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NECO MUSIC FES 1370!
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舞台にヴァイオリンの音で鳴るはクラシック曲のロックアレンジ。途中から加わった男性ヴァイオリニストの音を得て、可憐なカナリアにも似た衣装纏った少女の音は色鮮やかな空と心強い追い風を手に入れたようだった。
ヴァイオリン二重奏を耳にしながら、
市橋 奏楽
はそっと隣を見遣る。
肩を並べているのは、『弟』の
市橋 誉
。
お揃いの衣装が心なしかくすぐったくて、奏楽は黒い瞳を細める。
(思えば)
自分はいつも誉に引っ張られ、無茶振りされてきた。それはとても楽しく嬉しいものではあったけれど、
(一度くらい、驚かせてみたかった)
だから無断で先にネコフェスに事前登録を済ませ、そうしてから誉を誘った。
(今回は俺が誉に無茶ぶりをすることにしよう、そう思ったんだ)
事前登録が完了してから、曲目を選んでから、奏楽を呼び出した。
ギラギラ輝く夏の太陽のようなエネルギッシュな曲、そんな太陽の光を受けて煌く海の歌、それからちょっと木陰で一休みな涼し気な曲。宝石箱に煌く石を詰めて行くような気持ちで夏の曲を選ぶのも、それをメドレー形式にするのも、とても楽しかった。
それもこれも、誉がどんな顔をするだろうと考えればこそ。
自分たちらしくジャズ形式に弾こうと決めれば、その気持ちはますます大きくなった。
――勿論、出てくれるよね?
突然呼び出したかと思えば、笑顔でネコフェスの出演許可書類と楽譜を広げてみせる『兄』の奏楽を思い出し、
(あの時、俺が断ったらどうするつもりだったんだよ)
誉は奏楽を見遣る。何故だかこちらを見ていた奏楽と目が合って、目を瞬かせる。
(断れる訳がないけれど)
そもそも誘われる前から、今回はちゃんと奏楽を誘おうと、ふたりで最初からメインステージに上がって弾こうと考えていた。そう考えていたところに、奏楽からの誘い。考えを見抜かれているようでちょっと悔しかった。
(……今だって)
出番が目前に迫った今だって、奏楽はこちらの考えを見抜いているような嬉しそうな眼差しを向けて来る。
(そりゃあ)
誘われたのは嬉しかった。奏楽が寮の部屋にやってきて、二人で練習をする度に心が弾んだ。でもそれはきっと、奏楽だって同じはず。
(でも、まさか奏楽が)
事前登録を済ませるまではともかく、曲目までも決めてくるとは思っていなかった。ここまでぐいぐいと物事を進めてくるとは思わなかった。
けれどそんな奏楽はとても楽しそうで、彼が音楽と真摯に向き合っているのだと知れて嬉しかったのは確かだ。積極的に取り組む奏楽が悪いわけではない。ただ、
(何かこう、)
いつも自分に合わせてくれる奏楽のいつもとは違う様子に、背中がむずむずした。むずむずしてしまう自分に余計むずむずした。だってそれでは、
(俺がまるで我儘な奴みたいじゃないか)
だから今回は、奏楽の提案を全て受け入れようと決めている。そうして奏楽に度量の広いところを見せてやろう。
(うん、……よし)
自分の方向性を再確認してところで、舞台に自分たちの名がコールされる。
「誉」
奏楽に呼ばれ、誉は力強く頷いた。舞台袖から、ステージに設置された二台のピアノを見遣る。
「ああ、……奏楽」
熱気が渦巻くステージへと、揃って踏み出す。
ステージの央に並んで立ち、一礼する。向かい合って置かれたピアノの前に腰掛ける。心地よい緊張感がヒリヒリと肌を撫でる中、流れる仕草で鍵盤に指を置いて、
(そう、)
奏楽は悟る。これは、
(俺と誉の真剣勝負)
視線を上げる。こちらを見る誉と視線が絡まって、奏楽は微笑む。
――さあ、行こうか。誉
心の中から語り掛けた声を、誉は聞いたに違いなかった。口火を切って奏楽が最初の一音を叩いた瞬間、誉の瞳に炎が宿る。
――奏楽に負けられるか
誉の心の声を、奏楽も聞いた気がした。
奏楽のリズムは、灼熱の太陽。何もかもを真っ白に輝かせて照らしだすような苛烈な太陽の音色を、入道雲のようにふわり、誉の音が包み込む。
(相変わらず上手い)
己を鍛えるほど、差を思い知る。
思わず零れそうな溜息を奏楽は噛み殺す。たとえば以前の自分であれば、開いた差に目を伏せ笑って逃げ出していた。逃げて、逃げて逃げて、逃げ続けていた己を、誉が叱り飛ばした。叱り飛ばしてくれた。
(ああ、)
太陽の音を、ほとんど唐突に海の音に変えてみせる。情熱的に降り注ぐ音から、青く穏やかにさざめく波の音へと。
(もう逃げたりしない)
対峙した誉を見据える。
(今日は、俺がお前を振り回すと決めているんだから)
『兄』の弾く音に、誉は内心舌を巻く。一度は投げ出した音楽と再び真摯に向き合うようになってから、奏楽の音は確実に進化している。それは、練習のときからひしひしと感じていたこと。
背中に迫る奏楽の音楽は、
(凄く凄く、嬉しかったんだ……!)
