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海の家『みなとねこ』の一日 《夏本番編》
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頭上にくすくすと響く少女たちの笑い声に、佑都は僅かに笑みを零す。健やかな少年少女たちの様子は、それをかけがえのないものだと思い知り、日々命と向き合う己にとってとても嬉しいもの。
(それにしても……)
楽しそうに抱きついて来て歓声をあげるこんに笑いかけながら、佑都は碧い水の世界を見渡す。月の光を招き寄せたかの如く明るい水中に身体が沈むまま、記憶に辿るのは幼い頃からの己と姉のこと。
姉も己も、母親譲りで霊感が強かった。そのために幼い頃からさまざまの場所で当たり前のように不思議なナニカとの邂逅を果たして来た。己の知識では計り知れない体験もしてきた。それらの記憶を思い返しても、たった今己が目にしている景色は初めてだった。水の中で息をするなんて今まで未体験だった。
(昔、……)
家族でよく訪れた水族館の水槽の中に入ったような美しい青の世界にしばらく見惚れる。
「こっちこっち!」
正に水を得た魚の動きで、ユニが夏朝と修の手を引いてぐんぐんと水中を泳ぐ。初めは息が出来ることに目を白黒させていた夏朝もすぐに慣れた様子で夜の海を楽しみ始めた。
「底に足をつけると、……ほら! 歩けるんだ!」
ふわり、水底の白い砂を巻き上げて着地して、ユニはその場で足踏みをしてみせる。ユニと並んで水底を歩き、修は防水機能つきのデジカメを取り出した。明るい水の世界に向けてシャッターを切る。
「おれ、それ知ってる! しゃしん!」
はしゃいだ声をあげるユニも撮影する。
「写真、ぴー、て出てこない」
「ユニが前に見たのはきっと、インスタントカメラだな」
デジカメに物珍し気な視線を向けるユニの傍、武道が水を掻いてふわりと降り立つ。
「これ、手土産なんだけど……食べられるかな?」
「うわ、なにそれきれい!」
小瓶に入った金平糖を見た途端に目を輝かせるユニの手に、武道は手土産を握らせる。
「月夜と砂浜ってきたら思い付いて」
テヘ! と茶目っ気たっぷりな笑顔を見せ、武道は小瓶を宝物のように掲げるユニの傍に腰を屈める。少年と同じ目線の高さから水の煌きを宿してきらきら光る金平糖を眺めてみる。
「飾っておくのも綺麗だぜぃ」
「ありがとう」
小瓶を両手に握りしめ、ユニは笑った。大切そうに上着の隠しに仕舞い込み、嬉しそうにぽんと叩く。水底を蹴って水中に飛び上がり、魚のように武道の周りをぐるりと巡ってその手を取る。
(服脱いだ方がいいかな?)
手を引かれゆっくりと浮かび上がりながら何気なく思ってしまうのは、水泳部の性というものだろうか。もちろん、海を訪れるにあたって水着はいつもの如く仕込んではいる。
僅かに迷う武道の視界を、ひらり、ユニの上着の裾が金魚の鰭のように揺れて過ぎる。
(……いや)
空中に舞うに似て水中に泳ぐユニと、月が煌く海面を見上げ、武道は微かに目を細めた。水着になれば機動力はあがるかもしれないけれど、
(今日はこのまま楽しみたい気分かな)
ユニに引かれるに任せて水の流れに身を委ね、ゆったりと海中散歩を楽しもう。
「元気だったかな?」
「最近は海岸の探検ばっかりしてたよ」
「君のこと、噂になってたぜぃ!」
そうなの、と瞬くユニに武道は鮮やかに笑う。
「だからこうして会いに来れたんだけどね」
キラリと輝く星さえ語尾に飛び出しそうに明るい武道の声と表情につられてか、ユニは武道と一緒に水中で何度も宙返りをした。くるくるくるりと回り回って目を回しつつ、ユニは水底に立ち尽くす悠月の前にゆらゆらと降る。
「遊ぼう?」
屈託のない少年の言葉に、悠月は曖昧に微笑んだ。遊んでやりたいと思いはするが、子供相手にどうやって遊べばいいのか、悠月には分からない。
「元気そうで何よりだ」
「うん、元気してたよ」
「海での生活はどうしていた」
「こっちの水に体を馴染ませたりとかかな。あとは本体とは別の、この身体をかたち作る練習したりとか、……たまに、この周りにだけ幻の魚とか景色とか作ってみたりもしてた、かな」
指折り数えて教えてくれる事柄のひとつひとつに丁寧に頷いて、
(……ダメだな)
悠月は途方に暮れる。子供と遊ぶ方法も話の内容も、それ以上が何も思いつけない。出来得るなら、たくさん遊んでやりたいのに。たくさん話を聞いてやりたいのに。海の底で普段ひとりきりで過ごす子供を少しでも慰めてやりたいのに。
