緒に出された下敷きの上で、必死に折り紙の正方形の角を他の角にずれずに合わせるという作業で行き詰まっている。
くまももの体は、大きくはないが小さくもない。しかし手足は先が丸いので器用と言えば答えは違うとしか言いようがない。
今まで、良く甘桃がお土産に折り紙で作った紙細工を、くまももの隣に飾ってくれていたりしたけれども、それが手が不自由であると、どれだけ大変な事なのかを実感するのだ。
傍らでは、甘桃が何かを悩みつつも、少しずつ確かに折り目を増やしているところだった。
「う~ん……難しいよー!
──あ、やっぱり甘桃は上手! 何折ってるの?」
くまももの問い掛けに、一所懸命に折り紙の方を熱心に見つめたままの甘桃が答えた。
「んっとね……これが、わたしでー……
こっちがアマデト──」
「もうっ!
また甘桃は、アマデトの事ばかり──!!」
言葉途中の甘桃を遮るように、くまももが大声を上げた。そのビーズの目には、いつしか今にも零れそうなほどの大粒の涙をたくさん溜めて。
「ずるい! ずるいよっ! ぼくだってアマデトみたいに動けるようになったのに!
ぼくだって、アマデトよりも三ヶ月も先に甘桃の所にいる先輩なんだから!
なのに……っ。甘桃は、アマデトが来てから、そっちばっかりっ!! もう、ぼくなんかいらないんだーっ!」
そうして、ついにくまももは、目に届かない手を濡れる両頬にまで伸ばして、涙をぼろぼろ零しながら甘桃の前で泣き出した。
言っている事はしっちゃかめっちゃかでも、そこに伝わって来るのは、沢山詰まっている甘桃への思い──
「わ……うぅ……!
ごめん、ごめんね。くまもも、あのね……!」
もう隠すことなく大声で泣き始めたくまももに、甘桃が、まだ幼い故に感情につられるように、一緒に泣き出しそうになりながら、必死に言葉を続けた。
「今折ってるこれ、くまももなの……! みんなで、手をつないでいるの、作れたらいいなって……」
「……!」
「だから、いらなくないよ! わたし、くまもものこと動いていなくても大好きだもん!!」
恐らくくまももなのであろう、不思議な形に折り紙を完成させた甘桃が、折り紙を脇に避けて、くまももに顔を埋めてぎゅうっと抱き締めた。
くまももにも、甘桃の温かさが伝わって来た。
そもそも、くまももにとって、甘桃が嘘なんてつくはずがない。
「──ぼ、ぼくも甘桃のこと、大好きだよ!」
まだ小さくしゃくり上げている甘桃に、くまももも手を伸ばせるだけ伸ばして甘桃に抱きついた。
「うん……っ!!」
それは、今日限りの動きや言葉であったけれども。それでもお互いの心が、今までが嘘なんかではない本物なのだと、幼くとも理解ができた大切な時間──
……どちらともなく、視界の端にある折り紙が目に入る。
乱雑に寄せられていても、その三つは少しずつ重なるように寄り添い合っていた。
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月29日
参加申し込みの期限
2019年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月05日 11時00分
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