【ネコミケ】熱い一日の最後は星空で｜リアクション

【ネコミケ】熱い一日の最後は星空で

　シーサイドタウンにある寝子電スタジアムは会場前の喧騒の只中にあった。スタッフと印刷された腕章を付けた人々が設営に追われている。
　作業着に身を包んだ檜扇舞華は活動範囲を限定しないで自ら進んで動いた。設営の遅れているところでは女性ながら機材の搬送を手伝った。
　疲れ果てたスタッフ達には冷たい飲み物を差し入れた。
「お疲れ様です」
「わざわざ、ありがとうございます。前日から働き詰めのように思えるのですが、大丈夫ですか？」
「時間を作って休んでいるのでご心配なく」
　舞華は朗らかな笑みで軽やかに立ち去る。
　人目の付かないところで足を止めた。軽く息を吐き出す。
　――まさかスタッフで参加するとは思ってもいませんでした。
　あたしが仕えている御主人から運命と言われているので受け入れました。タロットが決まり手になっていても文句はありません。
　ネコミケを成功させたい。その一心で活動しています。関わっていただいた多くの人々が同志でございます。
　思わず、拳を握る。反面、心に抱えた不安が表情を曇らせた。
　――狙っている同人誌を手に入れるには、やはりネットの友人に頼むしかありませんか。
　スマートフォンで手早く用件を済ませた。
　その後、舞華は会場を巡った。最中に時間を確認する。
　――スタッフのコスプレは禁止されていないので、こちらも手を抜かずに凛々しく決めましょう。
　舞華は晴れやかな顔で足を速めた。

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