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おとぎばなしに君の名を
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視野が狭い。
狭くて暗い場所は、怖い。
不安と恐怖に轟く胸を両手で抑えて、
大田原 いいな
はいくつかのことに気が付いた。
(これは、……あれじゃのう)
まずはひとつ。心拍数が一定数を超え、ろっこん『TRANSMUTE』が発動している。つまりは今、己は二十歳前後の女の姿となっている。
次いでもうひとつ。己の頭には、箱と鉢が二重に被せられている。視界を狭く覆い隠すものは、だからこれは、己の身体の自由を奪うものではない。己は狭い場所に閉じ込められているわけではない。
そう言い聞かせはすれど、乱れた心拍は落ち着かなかった。
(……『此処』は)
足元にしかない視界を見遣る。着物を身に着けた己は今、どうやら踝のあたりまで川の緩い流れの中に立っているらしかった。
踏み出そうとして足元が揺らいだ。鉢を被った頭が重い。
(私は『鉢かつぎ』、ね)
重たい鉢の頭を両手で支える。二十歳の姿をしている時の言葉遣いに改める。
ついさっきまでは橋の上に佇んでいたはず。女悪魔に拉致されるように放り込まれたここが何処であるのか、状況把握につとめようとして、
(確か、)
視界の悪い中、橋の上を行き交う誰かしらとぶつかった。急ぐ誰かの罵声を聞きながら、鉢の重さにバランスを崩して橋の上から落っこちた。
(原作では、世を儚んで橋から身を投げたってあったけど)
小さく息を吐く。この物語の中から脱出するためには、『苦労をしてはならない』。
ハッピーなのがいいのよ、との女悪魔の放言を思い出す。
(でも、この話は苦労がないと成立しないのよ)
どうしたものかと水の中に立ち尽くすうち、いいな扮する『鉢かつぎ』は通りがかった貴族に拾われ、その貴族の屋敷で下働きとして雇われることとなった。
貴族の屋敷に働くいいなの朝は早い。
陽の昇らぬうちから水を汲み、火を焚き、庭や屋敷内の掃除、薄い雑穀粥を掻きこんだ後は休む間もなく買い物の使い、帰って来ればまた掃除。
お決まりのように嫌味を言ってくる貴族の家族たちには無視を決め込み、日々を仕事に追われながら、いいなが思うはお給金のことばかり。
馬鹿共がなんやかんやと煩い職場ではあるが、お貴族さまなだけあってお給金は悪くない。
(ここで金貯めて街道沿いに茶屋でも開くことにしよう)
原作とは違う流れになるけれど、自立して好きに暮らすというのもハッピーエンドのひとつであるに違いない。
そう思って仕事に精を出していたのも束の間、
「――君」
雇い主である貴族の末息子がある日御厨の戸口に立った。いいなは低く唸る。
「見世物じゃないわ」
今に至るまで、上の兄弟たちが物珍しさも手伝って妾にならないかと和歌による誘いを掛けて来ている。その度、まっぴらごめんとばかり、上の兄弟たちだけでなくその嫁達をも貶める返歌で追い払ってきたものの、
(何で末息子まで)
「私は茶屋を開く資金が貯まったらここを出ていくの、構わないで」
邪険に言っても、末息子はその場を去らなかった。
「鉢は気にするな」
しゃがみこんで竈の火を熾すいいなの傍、末息子が膝をつく。
「……綺麗な着物が汚れるわよ」
構わない、とぶっきらぼうに応じる口調も、
「鉢かぶりであろうと、君であることには変わりはない」
愛想のない喋り方も、火起こしを無理やりに手伝ってくれたときの手先の器用さも、
(アイツにそっくり)
いいなの知るひとに似ている感じがした。
(……気のせい?)
どれだけ構うなと言っても、末息子は諦めなかった。陽が昇る度に鉢かつぎのもとに通ってきた。
(……ってか、顔の見えないのが色々と)
手に握りこませるようにして贈られたつげの櫛を見下ろし、いいなは途方に暮れる。
(ああもう)
このままでは原作物語の通りになってしまう。そうなれば面倒くさいことこの上ないというのに。
(逃げよう)
そこそこ貯まったお金を懐に、貰った櫛は屋敷に置き去りに、鉢かつぎは屋敷を飛び出す。土埃の大通りを駆け抜け、木造の橋を渡り切ろうとしたところで、
「待ってくれ!」
手を掴まれた。鉢のせいで顔が見えなくとも、声で分かる。
追いかけて来た末息子は言う。豪商の娘との縁談を断り、鉢かつぎを嫁にしたいと父に申し入れたところ、であれば上の兄弟の嫁や豪商の娘と鉢かつぎを比べようと言い出したのだと。
(知ってる)
原作通りの流れにいいなは舌打ちしそうになる。それが嫌で逃げ出したというのに。
(……どうしよう)
末息子の手を振り払って後退る。どうあがいても、己の思うようには物語は進んでくれない。このままでは――
茶屋をやること、己に構っている暇などないのではないかということを譫言のように繰り返し、駄々っ子じみてその場に座り込む。
(どうしよう)
迷う足元、末息子の草履が見えた。思わず身を固くするいいなの髪に、末息子の手が触れる。屋敷に放り出して来たつげの櫛で優しく髪を梳かれ、
「茶屋の片隅に置いてくれ。君の傍で木工品を作って日々を過ごしたい」
聞き覚えのある朴訥な声音で夢を語られ、いいなは息を詰めた。
(抱き締めたりしないの? 私の嫌いなこと、しないの?)
暗闇と狭さへの不安とは違う音で、胸がどきどきと鳴っている。そのことに思い至った瞬間、
(あ)
鉢が割れた。鉢の中に押し込められていた箱から金銀財宝がざらざらと零れて落ちた。きらきら光る世界の中にいいなが見たのは、
(アイツそっくり?!)
今は傍に居ない、『己』を知る男の顔。
咄嗟に逃げ出そうとして両手を掴まれ、いいなは焦る。
「顔を」
俯こうとして請われ、逃げることもできずに顔を上げる。見つめ合う視線の先にあるのは、やはり、
(アイツだ……)
たとえば、このひとと一緒に逃げて。
たとえば、このひとと一緒に街道のどこかに木工品を扱う茶屋を営んで。
そうして、ずっとずっと幸せに暮らせたら。
己を知る男と見つめ合いながら、いいなは束の間、そんな夢を想った――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月10日
参加申し込みの期限
2019年05月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年05月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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