【ネコミケ】熱い一日の最後は星空で｜リアクション

【ネコミケ】熱い一日の最後は星空で

　芸術系同人サークル『ウィッチクラフト』の主宰として旅鴉月詠はネコミケに参加していた。『少女戦史』の同人誌に合わせた軍服姿で椅子に座っている。左の髪は耳に引っ掛けて目立たないヘアピンで留めて右は自然に下ろした。
「なんで准将？」
　通り掛かった一人のスタッフが首を傾げた。
　月詠は細目となって遣り過ごす。
「主人公という柄ではないのだよ」
　顎を撫でて長机の商品に少しの手を加える。置かれた商品の数は他を圧倒する。同人誌の販売にとどまらず、グッズが充実していた。
　『魔法少女ナツメ★マギカ』に登場するくまべぇクッション。同じく抱き枕カバー。キーホルダー、個々の完成度は高い。
　『少女戦史』からは魔導器を模した懐中時計。凝った細工が高級感を漂わせる。魔導器キーホルダーは武器をアレンジ、マニアの購買意欲を掻き立てる仕様となっていた。
　月詠は足を組んだ。その上に両手を重ね、ゆったりとした状態で前方を眺めた。軍服姿の檜扇舞華が駆け足で横切る。スタッフの一人に呼ばれたようだった。
「少尉をスタッフとして送り出したのは正解か」
　組んでいた足を解いた。目は入場口を向いている。一個中隊の迫力で群衆が迫ってきた。
「戦いの始まりだ」
　月詠は単身で迎え撃つ。