それと同時、負けるものかとも強く思った。今だって、そう思っている。
対峙したピアノの音が絡む。互いに笑みを浮かべ、音という拳で殴り合う。
くるくると音の雰囲気を変える挑戦的な奏楽の音に、
(これならどうだ!)
振り回されながら一緒に踊ってみせる。華麗に合わせると見せかけ、音の拳を叩きつける。
(楽しい)
奏楽の音が想像の上を行く弾けっぷりを見せつけてくる。追いかけて来いとばかり振り返って笑う音に追い縋る。襟首を掴んで引き倒し、先に駆けだす。
(楽しい!)
音の物語が無限に広がって行く感覚に、誉は知らず顔中で笑う。
(そうだ)
視線をもたげれば、奏楽も同じ表情をしていた。音を、視線を絡ませ合い、ふたりは額をぶつけるように音を叩き合わせる。笑いながら殴り合う。
(俺はずっと奏楽とこうして楽しみたかったんだからな……!)
音とリズムとを打ち合わせ競い合わせるうち、曲目の最終節の旋律を辿るに至って、誉は瞬く。なんだか、あっという間に終わってしまった。
(まだまだ弾き足りないのに)
掌にぱたぱたと汗が落ちる。最後の音がこれまで殴り合っていたとは思えぬ調和を見せて響きあう。
恐ろしく疲れていることにも気づきながら、それをとても心地よく感じながら、揃って立ち上がる。ふたり、最初と同じに並び立てば、遠雷のような拍手よりも近く、奏楽の深い吐息を聞いた。視界の端、奏楽も自分と同じほどに滝のような汗を流している。
二人で深く、一礼する。
上げた視界いっぱいを埋めるのは、鮮やかな青空と、その下に無数に咲くパラソルの花。それから、数え切れないほどたくさんのひとの笑顔と、止まない拍手に打ち合わされる掌。
「ああ、……」
誉は、隣に奏楽の掠れた声を聞いた。
「とても、気持ちがいい」
奏楽の呟きに胸が躍った。だって奏楽も、同じように感じてくれていた。音を奏でることが楽しいと。気持ちがいいと。
「奏楽」
誉は隣の奏楽の顔を覗き込む。ぎゅっと握った拳を差し出せば、
「誉」
奏楽は青空のような笑顔と共、拳に拳を合わせてくれた。誉は堪えきれない笑みを零す。――やっと、また音を合わせられた。
「あー疲れた!」
舞台裏に戻るなり、誉はあっけらかんと言ってのける。
「奏楽、今日は勿論奢ってくれるんだよな?」
奏楽を振り回すべく、あの日ネコフェスに誘ってきた言葉を真似てみれば、奏楽はくすくすと笑み返した。
「断れる訳がない」
あの日の己の思考を読んだような奏楽の返事に、誉はむむむと唇を引き結ぶ。
(今回は俺の方が振り回されてるよな)
負けたような気がするけれど、それを『兄』に悟られるのはやっぱりなんだか癪な『弟』は、思いつく限りのわがままを言ってみる。
「喉乾いたからタピオカドリンク飲みたい。暑いからアイスクリームもな」
わがまま放題に言いながら、それでも口元は知らず緩む。楽しかった。とても、楽しかった。
「またやろうな、奏楽!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
70人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年03月28日
参加申し込みの期限
2019年04月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年04月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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