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つくものかみの言うことにゃ
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【五十年の息吹】
ここに一つの懐中時計がある。
それは、醸し出されるアンティークの雰囲気と、芸術性を兼ね備えたものでありながら、動くことを完全に見限られた故に、フリーマーケットで不要品に等しい二束三文として叩き売られたものだった。
一般人は、壊れたアンティーク時計に有効性は見出せず、またその殆どが、手間暇を掛けてそれを直そうという気概を持ち合わせている訳でもない。
しかし、それ故に。この運命と少女は巡り会うことが出来た。
それは、人の眠りが醒めるよりも、もっと秘めやかに密やかに。
夜の闇から降るかのように、神魂の欠片が、机の中に何よりも大切にしまわれていた一つの懐中時計へと舞い降りた──
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「いっち、にー、さん、しっ」
元気な小学生である子供達の声がグラウンドに響き渡る。
寝子島小学校では、夏休みの一環としてラジオ体操を推奨していた。参加をすれば、皆が胸から掛けているスタンプカードにポイントがもらえる。
参加しなければ大人達はうるさいばかりだが、最初は真っ白であったスタンプカードが埋まっていくのは地味に嬉しいし、終わった後に小さなお菓子を一つもらえるのも、それと重ねて嬉しいものだ。
そのラジオ体操の中に、
佐藤 瀬莉
の姿はあった。
Tシャツとショートパンツ姿で、元気に腕を伸ばし力一杯に胸を反らす。
幼い頃に大病を患った瀬莉にとって、当時到底叶わないであろうと思われた過去の願いは、今確かな眩しい現実としてそこにある。
身体を動かすのはとても心地良い──そうして、瀬莉が全力で身体を伸ばしたその時。
「瀬莉……」
声が聞こえた。
「……?」
声がした方を探そうと、つい辺りを見渡してしまって体操がずれる。
「瀬莉……」
「──!」
慌てて、何とか送れたリズムを取り戻した瀬莉の耳に、確かにそれは鼓膜を響かせて、その声を主張した。
聞き覚えがあった。静かで、まるで落ち着き払った貴婦人のような女性の声。
(胸元……?)
体操の合間、ただひたすらに不思議で首を傾げる事しかできない。だが、胸元にあるのはスタンプカードと──今もTシャツの下に、密やかに下げている
『懐中時計』
──
「sofia……!?」
驚きに、瀬莉が思わず小さく声を上げるのと、ラジオ体操終了の合図が鳴るのとはほぼ同時だった。
ラジオ体操が終わり、熱い日差しを受けて顔に流れた汗をタオルで拭いた後。今日のスタンプを押してもらう前に、瀬莉は小さな倉庫の物陰に隠れてTシャツから、美しい意匠を凝らされた懐中時計を引っ張り出した。
「sophia? sophiaなの?」
胸が一気にどきどきした。高鳴る響きが自分の身体にしっかり伝わって来る。
「ええ。お久しぶり……って気がしないわね。いつも一緒にいるのだから」
懐中時計から伝わる声──溢れそうになっていた瀬莉の胸の高鳴りは、一気にその驚きを喜びと共にして、まるで花火のように広がり輝く笑顔へ変わった──
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
過去、小学校三年生にとって、フリーマーケットで売られていた百円は大層高価なものであったが、瀬莉は何とかそれに手を伸ばして、裏蓋に刻まれていた『Sophia』という存在に触れる事が出来た。
それから驚くべきことに、瀬莉は独学と人から聞いた知識をもって、動かない時計に新たな命を吹き込むことに成功したのだ。
……それは、瀬莉の未来の目標を定める程の出来事だった。時計職人になりたいという夢を胸に抱いて、以来『Sophia』は、ずっと瀬莉の傍らにある──
「でも、こうしてお話しするのは何か月かぶりよね」
Sophiaが語り掛けてくる。過去には
人の姿
をとって現れたこともあった。
聞こえてくるのは、二十代の後半程度の声であろうか。その響きは、代わらず穏やかでしっとりしたものだった。
「……神魂のためなのだろうとは思うけど……」
Sophiaの覚えのある変わらない声が、瀬莉には嬉しい。だが、このフツウではない非日常を、現状ではどう扱うべきだろう。
「ねぇ、sophiaは何をしたい? 何かしたいこと、ある?」
「……ええ。
あなたと、この寝子島を、もう一度散歩したいわ」
それは単純な、物であっても動ける嬉しさからではなく……ただ静かに、瀬莉と共にある時間を、言葉を交わして過ごしたいと。そういった思いからである事が、Sophiaのゆったりとした口調の中から、穏やかながらにとても強く伝わってきた。
ふとSophiaから意識を外せば、広場のラジオ体操は殆どの子供達がいなくなっていた。瀬莉も後はハンコを押して家に帰るだけ。
ならば、当然瀬莉にそんなSophiaの願いを断る理由は見当たらなかった。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
ラジオ体操のスタンプを押してもらい、瀬莉は体操着から、可愛らしいフリルのついた、幼いながらも上品さを併せ持つ私服へと着替えをした。
