<前回のあらすじ>
まぼろしの『ねこだい文明』を求めて寝子島を訪れた、旅ねこのレオ。
島中に散らばっているというねこだい文明の『遺物』集めに、みんなは協力することになりました。
遺物はまるで、パズルのピースのよう。
集めた欠片を組み合わせてみますと……出来上がったのは、バス停のようななにか。
やがて浜辺に現れたのは、大きなクジラでした。クジラバスです!
みんなはレオといっしょにクジラへ乗り込み、海の中へと旅立つのでした。
目指すは謎の都市、『ネコトピア』!
はてさて、どんな冒険が待ち受けていますやら……?
こぽこぽこぽ。ぶくぶくぶく。
「驚いたな……」
冷静沈着がウリの
八神 修だって、そりゃあもうびっくりです。
何しろここは、海の中。クジラバスに乗り込んでぷくぷくと、深海へ潜行中なのです!
「どうニャ? 未知の場所を踏破していく、これぞ冒険! これぞ旅の醍醐味ってやつニャぜ!」
旅ねこレオは、わくわくする自分を押さえられないといった様子で、ご機嫌です。
クジラは背中に車輪のないバスの車体のようなものを背負っていて、客席には修のほかにも、多くの仲間たちが乗っています。
車体は完全防水、空気もバッチリ満タンですけれど、外は完全なる海中です。お魚の群れがひらひらひらりと優雅に泳いでいる様を間近に見られるのは楽しくも、ちょっぴり恐ろしくもありました。
クジラバスへと、望んで乗り込んだ人もいれば、レオのお誘いを断る隙も無いまま、ほとんどゴーインに乗せられてしまった人もおりますけれど。
イルカたちが集まってきて、きゅうきゅうと歌を聴かせてくれるたび。巨大イカがずるりと脇を通り抜けて、墨を吐きながら去っていくのを目にするたび。
目の前に広がる新鮮な光景に、みんなはなんだかんだで、笑顔が漏れてしまうのでした。
「しかし、ずいぶん潜るな。どこまで行くんだ?」
「さー? ちょっと底まで、なんつってニャァ!」
「レオ、笑えないぞ……」
お気楽なねこと並んで窓の外を眺めると、客席に灯る照明が外の海中を照らしてはいるものの、あたりはすでに真っ暗です。
深さは早くも、深海と呼んでも差し支えないところにまで差しかかろうとしています。
さすがにみんなが少しずつ、不安を感じ始めた頃。
下方からぼんやりとした、不思議な光が見え始めました。
「この光は……?」
「この先にきっと、ねこだい文明の都があるんニャ!」
ぼえ~っとのんびりした声で鳴き、クジラはさらに深く、深くへと潜っていきます。
やがて。
「これは……!?」
修は、目にしました。
こぽこぽと漏れ出した泡が、クジラの鼻先をなぞりながら昇っていきます。
深海の終着点、海底に広がっていたのは、巨大な……あまりにも巨大な、泡。寝子島がすっぽりと覆われてしまいそうなくらいの、とてつもない大きさの泡でした。
「……
空気のドームだ!」
海の中にありながら、どうやら空気で満たされているらしいその空間へ、クジラはラストスパートとばかりに尾をくねらせ、近づいていきます。
泡の端っこには、細長い箱のような建物があって、泡の中と外をまたがり繋いでいるのが見えました。どうやら、クジラバスの終着駅であるようです。
クジラバスの背負う車両が、駅の一端へがこんと接続されて、バスの扉が開きます。
出口をくぐり、さっそく降り立った旅ねこは、感極まって叫びました。
「やっと……やっとオレは、たどりついたんニャァ! ねこだい文明の都に……!」
感動でぷるぷると震えるレオを微笑ましく眺めつつ、修もその隣へ並んで、目の前の光景を眺めます。
海底にぽっかりとたたずむ巨大泡ドームの中に、神殿かお城ともみまごうばかりの威容が建ち並びます。
それは、ひとつの都市でした。
光に包まれた、絢爛なる都……美しき『
ネコトピア』!
あちらこちらに灯るのは、街灯の光。ポールのてっぺんにくっついている金魚鉢のような丸い水槽の中には、チョウチンアンコウに似た発光器を持つ可愛らしく小さなお魚たちが入っていて、楽しそうに泳ぎながら明かりを提供しています。
街のそこかしこには、直径数メートルの透明なチューブが縦横に張りめぐらされていて、その中を大きなサメがゆったり泳いでいるのが見えました。背中には、クジラバスのように客席を背負っています。
クジラバスを降りると、そこには石造りの長大な橋が連なっています。
橋の上には動く歩道があり、それを動かしているのは、歩道の下に据えられたガラスの箱の中で身をくねらせる、ウナギかアナゴのような生き物でした。
「これは……興味深いな。
街を動かすのに、魚を利用しているのか?」
見たこともない光景に、知的好奇心を刺激された修の瞳が、きらん! と輝きます。
橋を渡れば、開かれた都の門扉へとたどりつくでしょう。
「さて。さっそく探検といこうか!」
ついに目の前へと現れた、ねこだい文明の遺跡。
そこで待ち受けているものとは、はたして……!?
