遥かなる『ねこだい文明』を求めて……　～革命編～｜リアクション

遥かなる『ねこだい文明』を求めて……　～革命編～

【楽園より愛を込めて】

　それから、しばらくの後。
　海底都市、それにレオとルフィに別れを告げ、クジラバスに乗って寝子島へみんなが戻ってきてから、少しばかり時間が経った頃のこと。
「……あら」
　朝鳥さゆるがなんとはなしに寝子ヶ浜海岸の脇を歩いていると、なにやら変わった取り合わせの面々を見かけました。
「あっ、こんにちは」
「やあ。ねえ、ちょっと見ていかない？」
　明るい声をかけたのはベンチに腰掛けた、綾辻綾花と万条幸次。
　綾花の膝の上にはちょこんと、
「よう」
　テオの姿もありました。
「見るって、なにを？」
　義理のようにさゆるが尋ねると、幸次がひらと差し出してくれたのは、一枚の紙っぺら。
　どうやら、写真付きハガキのようです。
「！」
　見るなり、さゆるの端正な眉が一瞬だけ、ぴくりと跳ねました。
「ずいぶんとお気楽じゃない」
「だよね～」
　そこに写されていたのは……どこまでも広がる青空。ぷかぷか浮かぶ白い雲。鮮やかに過ぎる海のブルー。
　そして隙だらけのふんにゃか笑顔を浮かべた一匹のねこと、水槽の中にたたずむイルカ。それにヘルメットやオーバーオールを身に着けた、土木作業員のようなガタイのいいねこたちがたくさん。
「まったく、あいつ。こんなもの送り付けてきやがって」
「ふふ。でも嬉しいんですよね？」
　綾花が背中をナデナデすると、テオはどこかバツが悪そうに、ごろろと喉を鳴らしました。
　ハガキを裏返すと、ふにゃふにゃとかろうじて読み取れるくらいの丸文字で、メッセージがしたためられておりました。

　『拝啓　寝子島のみニャさん

　　　元気でお過ごしでしょうかニャ。
　　　オレは今、ルフィといっしょに、新しいネコトピアの建造に着手したところだニャ！
　　　まだ始まったばかりニャけど、ニャーに、オレたちならきっとすぐに完成しちゃうニャァ。

　　　実はあれから、お手伝いさんを募集してみたのニャ。
　　　あちこちにお手紙を書いて送ったら、せーゆーとー？　ってところとか、
　　　天界からも、たっくさん集まってくれたニャァ！

　　　ねことおさかなの楽園、海上リゾート・ネコトピア！
　　　きっとぜったい、楽しくって過ごしやすくって、良いところになるニャ。してみせるニャ。
　　　いつか完成したら、みんな、遊びに来てほしいのニャ！

　　　待ってるニャ～～～！

　　　　　　　　　　　　　　　　旅ねこ＆株式会社ネコトピア代表　みんニャのアイドル、レオより』

　　　追伸

　　　テオ～！　ミラちゃんもこっちに来てるって、ホントかニャ！？
　　　ミラちゃんはオレの初恋のねこだったんニャ！　会いたいニャ～、会いたいニャ～！
　　　今度会わせてくれニャ！　セッティングよろしくニャァ！

「えっ、レオもミラちゃんのこと知ってるんですか？　どんな関係？　もしかして、三角関係ですか？」
「おい。誰のナニがどうして三角関係になるんだ……！？」
　そんなやりとりを聞きながら。
　幸次はふと、空を仰ぎます。ぷかぷか浮かぶ白い雲が、あの明るくて能天気で、ちょっぴり弱くて、けれどとても優しいねこの顔に見えたもので。
「……がんばってね」
　そうしてふわり、微笑みました。

　ねこたちはやがて、そこを訪れるでしょう。
　目にした途端、くりくりとつぶらな瞳をいっぱいに見開いて、無邪気に感嘆を叫ぶのでしょう。
　ねことお魚の楽園を、心置きなく楽しむのでしょう……ぬくぬくとあたたかいおひさまの光を浴びながら。

　びゅうと強い風が九夜山から吹きおろし、ビーチに突き立つ色とりどりのパラソルをばたばたとはためかせます。
　風は砂浜を越え、波間を越え、遠い海の向こうにまで吹き渡ってゆきました。

＜『遥かなるねこだい文明を求めて……』　おしまい。＞

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　お待たせしました！　『遥かなるねこだい文明を求めて……』のリアクションをお届けいたします。
　墨谷です。

　このシリーズはもともと『そうなんです。』という、ほぼ関連のない無人島遭難サバイバルシナリオが発端となっております。
　アクションにていただいた、『ねこだい文明』なる素敵ワードに心惹かれた墨谷が、じゃあちょっと広げてみようかしらん。ということで、このシナリオがスタートしたのでありました。
　もちろん当初はこんなに何回も続くシリーズにしようだなんて思ってもいませんでしたから、設定を考えたり詰めたりするところから始めて、結果的にそれなりに準備に時間をかけて臨んだシリーズとなりました。
　途中で少し間があいてしまったりもしましたけれど、なんとかこうして終わりまでたどりつくことができまして、ほっとしております。いえ少しじゃないですね、結構あきましたよね……申し訳ない！

　ねこだい文明ことネコトピアの動乱は、長い時を経て、皆さんのおかげでまるっと解決となりました。
　新たな海上リゾートがお披露目となったあかつきには、レオくんがクジラバスに乗って、嬉々として皆さまをご招待しに現れることでしょう。
　もしそんな機会がいずれありましたら、またお付き合いしていただけましたら嬉しいです。

　そんなわけでこのお話は、これにて完結となります。
　お付き合いいただきまして、ありがとうございました！
　また次のシナリオにて、皆さまとお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
　墨谷幽でした。お疲れさまでした！

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