シナリオ「【ネコミケ】熱い一日の最後は星空で」

【ネコミケ】熱い一日の最後は星空で

午前五時二十分
　今日は日曜日もあって星ヶ丘寮はひっそりとしていた。建ち並ぶ邸宅の窓は一様に暗い。
　邸宅の一つの窓に明かりが灯る。間もなくカーテンが開けられた。眼鏡を掛けた清楚な少女、愛猫萌々子であった。天候を気にするような動作を見せる。
「雨の心配はなさそうですね」
　弾む声を皮切りに行動を開始した。
　机の上に積まれた自作の漫画、『のののガール！！』を紙袋に詰め込む。リュックにも入れた。
「あとはコスプレですね」
　素早く制服に着替えた。特徴のある髪型には細心の注意を払う。中央の膨らみを意識して崩れないようにしっかりと結ぶ。
　メイクには時間を掛けた。眉を弄り、目にはコンタクトレンズを入れた。本人から別の人間に変わってゆく。
　遂に完成した。姿見に全身を映してじっくりと眺める。口元を中心に笑みが広がり、その場で跳び上がった。

「どこから見ても野音のんこ（ののんのんこ）だね！」
　自作の漫画の主人公に成り切って明るい笑顔となった。

午前九時三十五分
　ネコミケの開催地である寝子電スタジアムの出入口には長蛇の列が出来ていた。
　早くに来ていた本居陽毬は列に加わらず、並ぶ人々に注目した。小さな子供には瞬間の笑みで済ませた。
　男女に関係なく、十代の若者には過剰に反応。知り合いでなければ肩を落とし、他を当たる。
　疲労が限界を迎えようとしていた。朦朧とした状態で口にする。

「私のごはんはどこ？」
　近くにいた男性はぎこちない笑みで小首を傾げた。
　陽毬は軽く頭を振った。茶色い目に強い意志を滲ませて活動を再開した。
「誰かが、奢ってくれたら……私の胃袋は幸せになれるわ……」
　欲望が口から漏れた。だらしなく開いた唇は溢れる想いでしっとりと濡れている。
「あれは！」
　見つけた背中に身体が震えた。歓喜に打ち震えた状態で足を速める。

「私のごはん～」

夏のビッグイベント、『ネコミケ』の熱い一日が始まろうとしていた。

運営部より

★おまけルール：１人で２人

　このシナリオは、１人のプレイヤーさまが複数のキャラクター（２人まで）で参加を申し込むことができます。
　ご自分のＰＣさん同士のＧＡなどもできますので、いつもとは違った楽しみ方もあわせてご利用ください。

　※同一プレイヤーによるグループ参加はできません。お１人ずつご参加ください。
　※最初の申し込み期限が過ぎたあと、参加者数が定員に満たない場合は、３人以上の参加も歓迎です。
　※通常のシナリオでは、最初の申し込み期限（抽選発生日時）までは１人まででお願いしております。

★おまけルール：あとからイラスト

　こちらは「あとからイラスト」対応シナリオです。
　くわしいルールは、以下をクリックしてご確認ください。

あとからイラストのご案内

アクション投稿期限までに注文した「対象イラスト」に限り、
アクション投稿時にイラストを指定しなくても、リアクション本文中で挿絵として採用される特別ルールです。

シナリオにあったイラストがまだない、シナリオにあわせて改めて用意したい、という時に
イラストとシナリオをダブルで楽しむことができます。

　＜ステップ１＞アクション投稿期限までに対象イラストを注文する（対象はシナリオによって異なります）
　　　　　　　　※今回の対象イラストは「全身、フリー、ポートレート、ＳＤ、Ｘ」です。
　　　　　　　　　（Ｓだけでなくノーマルも対象です。パーソナルでもコモンでも対象です）

　＜ステップ２＞アクションの「キャラクターの行動」欄の冒頭に【イラスト：×××（発注番号）】と記入する。
　　　　　　　　（例：発注番号が12345の場合【イラスト：12345】）
　　　　　　　　※通常の「指定イラスト」は登録しないまま、アクションを投稿してください。

　＜ステップ３＞アクションの「キャラクターの行動」欄にイラストの内容を記入する。
　　　　　　　　【重要】担当マスターは原則としてイラストの発注文やイラストを見ないで執筆します！
　　　　　　　　どんな服装で、どんなポーズで、何を持って、どんな表情で、何をしているところなのか、
　　　　　　　　Ｘイラストの場合は「誰が」という点も含めて、しっかりご記入ください。
　　　　　　　　※記入がないとイラストとの齟齬が大きくなる可能性がありますので、お気をつけください。

※リアクションがイラストより先に公開される場合、
　その時点ではイラストは表示されず、イラスト公開後（数日以内）に本文に挿入されます。

※アクションに記入した注文イラストが、アクション投稿期限後にキャンセルとなった場合は、
　再注文することで、そのイラストが「アクションに記入されたイラスト」と見做されます。
　イラストの内容やイラストレーターは前回の注文と同じでなくても問題ありません。
　なお、再注文の時期はキャンセルから１週間以内です。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

黒羽カラス

マスターコメント

　暑くて熱い１日の襲来です！　その前にシナリオガイドに登場していただいた
　愛猫萌々子さん、本居陽毬さん、ありがとうございました。
　本シナリオにご参加された場合、シナリオガイドに縛られることなく、自由な発想でアクションを書いてください。
　それではいつもとは少し違うネコミケの説明に入りたいと思います。
　下記をご覧いただき、アクションの参考にしてください。

