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NECO MUSIC FES 1370!
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ネコフェス事前登録完了通知と共に楽譜を渡されたのは、直前と言っていいほどの時期だった。
――最後に会った時に篠崎が言った事を覚えてるか
黄昏の下駄箱の前で待ち受けていた
神嶋 征一郎
に、まるで決闘を申し込むかの如く封筒を胸に押し付けられたことを思い出し、
篠崎 響也
は夜色の瞳を僅かに細める。
――フェス当日までに完璧に仕上げろ
出来るな?、と眼差しに言い放たれて封筒の中身に思い至った。これは、以前請うた征一郎の手による曲の楽譜だ。
征一郎の自作曲を渡されたのは二度目で、――高校三年生の征一郎からこうして楽譜を受け取れるのは、きっとこれが最後なのだろう。
静かに頷いて見せれば、征一郎は黙したまま踵を返した。
音合わせをしたのは、ネコフェスの前日。最初で最後の音合わせは、初夏の風がカーテンを揺らす放課後の音楽室でだった。
校庭から微かに聞こえる運動部の声と黄昏の光を観客に、二人きりでヴァイオリンの音を重ねた。
――こうやってこの場所で二人きりで練習するのは、もうあと少しで終わるんだな
そう思ったことを覚えている。
不思議なくらい落ち着いた気持ちの中で練習をした。耳に届く征一郎の音はいつもと同じに、たとえば蒼い氷の奥に燃え上がる焔に似て静かで激しかった。
――神嶋も
もしかしたら、己と同じように感じているのかもしれない。
そう思ったのは、ヴァイオリンを奏でる征一郎の深海色の瞳に落ちる睫毛の影のせいか。
征一郎の身から溢れた炎が牙を剥く。圧倒的な音の熱を全身に感じつつ、響也は自分の熱を征一郎の熱に重ねる。どれだけ重ねても重ねても、征一郎の音の熱量にはまだ及ばない。温度が上昇する。青く蒼く燃え上がり、響也を置いてどこまでも高く、孤高のままに進んで行ってしまいそうな、その音。
最後の一音を響かせて後、征一郎は小さな息を吐いた。その息の意味を問うより先、
――本番は当然今以上を出せ
深海の瞳が重圧をかけてくる。
――妥協はしねぇ
ついてこれねぇなら、と傲慢にも見える笑みは、けれど己の持つ才能とそれに応じるため己に課した凄絶なまでの練習量に拠るもの。
――篩い落とす迄だ
――ああ
氷の剣の切っ先を突き付けるが如く言われて、響也はただ静かに頷いた。
燕尾服の襟を正す。一歩先に立つ征一郎の夜色の燕尾服の背を見上げ、深く呼吸をする。息を吸って、吐いて、
(やっぱりだ)
響也は己が胸に指先を触れる。
幾度となくステージに立っているけれど、気持ちがいつも以上に静かで落ち着いている。ステージに立つ直前の浮き立つような気持ちは一切なく、きちんと大地に両足を付けている感覚がある。
征一郎が肩越しに振り返る。
「篠崎」
共演者を見遣って、征一郎は瞳を僅かに細めた。ステージで共演したことは幾度とあったが、今日の響也はいつもよりずっと静かな面持ちをしている。
迷うことなく見上げて来る響也に小さく頷き、視線を出番の迫るステージへと再度向ける。そうして、
(ToiToiToi)
心の中に唱えるのは、いつものおまじない。
スタッフの合図に合わせ、眩しいステージへと踏み出す。舞台の央、響也と対峙するように位置取り一礼して、
(……結城)
視界を埋める数え切れないパラソルと観客の中、舞台に近い客席の端にステージ衣装らしい向日葵色のドレスを纏ったままの
結城 日和
の姿を見つけた。
(そこで、聞いていてくれるのか)
ふとそう思った己にほんの一瞬瞼を閉ざす。次に上げた眼差しに映すのは、協奏者たる響也のみ。
鞘を払うようにヴァイオリンの弓を構える。最初の音は、征一郎。緩やかに甘い旋律が真夏の砂浜を満たす。優しく透明な流れの中に紅いうねりと星の瞬きを注ぎ込む。それは、協奏者であり己の背をたゆまず追うてくる響也へのメッセージ。
(待つ気は更々ねぇが)
響也が隣に並ぶ日がいつか必ず来ることは信じている。
(……篠崎)
眼差しの先で響也が僅かに笑った、ように見えた。
(今日はいつも以上だ)
伴奏のはずの征一郎の音の海に引きずり込まれ溺れさせられそうになって、響也は苦く笑う。征一郎との演奏は協奏であり競争でもある。下手をすれば狂騒にもなりかねない。征一郎手によるこの曲は、静かな旋律でありながらそういう危うさと熱を秘めている。ともすれば、伴奏が主旋律を食い散らす。
(でも、うん)
響也は笑う。ただ、静かに。
(俺はこの音に負けない)
自然にそう思い、弓を引く。征一郎と音で対峙する。
(俺の音)
それは、響く音だ。征一郎の凶暴なまでに魅惑的な音と重なり合って響き合い重なり合い、調和の音楽となる音だ。互いに食らい合うではなく、互いの音色をどこまでも高くどこまでも伸ばして行く音だ。
(楽しいな)
たとえ征一郎が目配せもなく練習とは違う音を混ぜて来てもそう思える。
(嬉しいな)
だってそれは、征一郎が己の音を信じているからこその音だ。
――自分を含め全観客をてめぇの音で凌駕し圧倒して魅せろ
征一郎は、きっとそう言っている。
――翔べ、篠崎
(神嶋)
心と音で強く呼びかける。協奏者である征一郎がそう言うのであれば、どこまでだって飛躍してみせよう。孤高の奏者と並び立ち、笑ってみせよう。
(こういう風に未来でも、またお前と一緒に音を奏であいたいな)
征一郎の視線が動く。空を満たし客席を満たす音楽を追うようなその仕種につられ、響也は瞳を動かす。共感覚と呼ばれる尋常ならざる視覚で見たのは、夏空よりも深く遠くまで広がる群青の炎と、それに寄り添い重なって混ざり合い、色合いを深める黄昏金と紅の風。深い夜の底にあっても、海の奥深くにあっても輝き続ける無数の星の光――『星灯』という、曲名通りの景色。
(面倒な事も多いけど)
音を色彩として見ながら、響也は瞳を和らげる。
(こんな綺麗な景色が見えるなら)
同じ感覚を持つ彼と同じ景色を共有できるのなら、共感覚を持っていて、
(……良かった)
そう、思えた。
音は己のすべてではないけれど、たぶんなければ生きていけない。そう思ってしまう己を響也は妙に嬉しく思う。今更ながら、しみじみ思う。
(俺って本当、音楽が好きだよなぁ)
拍手を浴びつつ舞台袖に戻り、後ろに続いて帰って来た征一郎を振り返った途端、
「篠崎」
征一郎の拳が軽く頭に置かれた。
「次にお前と弾く時はあっちの世界で」
舞台のライトと太陽の光を背にした征一郎の表情は眩しくてほとんど見えないものの、囁かれた言葉はいつもより少し柔らかかった。
「勿論」
間髪入れず応じて、響也は破顔する。
「待ってなくていいぜ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
70人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年03月28日
参加申し込みの期限
2019年04月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年04月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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