エアコンの乾いた空気の中に身を起こす。
小さく瞬きをして欠伸を漏らして、
巫部 紫苑は夜と朝の混ざり合う暁の色した瞳を軽く擦った。
眠たい眼差しを向けるのは、閉ざしたカーテンの向こうから僅かに流れ来る白銀の月の光。
誘われるように窓辺に立つ。カーテンを開いて窓を開けば、ふわり、夏の夜気が室内に忍び込んだ。
夜風に混ざる百合の香に瞳を和らげ夜空を仰いで、――星々よりも近くゆらゆらと空に舞う、
「……絵本、……?」
蛍のような光を放って空に踊る無数の絵本を見た。絵本と戯れるように空に浮かぶ、尖がり帽子に黒マント姿の魔女の姿を見た。
「ああ、もう!」
魔女の姿した女悪魔が不満げな声をあげる。空中にあぐらをかき、手近に揺れる本を平手で打つ。
「どうして泡になって消えちゃうのよ! どうして樵の小人の世話して苦労した挙句毒林檎なんて食べさせられちゃうのよ! どうしてマッチの幻で満足して死んじゃうのよ! もう、もうもう、……きー!」
幼子のように空中に転がってじたばた暴れて言い立てるのは、周囲に浮かぶ絵本に対する不平不満。
「あ、――ねえ!」
尖がり帽子の下から長い銀髪をなびかせ、妙齢の魔女は悪戯を思いついた少女のように瞳を輝かせる。窓辺に立ち、不思議そうに瞬くばかりだった紫苑に笑いかける。
「私、ですか?」
「うん、あなた! ちょっとこの本の内容変えて来て! 女の子が無駄に苦労する物語なんてもううんざり! ハッピーなのがいいのよ! ハイ行って!」
ぱん、と魔女が両手を打ち合わせた、次の瞬間。
自宅の窓辺に立っていたはず、夜の真ん中にいたはずの紫苑が佇んでいたのは――
こんにちは。
ガイドを読んでくださいましてありがとうございます、阿瀬 春と申します。
ガイドには巫部紫苑さんにご登場いただきました。ありがとうございます! キャンペーンご当選おめでとうございますー!
ご参加いただけますときは、ガイドに関わらずご自由にアクションをお書きください。
ということで(?)、
あなたは今、突如として何かしらの物語の中にいます。どうやら物語の主人公や登場人物になっているようです。
白雪姫、いばら姫、マッチ売りの少女、人魚姫、かぐや姫、……物語の舞台は(できれば大体のひとが知っていそうな御伽噺がベターではありますが)なんでも構いません、お好みのものでどうぞ!
物語の中から脱出するには、『物語の悲しい部分』だったり『主人公が苦労している部分』を物語の主人公や登場人物たるあなた自身の力で変えてしまわなくてはならないようです。
方法はなんだってかまいません。御伽噺の中なので、ろっこん以外のなんだか便利な魔法だって使えちゃうかもしれません。物語の筋とは関係なしに暴走しちゃったり、登場人物たちとのんびりお茶や舞踏会を楽しんだりするだけでも大丈夫です。とにもかくにも、主人公たるあなたが楽しく嬉しく笑えさえすればオッケー! なのです。
ゆるーく楽しく、自由におとぎばなしや童話を楽しみましょうー。
登場可能NPC
登録済みのNPCで、特定のマスターさんが担当しているキャラクター以外であれば、おおむね登場は可能です。
あと、全員未登録ではありますが、阿瀬が担当しているNPCでしたら登場も可能です。
それからそれから、今回はXイラストのキャラクターの登場もご指定いただけます。
ご参加、物語の中の木とかになりつつお待ちしておりますー!