this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
第35回 寝子ヶ浜ビーチ☆スターズコンテスト!
<< もどる
1
…
11
12
13
14
15
…
29
つぎへ >>
「すごい……」
堂々としたステージを見せる中学三年生の少女の姿に、
青山 絢
は強張って白い頬を押さえる。天幕の張られたステージ裏であっても蒸し暑い夏の空気の中であるにも関わらず、指先も頬もひどく冷たい。
「行こう絢ちゃん!」
緊張で冷たい手を
水谷 真優理
の温かな手が取る。従姉から軽やかに笑いかけられ、絢は小さく笑い返した。
「準備はオッケー? パフォーマンスの心づもりもオッケー?」
両手を取って覗き込まれ、絢は緊張気味ながらもこくりと頷き返す。
「さっすが絢ちゃん! 未来の大女優!」
大はしゃぎな従姉の大袈裟な励まし方を喜ぶべきかたしなめるべきか悩んでいるうち、真優理に手を引かれてステージ上へと引っ張り出される。
心底楽しそうな笑顔で客席に向けて手を振る大振りの花柄模様ビキニな大人の女性と、少し緊張気味ながらも気丈に微笑み控えめに手を振るターコイズブルーのビキニ姿の女子高生。
手を繋いでステージに現れた一見姉妹にも見えるふたりは、ステージの真ん中で肩を並べて立った。
冷たさの残る絢の手をぎゅっと握り、絢は人前慣れした表情で客席を見回す。人見知りがちな絢の勢いをつけるためにも先に自分が自己紹介した方がいい気もするけれど、
「絢ちゃん」
真優理は絢の背中を押し出す。戸惑った顔をする絢に、がんばって、と拳を固めてみせる。
「寝子島高校二年の青山絢です」
従姉に背中を押されるままに自己紹介して、絢は腹を括る。
「将来の夢は女優になること。よろしくお願いします!」
(よく言ったわ絢ちゃん!)
遠くまで響く声で言い、ぺこりと深く頭を下げる絢に真優理は心の中で快哉を叫んだ。
「絢ちゃんの従姉の水谷真理です。星ヶ丘のステッラ・デッラ・コリーナのコンシェルジュとして勤めています」
今にも絢に抱きつきたい内心を微塵も見せず、大人の顔で卒なく発言してから、真優理はあとを絢に任せる。繋いでいた手を離し、細い背中を軽く押す。
「っ……とある劇の一場面を、お見せします……!」
ほんの少し言葉に詰まるも、絢は客席に向けて語り掛けた。少年と少女の恋の終わりの場面であることを説明し、真優理を『少年』に見立てる。
数歩引いて立つ『少年』に背を向け、客席と向かい合った途端、絢の表情は一変した。
「それ以上言わせないで、もうこれ以上は――」
人の視線に尻込みする大人しい女子高生の顔から、愛した少年に別れを告げようとする少女の顔に。恋を終わらせようとする女の顔に。
「その先を求めれば、もう取り返しがつかなくなるのだと、どうしてわからないの?」
叫ぶ。泣くではなくただ毅然と。だから、と『少年』のもとへ歩み寄ろうとした足取りが不意に力を失くす。
「唇を塞いで、私の……」
どうか、と立ち尽くす『少女』に、真優理は演技を忘れた。目前の別れに苦悶する『少女』の表情に引き込まれる。
「……どうか、取り返しがつかなくなる前に」
最後の台詞を紡ぎきって、絢は夢から醒めるように表情を変えた。寂静とした『少女』の雰囲気が瞬きのうちに変わる。ステージ上の気温さえ変えてしまうかのような女子高生の演技に、審査員席の
富士山 権蔵
もといフジコ先生が静かに微笑んだ。
「愛を叫ぶのとはちょっと違うけど、女優・青山絢のファン第一号を宣言します!」
「っ、真優理さん……!?」
絢の演技に我を忘れた真優理が叫ぶ。
「絢ちゃん大好き!」
言うだけ言って満足そうな真優理に、絢は途方に暮れた顔で視線を彷徨わせてから、
「夏って何かを好きになるのに一番いい季節よね? だから私、夏が好き!」
適当に思いついたことを口にしてお茶を濁した。
「もう、真優理さん……」
「だって本心だよ? 嘘偽り一切ないもの」
仲良くステージを去るふたりを、ラブ・インジケータの雨上がりの雲間から差す太陽のような金色の光がふわりと包み込む。
手を繋いで戻ってきたお姉さんふたりに、
曖浜 瑠樹
は力いっぱい拍手をする。ぱちぱちと両手を叩き合わせたところで、腰に通していたお気に入りのにゃんこ浮き輪が落ちそうになって慌てて掴む。
猫耳つき浮き輪に描かれたにゃんこの目と目が合って、瑠樹はへにゃりと笑った。このこといっしょなら、海だってステージだってどこへだって行ける。
そんな気持ちでステージに飛び出す。階段を駆け上り、ステージの上から見えるたくさんの人とパラソルと屋台の屋根の賑やかさに目を丸くする。
「あっ」
思わずぼうっと眺めてから、ステージ脇で一生懸命ステージ進行をしようとするスタッフの姿に気が付いた。
(えーっとー)
歩いて歩いて、とパントマイムじみた仕草をするスタッフのひとに頷き、瑠樹はステージの真ん中へと歩き始める。
(真ん中まで歩いてって、くるーってすればいいのかねぇ?)
