シエスタ・フェスタ！｜リアクション

シエスタ・フェスタ！

　星ヶ丘寮にはふたつのレストランが入っている。
　フレンチとイタリアン。どちらも舌の超えた寮生たちが不満に思わない程度のクオリティはある。
　その中のイタリアンの方で桜月は遅い昼食を取っていた。
　嫌味でない程度の冷風を受けて、月はチャバタ（イタリアの食事パン）に手を伸ばす。
　お腹は空いているけれど、この時間にしっかりと食べてしまうと夜が辛くなる。
　そんな理由でイタリアンを選んだのだが、やはり、相当にお腹が空いていたのだろう。
　いつもよりもずっと旨味や甘みが口の中に広がっていく。
　それから「なにかさっぱりとしたものを」と注文して出てきたのは枝豆のスープと夏野菜とスモークサーモンの冷製パスタ。
　素材の味を活かした塩ベースの味わいは、すぐに胃に染みこんでいって栄養になるような気分だった。
　後が辛いから、なんて理由でここを訪ねてきたのに、ついつい食が進む。
　困ったものだと苦笑して、そっとフォークを置く。
　結局すべてを平らげてしまった。
「さて、」
　これからどうしようかな。
　もう一度部屋に帰ってこもってもいいのだが……。
　すこしの思案の後に、月はラウンジに向かった。