this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
NECO MUSIC FES 1370!
1
2
3
4
5
…
36
つぎへ >>
海の家のベンチに置かれた古びたラジオから、虹より鮮やかな音楽と華やいだアナウンスが流れ始める。
『さあ、お待たせいたしました! 寝子島最大の音楽祭、ネコミュージックフェスティバル in SUMMER、本日開催です! まーずーはー、メイン会場、寝子ヶ浜海岸!』
太陽よりも眩しく近いライトの光が舞台を照らし出している。
真っ白な海岸にこの日のためだけに設けられたステージの前には、『NECO MIUSIC FES 1370』の開催を今か今かと待ち受けるたくさんの人々。
視線を転ずれば、舞台裏でステージ最終確認に余念のない出演者たち。
「っ……」
カラフルに開く無数のパラソルを舞台袖から見遣り、
アイオ・キャンドライト
は空色の瞳を瞠る。出番がくれば、あのパラソルの下に居るひとたちの視線が自分に集まる。そう思っただけで、ふわり、身体が夏の暑気よりも強い熱を帯びた。
アイオは普段、星幽塔第一階層の居酒屋で歌を披露して生計をたてている。けれどそれはあくまでお店の雰囲気のためのBGMに過ぎない。アイオが小さな檀上でどれだけ心をこめて歌っていても、飲食や会話に忙しいお客さんの視線が自分に向けられることはほとんどない。時々は酔客の拍手をもらったりもできるけれど、同じだけ心無い野次を投げつけられたりもしている。
(アイオの歌は)
あのお店ではおまけ程度のものでしかなかった。
(でも!)
この島に、――寝子島に来るようになってから、世界が一変した。星幽塔とは全く違う世界で、色んな体験をすることが出来た。
たとえば『ぱそこん』や『録画機器』なんていう慣れない『キカイ』を使って『インターネット』の『動画投稿サイト』に自分の歌う姿を投稿してみたり。
道端で歌ってみたときには観衆が集まってくれたことだってあった。
こっそり空き部屋を使わせてもらっている猫鳴館で歌ったときには、隣の部屋の住人からウルサイとばかりがんがん壁を叩かれたことだってあった。
(いろいろあったけれど)
この島で経験した出来事を脳裏になぞり、アイオは小さく微笑む。
思い出を辿って微笑めば、身体に籠って身体を緊張させていた熱が僅かに解けた。
(歌を聴いてもらえることがどれだけうれしかったか……)
この島で歌い続けることがナニカ大きな目標に繋げられるとは思ってはいない。ただ、願ったことはある。
(ずっとネコジマで歌いながらすごせたら……)
それはきっとどんなにか素敵なことだろう。
記憶をなぞるアイオの脇を、司会の女性が通り過ぎて行く。がんばってね、と肩を叩かれ、アイオは大きく頷いた。
大好きなネコジマ最大の音楽フェスが開催されると知って、事前登録すれば出演が可能と知って、喜び勇んで参加を申し込んだのがついこないだのことのよう。登録が出来てからはずっと練習に励んできた。投稿サイトで宣伝だってしてきた。
サイトでの反応は上々、応援メッセージだって少なからず貰っている。
「頑張りますわ!」
アイオは拳を固める。事前登録が通ったときには飛び上がって喜んだけれど、トップバッターであると知らされたときには驚きで竦み上がった。それでも、だからといって怖じたり逃げたりするつもりは毛頭ない。
ステージの上、軽やかな音楽と共に司会の女性が飛び出して行く。わあっ、と上がる観客の歓声と拍手に、アイオは思わず深呼吸をする。次はもう、アイオの出番だ。
視界の女性が軽妙なトークで観客たちを笑わせ、さあ、と一層声を張る。
「『NECO MIUSIC FES 1370』、レディ、ゴー!」
ステージの左右に仕掛けられていた音花火が打ち上げられた。青空に音が爆ぜ、七色のスモークが空中に線を描く。同時に打ち出された銀色紙吹雪が夏空に舞い踊る。
(さあ)
紙吹雪と観客の歓声で華やかに彩られるステージへ、アイオは太陽の光宿した空色の眼差しを向ける。
「トップバッターは動画投稿サイトに寝子島各地での音楽活動をアップしていることで御馴染みの歌い手、喜矢武(きゃん)あいおちゃん!」
(行きましょう、私のステージへ!)
ブーツの靴音も軽やかに、桜模様の和風エプロンドレスのスカートをひらり、ついでに白い猫尻尾と猫耳もふわり、アイオは眩しい舞台へ元気いっぱい飛び出す。もたげた視界ぜんぶに映るのは、いつもよりずっともっとたくさん浴びせられる人々のまなざし。
「あいおちゃーん!」
観客席の最前列から掛けられた声援に力をもらい、アイオはめいっぱい明るく笑う。はじめの一言は決めている。
「キャンモーニン!」
動画投稿サイトでの決め台詞を決め台詞のままに声に出せてしまえば、
「御存じの人はこんにちは、大半の人は初めまして! 歌う猫耳メイド女子高生、喜矢武あいお、よろとくお願いしますですわー!」
繰り返し練習してきた甲斐もあってあとの挨拶はすらすらと口に出せた。
あたたかな拍手に迎えられ、アイオはステージでぐっと背筋を伸ばす。
(今だけは、ここは)
「今日のステージはネコジマのみなさんにありがとうを込めてっ」
(アイオのステージですわ!)
