シエスタ・フェスタ！｜リアクション

シエスタ・フェスタ！

　夏物のお洋服が欲しい。そんな漠然としたイメージしか持っていなかったせいか、なかなか気に入ったものには巡り会えなかった。
　試着してみればまた気持ちも違うのかもしれないが、まだ慣れない場所で、思い切ることができずに居る。
　そうしてサナリアナ・アークロットがふいに手に取ったのは薄青と白のストライプ柄をしたレイヤードワンピース。
　触れた感触は、柔らかく、さらりとしている。
　そんな布が幾重にも重なって、ゆったりとしたシルエットを作り出していた。
　手首に服を当ててみると、サナリアナの透き通るような肌にもよく馴染んだ。
「……えっと」
　小さな店内をぐるりと見渡して鏡を探す。
　店の奥にひとつ見つけた。
　そこで一度自分の姿を映し見た。
　やはり淡い色合いが肌には馴染む。
　襟元が縫い縮められてレースのような襞になっているのも、なで肩気味の彼女には良さそうだ。
　あと気になるのは左右の腰部分には控えめなリボンだった。
「……可愛らしすぎるような気がしますね」
　それからその下の裾に添えられているレースも、気にかかる。
　肌に当てて気がついたのは甘すぎないレースのむこうに、太ももがわずかに透けて見えるということ。
　足が綺麗に見えるような作りになっていたのだ。
　それは可愛くなり過ぎないような配慮でもあり、むしろさりげない色気を作り上げるようでもあった。
　可愛らしくも綺麗にも見える不思議なデザイン。
　気に入った、といえばそうだった。
　サナリアナは、試着してみることにした。

　暑い暑いと言い続け、歩き疲れた恵御納夏朝。
　彼女はようやく喫茶店を見つけた。
　小さな喫茶店だったけれど、この際気にするまい。
「喉、乾いた……」
　夏朝は、戸をくぐり、冷風をいっぱいにあびた。