ステージ央までたどり着いたところでスタッフの方を見ると、その場でくるくると回っている。
(分かったよぉー!)
スタッフと同じようにその場でくるくると回って、止まり切れずにもう一回転して、瑠樹は客席のみんなに向けて話しかける。
「曖浜瑠樹だよぉ、よろしくなぁー!」
なんとも和む男子小学生に、客席から温かな拍手が起こった。
拍手の音が波の音に少し似ていて、瑠樹はいつものように可愛いにゃんこ浮き輪といっしょに海でぱしゃぱしゃ泳いでいるような気分になる。
(でも)
夏が終わればにゃんこ浮き輪の出番もおしまい。
(それはとってもさびしいよぉ)
俯いて考えて、思いついた。
(……そうだ、フラフープにすれば良いんだよぉ!)
じゃじゃん! と得意げににゃんこ浮き輪を掲げ、ばばん! と腰にセットして、くるくる回るフラフープにしようとして、
「あっ」
瑠樹は首を傾げる。一回りもせずに落ちてしまった浮き輪をもう一度腰にセットする。
(もっかい)
「フラフー……あー回らないよぉー!?」
浮き輪に翻弄される男子の、もうどこまでも和んでしまう姿に客席のみんなが好意的な笑い声を投げかける。みんなの笑い声にえへへと頭を掻いて、瑠樹は浮き輪を抱きしめた。
(あとは、……愛、かねぇ?)
「ゆるキャラやぬいぐるみとか好きだし、可愛いものも好きだよぉ」
本当は、サンマさんやマンボウ君を応援したい。がんばれぇー! と言いたい。
(でも、マンボウ君がきゅうってして審査できなかったら本人も皆も困るよねぇ……)
ちょっと悩んだ瑠樹が応援するのは、
「大好きなみんな、がんばれぇー!」
ちがうちがう、とステージ脇のスタッフが慌てて首を横に振るも、瑠樹の愛はラブ・インジケータを確かに反応させた。
猫のふわふわの毛みたいにふわふわちかちか灯るミルク色の光を見上げ、瑠樹は皆にばいばいと手を振ってステージを後にする。後はもうのんびりするだけ。
(コンテスト楽しかったねぇ、また来年も、楽し……)
ステージの端までたどり着いたところで思い出した。
「あーそうだ、お子様ランチー!」
わあと叫んで限定ストラップをもらうため急いで駆けだす和み系少年に、客席からは応援と拍手が飛んだ。
(そろそろか……?)
和み少年に力いっぱい拍手しながら、滝川怜こと
滝原 レオン
は警戒を強める。先ほどからステージ裏の天幕から狗条光の金髪頭がちらちらと覗いている。あの男の出番はもうすぐと見て良い。
ステージ上からは客席が案外よく見える。万が一にでも見つかってしまえば、面倒くさいことになるのは間違いない。
(こうなったら)
光が袖に引っ込んだのを見計らって逃げてしまおう。光がステージに居る間だけ客席に居れば、ともかくも応援したという名目は立つはず。
決められたルールをきちんと守る真面目さでそう考えつつ、ステージを見遣る。ステージへの階段をほとんどスキップで登って行く目立つことが大好きな光の姿に思わず目を伏せる。
「狗条光、マタ高二年!」
照れも怖じもせずに明るく名乗るなり、光は音楽もなしにブレイクダンスを披露する。大柄な身体全部を使った激しい動きと回転に客席は大盛り上がり、普段から高い光のテンションも五割増しになろうというもの。
(さすが目立つのが好きなだけある……)
自分の自称ライバルの思いがけず見応えのあるパフォーマンスに妙な感心をしたその時、――光がこちらを向いた。
(やべ、目があった!)
普段から光に絡まれ迷惑を被っているレオンには分かる。光は明らかにこっちを見ている。
「怜ちゃーん!」
それどころかこちらを認識するなり大きな声で呼びかけてきた。満面の笑みで大きく両手を振った。
「怜ちゃーん、好きだー!」
言うなり踵を返す。
「付き合ってくださーい!」
力いっぱい告白しながらステージ裏へと引き返す。あれは間違いなく大好きな『怜ちゃん』のもとへ飛んでくる気に違いない。
(今のうちに逃げるしか!)