そして、首にさげられていたSophiaを、いつも通りに服の上へと引き上げる。
「話せるって分かると、服の中は窮屈よね」
「それでも、瀬莉と一緒に行動できるのは、とても嬉しいことよ」
まだ目的地を決めていないものの、歩き出して少し申し訳なさそうに尋ねた瀬莉に、Sophiaの声はとても優しかった。
一人とひとつは、小学校から歩いてエノコロ岬の高台へと辿りついた。
正面には見渡す限りの大海原が広がり、横の方を見れば、夏の終わりでだいぶ人の減った寝子ヶ浜海岸が目に入る。
「これが……海?」
眼前に広がる景色に、Sophiaが声の内に僅かに驚きを携え瀬莉に尋ねた。
「うん。え──sophiaは海、知らないの?」
「ええ、スイスには海がなかったから……大きな湖はあったけれども、海は初めて見るわ。
──海はこんなにも大きいのね」
「……うんっ。
sophiaに海が見せられて良かった。お話が出来るってやっぱり凄い事ね。
せっかくだし海岸にも──あ、でもsophiaが錆びちゃったら……」
「大丈夫よ。そうしたら瀬莉が直してくれるのでしょう」
その言葉は、Sophiaから瀬莉への信頼の証。
瀬莉は嬉しくなりながら、エノコロ岬を降りて寝子ヶ浜海岸の方へと歩き出した。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
夕暮れ時。寝子ヶ浜海岸から、寝子島シーサイドアウトレットを巡り、瀬莉とSophiaは併設されている巨大観覧車の前に辿りついた。
夕焼けが煌々と、建物と観覧車を照らしている。朱くとても幻想的な雰囲気が滲み出ているのもあってか、同じく、瀬莉達の他にも道すがら観覧車に向かうらしき人達の姿を見ることが出来た。
「sophia、最後に乗っていきましょ!」
「瀬莉、お金は大丈夫なのかしら?」
「うん、前にもらったチケットがあるから」
そう言って瀬莉はSophiaへと、以前両親からもらった観覧車のチケットを見せた。友達と一緒に、と何枚か渡されたものだが、一枚しか使用されなくともその目的は変わらない。
もしくは瀬莉にとって、今はそれ以上の価値があると言っても過言ではないだろう。
「わぁ──きれい……!!」
観覧者に乗り込み、ガタンと揺れる音と共に、瀬莉はSophiaと共に向き合うように、つるべ落としとなっていた夕日の方へと目を向けた。
「夕日の光が、揺らいでるみたい……」
「素敵ね。こんなに美しい景色があっただなんて。
スイスもとても素敵なところだったけれども、このような景色は、本当に初めて目にしたわ」
ゴンドラはゆっくりと、しかし着実に高くへと上がっていく。
その過程ではっきりと目に出来ている、海の彼方に半身を沈めようとしていた太陽は更に揺らいで、その様がこちらにまで伝わって来るようだった。
「スイス……
そう言えば、sophiaはいつ、日本に来たの?」
落ち掛けた夕日を反射した瀬莉の瞳はとても無邪気なもので。それは本当に、今特別な時間の中に生まれた会話の中で、Sophiaの事が知りたいという……ほんのささやかな願望以外の何物でもなかった。
故に、瀬莉は──そこに、本当にいつも通りの、大人びて優しく語り返してくれるSophiaの言葉を期待していた。
しかし、
「ごめんなさい、今はそれは……」
そこに届けられたのは、僅かな哀愁を漂わせた、緩やかでありながらも確かに存在する切ない想いだった。
Sophiaの言葉に紡がれたのは、瀬莉を気遣いつつも、それでも伝える事が難しい哀しみだった。
「ぁ……」
瀬莉も、それに事情を理解し押し黙る。
一人とひとつの間に、今までの会話とは質の違う沈黙が、湧き出す泉のように滲み出した。
──いつか、話してくれる日がくるだろうか。また、いつか起こり得る会話の内に。
「……」
いつかSophiaから、それを話してもらえるような存在になりたい。なっていたい──瀬莉は、沈黙を追いやるように元気に、今出来る自分の精一杯を声にした。
「また今度、こうしておしゃべりできたらいいね!」
観覧車のゴンドラが、天頂から下りへと差し掛かる。
瀬莉の胸元で、その表情と同様に、既に翳りが残るだけの夕日の光が注いだSophiaが微笑んだ気がした。
声もなく、姿は懐中時計そのままでも──瀬莉には確かにその瞬間を見たのだ。
「そうね──
瀬莉。今日は、瀬莉と一緒にこうして話が出来て良かった。
もっと自分で動く事も出来たのかも知れないけれども……今は、あなたの胸元が一番落ち着くわ。
また、お話ができるといいわね」
いつも通りのゆったりとした口調。落ち着いた声。しかし、そこから感じられるのは、今まで以上に含まれた優しさの声。
その返事に、瀬莉は先程の不安から塗り替えられた、胸の奥に湧き上がる嬉しさに、この上ない程の笑顔を咲かせて、今、胸元に確かにある温かなSophiaの存在を手に取った──
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担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月29日
参加申し込みの期限
2019年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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