緑の進撃・猫鳴館の乱｜リアクション

緑の進撃・猫鳴館の乱

　――猫鳴館・大部屋。
（生物部としては、ウツボカズラが気になるけど……）
　そう思いながらも来客の準備をしているのは神野美野梨。彼女はウツボカズラの対処を仲間達に任せ、自分はここへ来るであろう先生が菜園に向かわないようにしよう、と考えたのだ。
（確か、瓜山先生は怖がりの筈。あのウツボカズラを見たらきっと……）
　ふと、伸幸の報告を思い出しつつ、ねこったーにアップされた写真を見る。ウツボカズラと戦う面々の姿や蔓に囚われた人の様子を見ると、僅かに背中に冷たい汗が流れる。
「菜園から別の場所に移動したみたいだけど、近づかせない方が得策ね」
　美野梨はぐっ、と拳を握り締めてから、お茶の準備だけしておこうと台所へ向かうのだった。そうしながら、気を引くための話題も考えておく。
（そういえば、あのインゲン……すくすく育ってるのよね。あと、この間かわいい猫を見つけて……）
　そうしているうちに、外から聞こえる騒がしさが大部屋にも聞こえてくる。少し不安を覚えてしまう美野梨だったが、ぐっ、と手を握り締めた。
「皆なら、大丈夫よね、きっと！」

　そして、ドラム缶風呂付近。この辺りで相変わらず民谷鋭二は楽しそうに撮影をしていた。
（触手プレイ、鞭打ちプレイ、加えて溶解液に丸呑み……か）
　先ほどの眼福な光景といい、派手な戦闘といい、メンバーがやられている瞬間を掴む事ができれば【何か】に使えそうだ、と考えていると思わずくふっ、と笑いが漏れる。
　だが、彼は気づいていなかった。撮影に夢中になっていた為、前に出すぎていることに。そして、影響を受けた雑草に足を取られ、蔦がしゅるりと彼へとこっそり伸びていることに。

　――鋭二は次の瞬間、虚空に打ち上げられていた。

「ＳＤカードがぁあああああっ！！」