シエスタ・フェスタ！｜リアクション

シエスタ・フェスタ！

●旧市街の片隅です

　そしてその橋の向こう。
　駄菓子屋の前の彼らは変わらない。
「こんな暑いんじゃ先生方もでろーんよねぇ」
　しっかりと『でろーん』を体現して、真辺伸幸は言ってみた。
「先生が今頃何してるかなんて知らないよ」
　逆巻天野は暑くなんてないかのようにさらりと言い放つ。
　でもほんのすこしだけ声が低くなっているから、たぶん暑くてイヤなんだろうなと伸幸は思った。
　勉強ができなくて、という点にはたとえ心の中でも触れないでおくことにした。
「ああ、でも僕たちの目の前にフジコが現れないことには財布を全額かけてもいい。
　負けた方はアイス奢りね」
　ぬ。
　伸幸も富士山権蔵が来ない方に賭けたいのに選択肢が無いとかなんたる暴君！
　伸幸は不服そうに眉を寄せた。
　抗議をしようと（伸幸なりに）急いで口を開くが、
「じゃ、神様は何をしてる頃だろうね？」
　すっかり話題を逸らされてしまった。
「カミサマはきっと、今日も年中無休で通常運転なのよー」
　不満たらたらで、けれど『カミサマ』のアホ面を思い出すとそんなことはどうでもよくなってくる伸幸であった。