己に何かできることはないかと頭を巡らせて、思い至る。そうして思わずくすりと笑みを零す。結局のところ、己が彼にやれるものはこれしかない。
「ユニ」
「なに?」
「歌を、聞いてくれるだろうか」
己が持ち得るたったひとつをユニに提示してみせる。
けれど、誰かに手渡せるたったひとつがあるというのは、きっととても幸運なこと。
(せめてもの慰めに)
頷くユニに淡く笑み、悠月は唇を歌で彩る。歌うはあの時、あの水底の世界で孤独に恐慌を起こして暴れるユニに聞かせた子守唄。
青の世界に懐かしいような旋律が流れ始める。
夜の静寂に怯えずに済むよう、子供が安らかに眠れるよう、どこまでも優しく柔らかく、悠月は歌う。
歌と波に身体を預け、ユニは膝を抱えてくるりと丸くなった。胎児の格好で心地よさそうに耳を傾けてくれる少年の細い背に悠月は触れる。触れはしたがどうしてやればいいのか分からずにただただ己の体温を少年の背に伝える。
(深くかかわったとは言えない間柄ではあるけれど)
少年の居たあの水底の世界で、己は己の内にある大事な思いに気づくことができた。だからこれは、この歌は、
(そのお礼だ)
歌の最後の一節が終わると同時、ユニはぱちりと目を開いた。背に触れる悠月の掌に頬を緩め、するりと身を翻したかと思うとぎゅっと腕に抱きつく。
「ありがとう」
「ああ、……いや」
全身で感謝を表されて悠月が戸惑う間に、ユニは気まぐれな魚の動きで水中を渡った。透き通る青の水底の央、黒々と舞台のようにうずくまる巨大な岩の上でくるりと一回り。その仕草ひとつで、巨大な一枚岩に見えていたものはその身に纏う幻を解いた。
水底にとぐろを巻いて眠る碧い鱗の大蛟を前に、佑都は一瞬言葉を失くす。
「……この蛟は」
「おれの本体。大きいでしょ」
佑都の傍まで泳いでくるなり、ユニは佑都の手を取った。慣れた動きで水を蹴る。佑都の手を引き巨大蛟の周りをぐるりと巡る。途中で出会った夏朝の手も取り、今度は水の半ば、蛟の全体が見える高さに浮き上がる。
蛟の身が誰にも見つからぬよう岩石の幻を纏わせ、小さな少年の分身を作り出す。そうして寝子島の人々と、この世界のフツウを壊さずに仲良くなりたいのだとユニは語った。
「そうなんだね……」
別の世界から寝子島にひとりきりで移り住み、己の力を尽くしてこちらに馴染もうとする少年の手を夏朝はぎゅっと握る。
少年がこの島で平穏に過ごせるようにと、夏朝は心から望んだ。
「ハァイ」
蛟の回りをゆっくりと巡っていた武道が、蛟の脇腹のあたりからひょこりと顔を出してひらひらと手を振った。手を振り返すユニにニカリと笑い、武道はもう一度蛟を間近に眺める。
(あのときは俺も余裕なかったし)
思い出すのは、水底の世界で泣き喚いて大暴れしていた蛟の姿。あのときは、こうして改めてじっくりと蛟の姿を確認したり観察したりできるとは思ってもいなかった。
(優しい顔、してる)
蛟と並び、水底に身を横たえてみる。竜の鱗にも流氷の底にも見える海面を見上げながら、水の流れに身を任せ海の中を漂う。
(こうしてると……)
温かくも冷めたくもない水の中、次第に己と水との境界がぼやけてくるような感覚さえ覚え始める。ふわりと溶けて、海の一部になる。己を己とするなにもかもを忘れて、心が落ち着くに任せただただ水に身を委ねて――
(っと)
慌てて起き上がる。自分の回りに水流を作るようにぶんぶんと頭を振る。
(アブナイアブナイ)
溶けて沈んでいってしまいそうだった身体を無闇やたらに動かして見せる。これは自分の意志で動く自分の身体だと言い聞かせる。
(雰囲気と海に飲まれかけた)
こういうときはどうすればいいのか、武道は知っている。思いきり泳げばいい。底へ沈んでしまいそうな心を身体で掴んで強引にでも動かせばいい。
「ひゃっほー!」
海月じみて漂っていたのが嘘のように、止まれば死ぬ鮫のように、武道は手足を大きく動かし水中を泳ぎ始める。心臓が激しく脈打っても息が切れても泳ぎ続ける。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年02月26日
参加申し込みの期限
2019年03月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年03月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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