カメラは止めない！　パンツは脱がすな！｜リアクション

カメラは止めない！　パンツは脱がすな！

　他にも共闘関係を結ぶ者たちがいた。
　グラビアアイドルの初瀬川理緒は、所属事務所のマネージャーが木天蓼大映研ＯＢだったことから、その縁でこの映画への出演が決定した。
　いわゆる主演級キャストのひとりなのだが、その本読みの時に初瀬川は頭を抱えたことを思い浮かべていた。
「事務所もよくＯＫ出したわ……」
「でも、一緒に出演できるのは嬉しい……」
　何故か人見知りの佐和崎紗月も、同伴で出演することになった。
　とはいえ、旅鴉がエキストラたちにゾンビメイクを施してゆく様子に佐和崎は既に涙目で身体を振るわせて恐怖ですくみ上っていた。
　そこ初瀬川が佐和崎の耳元へ囁く。
「紗月を襲っていいのは、あたしだけだから」
「も、もう……こんなところで、えっち……」
　２人は同性だが恋人同士である。
　そして、監督から割り当てられた配役が、偶然にも『片割れがゾンビにされた百合の恋人同士』であった。
「これって燃えるじゃん！　役作りと言い張れば、公然と紗月と恋人繋ぎできるし！」
「でも、内容が……」
「だから、あたしが紗月に他の男には指一本触れさせない」
「ああ、理緒ちゃんイケメン過ぎて尊いマジ無理」
　今度は恐怖ではなく恥ずかしさと恋人への愛おしさで身悶えする佐和崎であった。