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星ヶ丘から遠く離れたもうひとつの寮・桜花寮。
そこの食堂スペースで
桃川 圭花
は昼食を――もはや夕食と言ってもいいかもしれない――食べていた。
ミキサーで作ったガスパチョは初めてにしてはそれなりの出来。見ている分には美味しそうだ。
対しフレンチトーストはずいぶんと焦げてしまって、見た目は食欲をそそるとは言いがたい。
それからトーストで残った卵を使って、甘いスクランブルエッグも作ってみた。これはレシピの写真と遜色ないほどの見栄えで楽しみだ。
あとは適当に野菜を切ってサラダを作り、それなりに『らしい』食事が出来上がった。
「いただきます」
綺麗に手を合わせて圭花はまずサラダから口に運んだ。
しかしいつまでも飲み込まずに咀嚼を繰り返し、眉間にはひどい皺が出来ている。
「……おかしいわね」
サラダなんて野菜を切るだけのはずなのに、どうしてこんなに不味いのだろう。
口の中の不快感を拭うようにガスパチョで口の中をすすぐ。
「あ、これは合格ね」
野菜の甘酸っぱい味わいが口の中いっぱいに広がって、かつ爽やかな香りが鼻を抜けていく。
すこし塩が足りなかったかな、と思わなくはないけれど、その分素材の味が際立っている。
その酸味を楽しんだところで恐ろしいかなフレンチトースト。
「これは……」
見た目が綺麗じゃない、という時点でどうにもならないように圭花には思えたが、せっかく作ったのである。それにお腹も空いている。
覚悟を決めて、黒い塊に齧りついた。
「ん!」
たしかに最初には苦味が襲い掛かってくるけれど、あとから漂うバターの香りと香ばしさ。それから控えめな甘さがなかなかだ。
「惜しいわね」
次こそは上手く作ってみせる。頷いてから圭花はスクランブルエッグをスプーンですくった。
持ち上げると、すくいきれなかった分がとろりと零れ落ちる。鮮やかな黄色が『早く食べてよ』と圭花をせっついた。
(そんなに焦る必要はないわ……)
あえてのんびりとスプーンを唇に滑り込ませた。
途端に広がっていくとろける感触。
「これは、いいかもしれないわね」
以前作った目玉焼きよりもずっと美味しく出来た。
「サンドイッチ余っちゃいましたね」
「俺のもまだ余ってるし……よっし、二次会やろうぜ!」
そうして食事をしていると、
御陵 春哉
と
六月一日宮 檸檬
の声が聞こえてくる。
「あ、浅山さん、小山内さんおかえりなさい。あのよかったらサンドイッチでも食べません?」
「恵御納も、買い物でもしてきたのか? だったら腹減ってねーか?」
騒がしいわね。そう思いながらも、ゆっくりと食事を続ける圭花。
「お、桃川! ちょうどいいや、一緒に食わねぇ?」
声をかけられてゆっくりと振り返る。
今日は料理が上手く出来て気分がいいのよね、と思いながら。
旧市街には家路につく
宮祀 智瑜
の姿が。そして今日はよく会うなと思いながらもやはり声をかけない
御剣 刀
。
獅子島 市子
は家に帰るつもりなのだろうかふらふらと土手を登っていった。
そしてその旧市街から猫鳴館に帰宅した
逆巻 天野
と
真辺 伸幸
を待っていたのは天然サウナ。
綾辻 綾花
も、痩せるのは嬉しいんだけど、と苦笑していた。
そことは対照的な星ヶ丘。
ラウンジでひと騒ぎした後、疲れきった
八神 修
は、ソファーに沈み眠りこんだ。
その時、夢を見たという。
「修君……ほっぺたに、プリンついてるよ?」
小首を傾げる
七夜 あおい
が、その赤い舌でプリンを拭ってくれる夢を。
実際に舐めていたのは猫たちなのだけれど、夢見るくらいは自由ということで。
ご主人がよい夢を見られるようにと、猫たちは懸命に修に頬ずりをする。
それに比例するように、修の頬はとろけていった。
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あとがき
担当マスター:
つるこ。
ファンレターはマスターページから!
ご閲覧、そしてご参加ありがとうございました。
想定していたようなハチャメチャなハプニングや✕✕で口をふさぐ(!)というようなことはありませんでしたが、個々のキャラクターさんらしさのでたリアクションになったかなと思います。たぶん。
さて、細かい部分は個別で説明させていただくので、あとがきになにを書こうかなーと考えてみます。
あとがきからご覧になる方もいらっしゃるので過度なネタバレは控えておこうと思うのですが、となるとなにを書こうかといつも悩んでしまいます。
ですが今回は神魂のことがあります。
誰も自覚できない神魂。ということで細かく、でもわかりにくく影響しています。
大体騒ぎが起きてるところでは発動しておりますが……何度発動したかわかりますか?
全部見つけられたらもうすっかりふしぎ事件の慣れっこさんですね、ハイ!
あとは、そうですね。
前回から、細かく分けて見てるんですけど、どうでしょう?
もうちょっと1ページが長いほうがいいでしょうか?
それとも小分けの方がいいですかね?
ご意見があれば是非お聞かせ願います~。
それではお決まりですが、ご意見ご要望叱咤激励その他もろもろありがたくいただきますので、気軽にダイアリー・コメント欄を利用していただけると幸いです。
前回よりも、すこしでも皆さんに楽しんでいただけますように……。
ではこれにて終了。ありがとうございました!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
つるこ。
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年03月02日
参加申し込みの期限
2014年03月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年03月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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