「……たどりついちまったか。さて……」
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ガイドには、八神 修さんにご登場いただきました。
ありがとうございましたー!
(ご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、自由なアクションでどうぞ!)
このシナリオの概要
謎の『ねこだい文明』を紐解くシリーズシナリオ、その第二弾です。
クジラバスで海の中へ一直線。たどりついたのは、『ネコトピア』!
今回は、ねこたちの痕跡残る美しくも巨大な都市を探索していきます。
ちなみに『ねこ』は、こんなシナリオやこんなシナリオ、こんなシナリオにも登場していますよ。
かーわいいんだこれが!
<今回よりご参加の方へ>
前回のシナリオに参加していなくとも、まったく問題ありません。遠慮なくご参加くださいませー。
その際は、「前回は登場していなかったけどみんなといっしょに行動してたよ」とか、
「たまたま通りがかって、誘われてクジラバスに乗ったよ」、とか、
きっかけはなんでもOKです。お気軽にどうぞ!
海底に広がる泡の中に築かれた『ネコトピア』。
そこは、あらゆるものがお魚の力を利用して動く、巨大な都市でした。
住人であるねこたちの姿は見えないものの、施設の一部はまだ稼働しているようで、
各所には照明が灯り、海の底だというのにまぶしいほどの明かりが満ちています。
とりあえず外から観察してみたところ、『ネコトピア』はどうやら、いくつかの区画に分かれているようです。
小奇麗な一軒家から高層建築までが集まる、『居住区および商業区』。
煙突らしきものがいくつも突き出ている、『工業区』。
一見して豪奢な造りできらびやかな、『王宮』。
その他の小さな区画も含めて、都市のあちこちを、張りめぐらされたチューブ状の道が繋いでいます。
チューブの中には客席を背負ったサメが泳いでいて、かつてはねこたちを運んでいたようです。
『サメトラム』と呼ばれるこの乗り物には、各地の駅から乗り込むことができます。
都市を探索していると、かつてここに暮らしていたであろう、ねこのまぼろしを見かけることがあります。
その名も、『ねこにっき』! ねこたちが暮らしの中で残した、気ままな記録映像です。
前回は映像のみでしたが、今回は音声も聞くことができます。
ネコトピアでの暮らしぶりが垣間見えたり、あるいはなにか重要な情報を得ることができるかもしれません。
さあ、探索に出かけましょう。
謎に満ちたねこだい文明の真実を、皆さんで解き明かしてください!
アクションでできること
ご参加の際は、主にどの場所を探索するか、以下の選択肢の中からお選びください。
なお、以下の情報にはPL情報も含まれます。
●探索する
都市の中心に近いあたりには、高層マンションっぽい建物も見えます。
住人の姿はありませんが、商業区では自動販売機らしきものやマーケット、
プール・温泉、遊園地らしきレジャースポットなど、一部の施設はいまだ稼働しているようです。
ただし、利用するにはこの街の通貨が必要になります。
通貨は猫の顔の形をしたガラス玉で、色によって価値が異なります。
探せばそのへんで見つけることもできるかも?
あちこちから赤い光、青い光が漏れ出していて、今もなにかを作り続けているようです。
内部では、ベルトコンベア、溶鉱炉、プレス機、塗装用の塗料噴霧機など、無数の作業機械が動いています。
動力には、発電性の魚が利用されているようです。
工業区の奥へと進むには、機械たちの形作る生産ラインへ入り込み、突破する必要があります。
まるでちょっとしたアスレチックコースのようなラインを進みつつ、探索しましょう。
王宮ではないか、というのはレオの予想ですが、確かにそう思わせる趣きがあります。
内部には、監視カメラのような役割を果たすギョロ目の魚が入った水槽が多数設置されており、
侵入者に睨みを利かせています。
見つかったらどうなってしまうのかは、不明です。
あえてリスクを恐れず、正面から乗り込むもよし。監視をかいくぐり、慎重に進むもよし。
最奥にはいったい、なにがあるでしょうか?
●レオと話す
レオは、都市のあちこちを気ままに探索しています。
皆さんと出会うこともあるでしょう。
話したり、いっしょにねこにっきを眺めたり、ネコトピアについての所見を聞いてみるのも良いかもしれません。
なお、ケータイ・スマホの通話機能やインターネットは使用できません。(圏外)
写真の撮影など、その他の機能は使用可能です。
NPCについて
○レオ・オブリーオ
二本足で歩く『ねこ』。顔、耳、手足と尻尾が黒くて身体が白い、猫種としてはシャムに似ています。
ねこだい文明を探してずっと旅をしているそうで、出身は『忘れてしまった』とのこと。
人当たりは気さく。でも皮肉屋なところもあり、クールねこを気取っています。
機械の類に強いようで、スマホで各地の写真を撮ったり、ニャンスタにアカウントを持ってたりします。
興味津々で、ネコトピアを歩き回っています。
○テオドロス・バルツァ
相変わらず思わせぶりな彼。残念ながら、今回のリアクションにも登場しません。たぶん。
だったらなにしに出てきたんだ? なんの意味があるんだ?
そのうち明かされる……かも!
以上になります。
いよいよ、ねこだい文明の中心地へ! レオくんといっしょに、探検を満喫してくださいね。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております~!