今日のために用意してきたのは、観客の人々の耳に馴染みがあるはずの最新J-popヒット曲メドレー。
「気合い入れていくのですわー!」
一番手の少女が伸びやかな歌声で客席を沸かせている。街角で耳にすることも多い最近流行の楽曲メドレーに、
氷那月 蒼破
は浅葱色の瞳を僅かに細めた。
「氷那月さん」
スタッフのひとりに出番を告げられ、ステージに向けていた眼差しを静かに向けて丁寧に一礼する。
「よろしくお願いします」
「お任せください!」
事前に舞台演出を相談し世話になったスタッフの心強い言葉を受けて、蒼破は誠実な笑みを浮かべた。長身の背を凛と伸ばし、舞台袖で出番を待つ。
寝子高芸術科で音楽を専攻し、声楽を勉強している蒼破が最初に歌うは、ピアノを伴うクラシック声楽曲。
(……)
歳の離れたピアニストの兄の面影が瞼の裏に浮かぶ。意見の相違があって実家のある本土からひとり、逃げるように寝子島高校へ編入してきたけれど、それでも、兄の弾くピアノは愛している。
だから、『共に公の場で演奏をする』という兄との約束はいつかどこかで必ず果たす。兄の隣に立つためには、とにもかくにも上達と、加えて場数が必要。
(だが)
賑やかな祭りの場に、声楽曲はそぐわない。残念ではあるがそれは理解している。祭りのテンションを下げてしまうことは蒼破も望まない。
だから少し、仕掛けを施した。
(……いつか)
太陽よりも輝くライトの光に照らし出されるステージを見つめる。
今回、蒼破はひとりでステージに立つ。伴奏は事前に同じ芸術科の人間に頼み込んで録音させてもらったピアノ音源。
(いつか、伴奏にピアノを弾いてくれるような知己ができるだろうか)
まだ編入してきたばかりの少年はふと思い、
(……今考える事ではなかったな)
身に着けた礼装じみた黒ジャケットスーツの襟を正す。きっちり留めたボタンを確かめ、深く呼吸する。
心底楽し気な笑顔で息を切らして戻って来たトップバッターの少女に目礼する。
「行ってらっしゃいですわ!」
軽やかに笑いかけられ、ほんの少し目を瞠って後、笑う。
「ああ、……行って来る」
熱気の最中へ歩み出でる。ステージの央に据えられたスタンドマイクの前に立つ。
拍手の音と向けられる視線の多さに負けじと背筋を張り、端正なお辞儀をする。流れ始める静かなピアノの旋律に合わせ、夏の空へ厳かに高らかに、伸びやかなテノールの声で歌いあげて行く。
緩やかな流れの曲調に沿い、朝凪の海の如く静かに優しく、――けれど、観客スペースの端まで歌が届くほどの豊かな声量。
遠方の席に声が届かないという惨事は避けるため、どれほどの声を出せばどこまで声が届くか、これは事前に確認している。
熱を孕みながらも抑えこんだような蒼破の初めの楽曲が終わる。あっけないような幕切れに客席にざわめきが生まれたその瞬間を狙い撃って、号砲にも似て、激しいドラムとエレキギターが響き渡った。物静かだったライトが踊り始める。何の演出もなかったステージ上に紙吹雪が噴き上げられる。
ステージに爆ぜる音に合わせ、蒼破はジャケットを脱ぎ捨てる。礼服じみたジャケットの下には、腕が露わとなったベスト。
スタンドを蹴倒す勢いでマイクを掴み、朗々とした声楽の発声をロックポップスのそれに切り替える。内に秘めていた熱量を撃ち出すように、叩きつけるように歌う。蒼破が考えることはただひとつ。
(この歌声で……!)
己を見る人々を沸かせ、盛り上げる。
一変するステージと蒼破の歌声に客席がどよめき、瞬く間に歓声が上がる。歌に合わせ数え切れぬほどの拳が空へと突き上げられる。
己に向かってくる観客の声に負けじと全身の力を全て歌声に変えて、――最後のエレキギターの響きが、蒼破の声と共に空へと溶けた。
乱れた金糸の長い髪をかき上げ、蒼破はその場に姿勢を正す。脱ぎ捨てたジャケットを拾って腕に掛け、どこまでも丁寧に誠実に一礼をして、舞台を降りる。
舞台袖に戻った蒼破の背を、観客の歓声と拍手が叩いた。
舞台を振り返る。浅葱の瞳が安堵の色を帯びて和らぐ。吐き出した息が真夏の太陽よりも熱を帯びていて、それがとてもとても、心地よかった。
1
2
3
4
5
…
36
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
NECO MUSIC FES 1370!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
70人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年03月28日
参加申し込みの期限
2019年04月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年04月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!