血相変えてダッシュで逃亡するレオンの後ろ、出場者が失踪したステージの上、ラブ・インジケータが呆気にとられたように少し遅れて、けれど出場者の熱い想いを受け取り真っ赤なハートの色に燃え上がっている。
「好きだー!」
臆面もなく叫んでステージ裏を駆け抜けていく元気な男子高校生に、
城山 水樹
と
ヒュー・ヒューバート
は顔を見合わせ微笑みあう。
「元気ね」
「元気だね」
視線と言葉が重なった、それだけのことが妙に嬉しくて照れくさくて、ふたりは指を絡めた。スタッフに案内され、登壇のためにステージ裏から外に出る。ヒューに手を引かれて階段を上り、指と指を絡め合わせてステージの央を目指す。
観客からの拍手と冷やかしじみた口笛を受け、ふたりは顔を見合わせる。重なる視線にほとんど同時に胸がドキリと高鳴る。頬が赤く染まる。
妖艶な雰囲気の女性と穏和そうな童顔男性の付き合い始めの中学生のような様子に、冷やかしの口笛は尚更高くなった。
「城山水樹と」
「
ヒュー・ヒューバート
です」
仲良く名乗るふたりに、馴れ初めはー? と客席から声が掛けられる。
「付き合いで参加したお見合いパーティで出逢ったのが始まりです」
短く答えて、短すぎるだろうかとヒューは少し考える。
「その場で互いに惹かれ合うものを感じて……」
答えながら横顔に視線を感じて眼差しを向ければ、水樹の黒く美しい瞳とぶつかった。目が合うだけで胸が弾んで、頬が熱を帯びる。
「去年の夏に失恋して、」
目が合うだけで赤面する恋人と同じに頬を赤く染めながら、水樹も客席に応じる。
「その年のクリスマスにステッラ・デッラ・コリーナのお見合いパーティで成り行きで参加して、そこで出会いました」
くすり、初恋を経験した少女めいて笑う。
「まるで少女漫画みたいな恋をしています」
ふたりの恋愛話に、方々から羨まし気な溜息が上がった。
檀上でヒューはちょっと首を捻る。こそり、水樹に耳打ちする。
「……パフォーマンスというよりはただののろけ話になってしまったね」
「のろけ話だって十分、パフォーマンスだよね?」
「そうかな」
「そうよ」
額がぶつかりそうな距離で内緒話をするふたりの熱々っぷりに充てられ、客席のそこここで負けじと腕を組みあったり手を繋いだりするカップルが現れ始める。
「水樹がそう言うなら、まあいいか」
くすくすと笑い合い、恋人達は観客を前に語るべき愛の言葉を探り合う。視線を交わし、微笑みあい、頬を染め。言葉も交わさずふたりが選んだ愛の叫び方は――
ふわり、水樹が長い黒髪を潮風になびかせる。黒曜石の瞳に睫毛の陰を落としたかと思えばこの上なく真直ぐに恋人を見つめ、その肩に白い指先を触れさせる。
水樹に触れられ、ヒューは甘く微笑んだ。頬を淡く紅く染めながらも、肩に触れる水樹の指先に自分の指先を重ねる。反対の手を水樹の肩に回す。
ふたりの顔がゆっくりと近づく。最初は小鳥同士がお互いをついばむように軽く唇を重ね、次いで互いの心を探るように唇をはみ合い、最後には心を重ねるように深く甘く激しく切なく、キスをする。
それが、ふたりが選んだ言葉よりも雄弁に愛を語る方法。
愛を確かめ合うふたりに、客席からは花束にも似た祝福の拍手と、やっかみ半分冷やかし半分の歓声や夢見る少女たちの黄色い声が投げかけられた。
「素敵な恋をされているようで何よりです」
去年ひとりでトップバッターを飾った正統派水着美女の今年の幸せそのものな姿に、去年の彼女に審査員賞であるリッカルド賞を贈った
中沢 リッカルド
町長が眼鏡の奥の瞳を細める。
「私がまだイタリアのソレントにいた頃にも、彼女たちのような情熱的なカップルを街角にたくさん見かけたものでした。あの頃の私は――」
審査員席のマンボウ君があまりに熱いラブにきゅうっと気絶してしまうくらいの、客席の親御さんが慌てて子供の目を覆うくらいの甘く激しく長いキスを終え、水樹は額の触れる間近でヒューと目を合わせる。
衆人環視のもとでのあまりに大胆な行為に、ヒューは思わず目を伏せる。
(でも)
目の前には、悪戯っぽく笑う恋人の黒い瞳があった。
(悪くない)
恋人と目を合わせ、ヒューも同じように笑った。長い長いキスの後に更に見つめ合ってから、ふたりは客席と向き合う。ラブ・インジケータのライスシャワーのようなホワイトクリスマスのようなキラキラした白い光を浴びながら、ふたりは堂々と笑った。声を揃える。
「これが、私たちの愛です!」
<< もどる
1
…
11
12
13
14
15
…
29
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
第35回 寝子ヶ浜ビーチ☆スターズコンテスト!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
61人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月25日
参加申し込みの期限
2019年06月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!