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NECO MUSIC FES 1370!
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傍らを見る。
己より数センチ高い位置にある群青の瞳と目が合った。ほとんど同時に互いを見遣ったことに思い至り、
獅子目 悠月
と
オルカ・ヴィヴァルディ
は同じ瞬間に微笑む。
(もっと緊張するものだと思っていた)
歌唱ユニット『Re』の相棒であるオルカとステージ出演を間近に、悠月は静かに呼吸をする。
相棒と組み、アイドルとして活動を始めてから、寝子島最大の音楽祭であるネコフェスをひとつの区切りとして定めていた。己にとっての決戦の日である今日に至るまでは、このときにはきっと心臓が凍るほど身が硬くなるものと想像していた。
けれど今、心臓は力強い落ち着きで以て脈打っている。
(きっと、一人じゃ無いから)
ステージ衣装を纏った悠月の痩身から灼熱の太陽にも似た熱を感じ取り、オルカは空色の瞳に浮かぶ笑みを深くする。
(目標にしてたイベントだから張り切っちゃうよねぇ)
今日のステージの後、悠月は悠月の父と会う。
――来てくれるかすら賭けだが……
父を呼び出したことを口にしたとき、悠月はそう言っていた。
決意と不安が入り混じって伏せられる赤銅色の長い睫毛は、『父』が悠月の望む未来の前に立ち塞がる最大の壁であることを示している。
――俺は、未来を掴み取る
続けてそう言った悠月の榛色の瞳に宿る光にオルカは見惚れた。どんな宝石よりも美しい色だと信じた。
宝石の瞳した悠月の隣、オルカは白を基調とした海軍服イメージな衣装の背筋を正す。悠月の決戦のステージであるのならば、相棒としては最高のパフォーマンスを魅せてみせよう。
(まあ、どのステージも最高のものしか見せる気はないけど!)
ステージへ飛び出す直前にも、オルカは悠月と笑い合う。
「そんじゃ悠月、ド派手にぶちかましに行こうか」
空から海へダイブするように、ステージへ飛び込む。
アップテンポで明るい楽曲に合わせ、ふたり同時に何度も高く跳ぶ。軽快なステップをシンクロさせる。
夏風に跳ね上の空中に舞い踊る波の滴にも似た軽めのメロディで、まずは観客の意識をステージへと向けさせる。
(ほら、興味が出て来たでしょ?)
遠くの客に向け、オルカは大きな仕草で手を振る。ステージにかじりつきそうな勢いで見つめてきてくれるファンの子たちにサービスとばかりウィンクをする。
(さあ、)
オルカと視線ひとつ交わさず動きをぴったりと合わせ、
(夢中になれ)
オルカの魅惑的なハスキーボイスに高く澄んだ声を合わせ、悠月は全身全霊で歌い上げる。直前まで頭のどこかしらにこびりついていた父への懸念も霧散している。
一曲目でステージに向いた客の意識を今度は自分たちに集めるべく、二曲目はミドルテンポから始まる曲。流れるギターの伴奏に合わせて重ねた歌声は、サビに曲調がテンポアップしても崩れることはない。
(いつも通り、全力で)
悠月と背中合わせにステップを踏み、声を絡ませ、オルカは空を仰ぐ。
(いつも通り、いつも以上のパフォーマンスを)
振り返る。同時に振り返った悠月と視線をぶつからせて、知らず瞳を細めそうになった。太陽の光を乱反射させて煌く海よりも、
(隣の方がずっと眩しく感じるよね~)
二曲終わって、ふたりは舞台の央で一礼する。心を鷲掴みにされた観客の拍手と歓声に顔を見合わせて笑い合ってから、オルカは輝くような笑顔を客席に放つ。
「Ciao~!」
「今日は、『Re』です」
「今日歌った曲、ネットで一部公開したから、全部聞き終わったら俺たちを検索してみてね! 販売とかもしていく予定だからよろしく~」
イタリアの血を引くオルカがどこまでも明朗に闊達にMC兼宣伝する傍ら、悠月は高く結い上げた赤銅色の髪を揺らし、隠し切れない品の良さを垣間見せつつ寡黙に一礼する。
三曲目は、今までに立った幾つものステージで幾度となく歌い上げて来た一曲。切ないまでに光を求めて闇を切り裂くような歌詞を、駆け抜けて行く音を追いかけて歌う。追いついて抱きしめる。
(今の、俺達の全てを歌った様な音だ)
音と共に歌を空へと駆けあがらせながら、悠月は今までに何度も繰り返したフレーズを、自分たちらしさを一番詰め込んだ曲を、全力で歌い上げる。
「ああ、」
ステージを見つめるまま、真は唇に笑みを刻む。
「生の音はやっぱええなぁ」
手を携え懸命に生き抜こうとしているように見えるあのふたりも、
(好きやで)
おもしろい、と同じ意味合いでそう思う。
隣に立つユチェンを眺める。目を瞠って舞台に見入っている彼の肩をちょんちょんと突く。
「僕が作ったん、どぉ?」
夢から覚めたようにユチェンは瞬きを繰り返し、二度三度と真と舞台に視線を行き来させた。そうしてから、こくり、言葉もなく大きく頷く。ふふ、と真は優しい妖の如く笑った。
「あの曲はなぁ、あの子たちのためだけに作った曲なんよ」
最後の一曲はふたりの歌唱力を最大限に活かすアカペラの曲。
(響くホールじゃないから賭けだけど)
爪先でリズムを刻み、オルカは隣に意識を向ける。同じように爪先を鳴らす悠月の音が完璧に重なっているのを聴けば、
(悠月となら、それでもイケる)
そう、強く思えた。
向き合う。海より眩しい陽の瞳を見つめる。
最初の一声めから、深く深く、音を重ねる。ふたりの歌声に耳を澄ませて静まり返る客席をふたり同時に振り返り、重なり合うことで更に美しい旋律となった歌を放つ――
そうして、達成感と荒い息でステージを降りる。