　ネコミケの概要

　夏と冬の年２回、シーサイドタウンの寝子電スタジアムにて開催される同人誌即売会。
　マスコットキャラは、ある有名漫画家が手掛けた猫耳猫しっぽの萌えっ娘。

　さまざまなサークル、企業などによる同人誌やグッズなどの販売がメインだが、
　コスプレ広場、飲食店の出店（店員がメイドなどの衣装を着る慣例あり）も楽しい。
　島外からアイドルや声優を招いてライヴ、トークショー、握手会なども行われる。

　国内外の観光客も毎年数万人が来場するビッグイベント。
　ボランティアのスタッフ参加者も苦労が絶えないが、その活躍も話題のひとつ。

　ＰＣの出来ること

　今回のネコミケは１日限定の開催になります。
　多くの方々にご利用いただけるように今までにはなかった、フリースペースが設けられました。
　売り物があれば当日の飛び入りも可能です。ふらりと寝子島に訪れた星幽塔の方々も気軽にご参加ください。

　※アクションはできれば１つ、多くても２つまでに絞ってください。
　　多すぎると、個々の描写が薄くなる可能性があります。

　　◇サークル参加
　　・同人サークルとして参加（１人サークルも可能）して、同人誌やグッズなどを販売。

　　◇フリースペース
　　・同人サークルの一角に設けられたスペース。売り物があれば参加できる。
　　・飲食物は不可。

　　◇企業参加
　　・企業として参加して、出版物やグッズなどを販売（企業関係ＰＣが参加可能）。
　　・希望戦士ニャンダムや兆世紀フニャンゲリオンは根強い人気（ＰＬが考えた設定も可能）。
　　・テレビねここやn.k.FMのスタッフとして撮影や録音、放送もオーケー（こまごま設定へ）。

　　◇コスプレ参加
　　・コスプレ広場で、さまざまなコスプレを披露。
　　・魔法少女ものは安定した人気を誇る（ＰＬが考えた設定も可能）。

　　◇一般参加
　　・各サークル、コスプレ広場、ライヴステージ、出店などを楽しめる。
　　・午前は激混み。午後はゆったり。徹夜で並ぶのは御法度とされている。

　　◇スタッフ参加
　　・運営補助ボランティア（バイト代は出ないが、交通費と食費は出る）。
　　・業務内容は設営、各参加者の整理・誘導・指導・管理・周辺警備など。

　　◇ライヴステージ参加
　　・アイドルや声優としてライヴ、トークショー、握手会などを実施。
　　・ステージスタッフも募集中。

　　◇出店
　　・飲食店の出店で、飲食店経営をしている人（飲食店のコミュ・シナリオ関係者）のみ店を出せる。
　　・メイドなどのコスプレ衣装を身に纏っての接客が慣例（ＰＬの考えた設定も可能）。

　◆場内の配置
　　入場口を入ってすぐの左右が即売会スペース（企業ブース、サークル出展共に）。
　　即売会スペースから更に奥へ行くと、右が出店で左がコスプレ広場となっています。
　　ライヴステージは入場口の反対側正面（つまり一番奥）です。
　
　◆タイムスケジュール
　　１０時開場、１９時３０分閉場（最終入場は１９時）

　◆ＮＰＣについて
　　特定のマスターが扱っているＮＰＣを登場させることはできません（私の扱っているＮＰＣはオッケーですよ）。
　　運営が管理しているＮＰＣで、尚且つ不自然な交流でなければ登場させることは可能です。

　説明は以上となります。
　長すぎて脱落した人はいませんよね？　そうですよね、安心しました（寸劇という独り言）！
　今回のネコミケは閉場時間が延長されています。会場にいながら満天の星空を見ることができるのです！
　ＧＡを組んでいれば相手の方と良い雰囲気になることも。１人の場合は新しい出会いが考えられます。
　コメントページを利用した宣伝もいいですね。お客さんが波のように押し寄せてきます、たぶん！

　あ、それとですね。本シナリオは「あとからイラスト」に対応しています。
　今回、ネコミケで手に入れた漫画の表紙をポトレにしたり、
　その中身をフリイラにしてあとからペタリも楽しみの１つですよね。
　定番のコスプレ姿やＳＤなどでＰＣさんを華やかに演出。素敵だと思います（うっとり）。

　皆さんの来場を心からお待ちしています！

サンプルアクション（1）

プレイヤーの目的・意図: ＰＣは星幽塔でアクセサリーを作っています。持ち込んだ物は変化なしで。
フリースペースで販売したいです。
キャラクターの目的・理由: 面白そうなイベントをやってるじゃないか。
俺のアクセサリーの出来を確かめるのも悪くないな。
キャラクターの行動・手段: フリースペース

俺は星幽塔の城下町でアクセサリーを売っている。
寝子島には材料集めに来ている。自分の作った物の評判を知りたくて、
常に商品は持ち歩いていた。で、今日、来てみればネコミケ？
飛び入り参加もできるらしいな。いろんなところで宣伝していた。

もちろん参加だ。売り物もあるし。

区分けされた一つは少し狭いが悪くない。商品を並べる長机がある。
簡易椅子もあるので長い時間でも平気だな。あとは商品を並べるだけだ。
見た目が派手な物で客を呼び寄せて、高価な本命を売りさばく、これだな。

全ての用意ができた。お、早速、若い女が寄ってきた。
派手な見た目に釣られたようだ。出そうな笑みを抑えるのが大変だ。
なにか、おかしいな。女は商品をチラリと見ただけで、こっちを見ている。

「あの、商品はどうですか」

俺は謙虚な姿勢を見せた。女はこっちを見たまま、綺麗です、と言った。
どうにも挙動がおかしい。この女は何が目的なんだ？

「……綺麗って、俺のこと？」

女は酷く慌てた。赤い顔でアクセサリーを買うと風のように走り去ってしまった。
初めてだな、綺麗と言われたのは。竜族なので怖い、はよくあるが。

「……綺麗か」

ま、悪くないか。
俺は商売に励んだ。