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おとぎばなしに君の名を
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吐き出した息が白く凍った。
サラサラと硬い音立てて降り注ぐようにすら思える真白く冷えた太陽の光に、凍てついた息の粒子が幽かに煌いて消える。
夜色の長い髪を氷の風になびかせ、
柳内 みこと
は真夜中の漆黒から払暁の葡萄色へと色合いを変える瞳を己を囲む風景へと巡らせた。
純白の氷をドレスのように纏った樹々が立ち並んでいる。
淡い陽の光に青く蒼く輝く樹氷の森の先、温度を失くして淡い水色となった天よりも遥かに鮮やかに碧い色した凍てついた湖とその央にそびえて光り輝く氷雪の城が見えた。
壮麗なその城の氷の橋を、一組の男女が手に手を取りあい嬉しそうに駆けてくる。
氷の花が飾る城門を駆け抜け雪原へと飛び出したふたりは、二度と離さぬと誓い合うが如くしっかりと手を繋ぎ、背後を決して振り返らずに樹氷の森へと踏み込む。地の氷を踏みしめ、霜柱を踏み砕き、春の待つ故郷の村へと喜び勇んで帰ってゆく。
ふたりの背が視界から消えるままに、みことは目前に佇む厳格な貴婦人にも似た氷雪の城を仰ぐ。
女悪魔により己が放り込まれた物語は、すぐに心に浮かんだ。
(『雪の女王』)
子供の頃に読んだことがある。
子供の頃も、十七となった今も、ずっと不思議だった。だからこそ様々に綴られた『雪の女王』に目を通した。けれどどの『雪の女王』にも、ある一点だけは決して触れられていなかった。
(雪の、女王……)
雪の森に迷い込んだカイ少年を助け、己の城へと導いた雪の女王。
己を賢く見せたいと願ったカイが喋る拙い話に耳を傾けては静かに微笑んでいた、背が高く白く美しいひと。
少年に理を綴らせることで彼に『永遠』を求めた冷たい肌の女王。
けれど彼女が愛したカイはやがて、数多の困難を乗り越えてやってきた幼馴染の少女ゲルダと一緒に氷の城から逃げ出してしまう。雪の女王はカイに『永遠』を求めたのに、カイはそれをゲルダと共に見出したのだ。
樹氷の森に、少年と少女の姿はもう見えない。
みことは悲しい瞳で凍り付いた空を仰ぐ。少年が決して己からは離れられぬと信じて城を留守にした女王は、きっともうすぐ空を渡って城に帰って来る。あたたかい国を巡ってつめたい氷の城に帰って来た雪の女王が見るのは、氷の城の美しい大広間で理を学び続ける愛しい少年ではなく、
(がらんどうのお城)
再びただひとりきりとなった美しいひとは、凍り付いた美しい城の中で何を思うのだろう。愛した少年がいなくなったその意味――慈しんだ少年が愛したのは己ではないと悟ったとき、彼女はいかほどの哀しみを抱くのだろう。
愛した者に置いて行かれた彼女が居る限り、この物語はハッピーエンドではありえない。みことはそう考える。
(彼の女王様の哀しみを少しでも癒せれば)
エンドマークの後にひとり取り残された雪の女王に謁見するべく、樹氷の森で思考に沈むみことの頭上、虹色のオーロラを彗星のように引きつれた雪の女王が氷の城へと帰りつく。
淡い水色の空にオーロラのカーテンが音もなく幾重にも広がる。それはまるで、女王の嘆きを隠すかのよう。
(――ゲルダには、カイを探す旅の途中に神の加護がありましたわね)
決して消えぬ悲しみの焔に似て空を覆い尽すオーロラを仰ぎ、脳裏に物語を辿るうち、みことの淑やかな口元に静かな笑みが滲んだ。
(神が)
もしも真実『皆に平等』であるのなら。
(雪の女王にも祝福を賜らなければ)
そうでなければ、神の全能性が笑う。
みことは挑むように空を睨みあげて祈る。
「――神よ」
たとえばこれは、雪の女王を救いたいと願うこれは、己のエゴなのかもしれない。こう願うことは己の傲慢なのかもしれない。けれど、それでも。
「おとぎ話の魔法使いのような力をお貸し下さいませ」
雪の女王を――己が世界を譲り渡そうとするほどに愛した少年を失ってしまった美しく悲しいひとを、僅かでも慰めたかった。
夜色の髪を飾るは臙脂のリボン。
雪の女王に拝謁するに辺り、魔法の力を駆使して身に纏わせたは純白のドレス。凍てつく寒さにも決して萎れぬ魔法で編み上げた色鮮やかな花束を胸に、薄氷の如きショールを肩に、みことは氷の花に飾られた城門の前に立つ。
シャン、と足元の氷が鈴のように鳴る。
「――誰か」
途端に何処かより響いた厳かな声音は、雪の女王そのひとの声。
「女王様」
触れたもの全てを氷とするが如き声に怖じず、みことはがらんどうの城に向け穏やかに名乗る。新たな物語を綴ろうとする。
「私は遠方の魔法使い」
花を捧げ持ち、入城を請う。
「もしよろしければ、世界中を見渡して来た貴女の経験したお話を聞かせてはいただけませんか」
「去れ」
女王の躊躇すらせぬ返答に、けれどみことは微笑む。この世界でのみ使える魔法の力で、門の前に柔らかな曲線描く樹の円卓と椅子と、それから甘い香りの温かなお茶を作り出す。
椅子に掛け、いつまでも温かなお茶のなくならぬ魔法のティーポットからずっと温かさの消えないカップにお茶をふたりぶん注ぐ。
「お話していただけるまで、何日でも粘りますわ」
穏やかに、どこまでも頑なに微笑むたおやかな少女の姿した魔法使いに雪の女王が折れるまで、数日の期間を要した。
「何を話せと申すか」
オーロラを背に、幻のようにふわりと姿を現した雪の女王に、みことは微塵の疲れも見せずに破顔する。
「貴女の話したい事柄をお聞かせくださいませ」
何故、と呟きながらも、ひどく老いたようにも見える女王はみことの用意した椅子に座した。
「冷たく清廉な冬よりも、温く虫湧く春を好むか」
長い沈黙の後、呟く。
「永遠に変わらぬ氷雪よりも、芽吹き育ちやがては枯れる枝葉を好むか。老いて死ぬ変転を好むか」
カイ、と。女王は囁いた。
愛しい者の名の如く。憎悪する者の名の如く。
女王の言葉に、みことは幼い頃より伝えたかったただひとことを告げた。
「とても……お辛かったですわね」
旅の魔法使いのそのただひとことに、氷の城の雪の女王は雪色の睫毛をしばたたかせる。真白の頬を伝うは解けた雪か、それとも――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月10日
参加申し込みの期限
2019年05月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年05月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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