噴き出す汗を拭う間もなくスタッフから悠月に告げられたのは、父の来訪だった。ステージ衣装を脱ぐ間もなく、スタッフの厚意で関係者控え室に招かれた父と対峙する。
祭りを楽しむ人々を拒絶するかの如き黒いスーツ姿の父が、一瞬、厳格な死神にも見えた。それほどに、父は厳しい眼差しを悠月に向けて来ていた。
熱を帯びた汗が瞬きの間に冷たくなる。
父が最初に何を口にしようとも、ともあれ忙しい合間を縫って呼び出しに応じてくれた礼を言わなくてはと、そう思っていたのも、実際に父と顔を合わせるまで。
「俺は……!」
父と目が合った途端、父が言葉を発する前に告げてしまわなくてはと直感した。でなければ、萎縮してしまう。幼い頃、歌をうたう人になりたいと口にして、気を失うまで受けた激しい折檻を思い出してしまう。
「家を継ぐつもりはありません」
胸に宿るステージの達成感を熱源に父を見上げる。父の瞳に苛烈なまでの怒りが灯る。スーツの腕が持ち上がる。殴られる、と思って、父の拳を従順に受けねばと反射的に思って、――伏せた瞼の裏、オルカの顔が浮かんだ。
瞳をもたげる。
己の頬を撲つために振り下ろされた父の腕を片手で掴む。
父の目を真直ぐに見据える。
「この先、俺が貴方の望む行動をすることはない」
たとえ小さな子供にするように引き摺られ連れ去られたとしても。
「縁を切ってくれても構わない」
家族と縁が切れることは、恐ろしく思わなかった。
この小さな島でのライブは、ネットに公開されている。同時に今までの活動も公開している。
ステージで聞いた拍手と歓声が耳に蘇る。ファンとなってくれた人々のたくさんの笑顔が心に蘇る。自分たちに対する評価は、この島だけでなくネットを通じてきっと世界に広まるはず。
(味方は、たくさんいる)
そのことが己の背中を力強く後押ししてくれる。
「今日のこれが俺の全てで、俺の覚悟です」
掴んだ父の手首が、己を見つめる父の眼差しが、震えた。
「離しなさい、悠月」
低く呻かれ、父の手を解放する。力なく落ちた父の手が上げられることはもう無かった。それでも、父の瞳の光はまだ消えてはいない。
「家督は継がせる」
低く低く、頑なまでに断じ、父は悠月に背中を向けた。それきり振り返らず、去る。
「悠月」
舞台裏と控室を遮る簡易扉を開き、オルカが顔を覗かせた。
「オルカ……」
控室のすぐ外で待っていてくれた相棒を振り返り、悠月は自分の声が情けないくらい掠れていることに気づく。それと同時、自分で自分の顔が見られないことに感謝する。
(だってきっと、今)
とても酷い顔をしているに違いない。
父とけじめをつけるときを決して一人にはせず、けれどだからこそ口出しせずに近くで見守っていてくれたオルカを、その酷い顔で見つめる。
(オルカは)
きっと、と思う。
悲しい結果になったと言えば抱きしめてくれる。
嬉しい結果になったと言えば頬に祝福のキスをくれる。
(だが)
今、己が欲しいのは。己がオルカに伝えたいのは、父との対決の結果などではなく。
(ああ、やっとだ)
けじめをつけてから告げようと思っていた、オルカへの気持ちがある。
(やっと言える)
溢れだす想いを唇に上らせようとした瞬間、その言葉を奪うように唇を唇で塞がれた。甘く息を奪われる。事故ではない、確かな口づけに心臓が暴れる。間近に見つめられ眩暈を覚える。先に言うはずだった言葉を、
「Ti adoro」
低く、オルカの故郷の言葉で囁きかけられる。
口づけに溶けそうな思考で、悠月はオルカの言葉を必死に反芻する。それは常から幾度となく囁き続けられて来た言葉。
「悠月、愛してる」
「……冗談じゃなかったのか」
「ずっと本気だっていってたでしょ~」
確信に至り、唇に笑みが滲んだ。甘い唇のまま、オルカに返事のキスをする。首に両腕を巻きつけ、空の瞳に陽の瞳を映しこむ。
「オルカ、好きだ」
夕暮れの光に染め上げられるパラソルの下、目前のネコフェスに夢中になった誰かに置き忘れられた携帯ラジオから声が流れる。
『太陽が海に沈んでも、空に星が輝いても! 音楽に溢れる一日は、みなさんの楽しい一日は、まだまだこれからです――!』
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
『NECO MUSIC FES 1370!』、お届けにあがりました。
ご参加くださいまして、お読みくださいまして、ありがとうございました!
1370年のネコフェス、お楽しみいただけましたしょうか。
色んな音楽や歌を描くことが出来ました。またそれにまつろう色んな方のお話や情景を描くことが出来ました。とてもとても、楽しく書かせていただきました。
あなたのことを少しでもあなたらしく描けておりましたら、また、僅かでもお楽しみいただけましたら幸いです。
またいつか、あなたの別の物語も描かせて頂けましたら嬉しいです。
それではっ、どうもありがとうございましたー!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
70人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年03月28日
参加申し込みの期限
2019年04月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年04月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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