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紗雪 幽
と
志波 武道
──そして幽霊は、照らされる灯りが淡く届く、祭りの端の方へとやって来た。
「……俺なんかでよければ話を聞かせてください。
お酒は無理だったので、ウーロン茶ですけどいかがですか?」
いざという時の火消しにも使えるよう思案をしたが、武道が幽霊に話し掛け、同じウーロン茶を差し出すと、幽霊はそこで初めて『ありがとう』と口にして、生きている人間と同じようにウーロン茶を受け取った──
『家族と……会社のために、必死に働いて、昼も夜もなく会社にいた気がする……
気が付いたら死んでいたんだ……仕事が一段落ついたら家族サービスをしようと思っていた翌日だった。過労死だと、死んで初めて医者に診断される時間が出来た。家族は泣いてたよ……』
とつとつと、幽霊は語る。
日本の高度成長期、表沙汰にならなかっただけで、その影で大量に命を落としていた過酷労働による犠牲者。それが、ヒデオと名乗った幽霊の正体だった。
『俺は憎んだ! 人より働いて、人より少し幸せになりたい……そんなささやかな夢が裏切られたんだ! 世の中全てが憎い! 憎んでも憎み足りない!!』
少し離れた木の枝が突然、火を噴いて燃え上がる。
「ちょっ……!」
火は直ぐに自然鎮火したが、
(いざとなったらなんとか……なればいいな?)
幽は何かあってからではと思い、こっそりとお財布から再び御札をこそりと隠して手に所持しておく。
武道も幽霊が気付いていないそれを目にしつつ、それが使われない状況へ持っていく思いでヒデオに頷いてみせた。
「過労死……世の中のすべてを憎む、か……
苦労したけれど報われなかった、そう感じている人に「憎むな」とだけは絶対に言えないですよ」
「そうっすね……言うだけなら簡単っすけども」
『どうして俺だけがと思った! 他の適当に手を抜いて生きていた奴らは今頃、ピンピンしながら老後に向けての準備をしている! これが納得出来るものか!!』
ヒデオが激昂すると、視界のどこかしらで火が燃える。即座に消えるのが何よりもの救いだが。
(手を抜いて……本当にそうだろうか)
幽がそんなヒデオを宥めている間に、武道はつい思考を逸らして考えてしまう。
確かに差はある。だが、皆、何かしらの苦労や努力を重ねているものだ。
今、口には出せない。だが、それでもつい思ってしまうのだ──『どんな時も、他人が見て判断が出来るほど、適当に生きている人間などいないのではないか』と。
相手の事を思えば否定はしない。だが武道は、自分という一個人としては、その言葉を肯定をすることも出来なかった。
そんな状態から落ち着くまで時間を重ねるうちに、ヒデオの表情が、言葉が落ち着いていく。
「家族のこと、大事に思っておられたのですね」
話の先を促しながら、その隙間に置いた武道の言葉に、ヒデオはいつしか涙しながら頷いた。
『家族と、本当に時々仕事を抜け出して、ここの神社の祭りをタコ焼きを食べながら見ていたのだけが数少ない安らぎだったんだ……
ありがとう、なんだかか沢山話してしまったな……』
そして、ふと。
ヒデオが幽と武道の顔を交互に見やりながら、問い掛けた。
『君らは学生だろう? 俺も若い頃は何でも出来ると思っていた。苦労が、俺を変えてしまったんだ。
だが、苦労しない奴は駄目だ。楽している奴には、価値は無い。人間は苦労するものだ。
君らは苦労しているか?』
「え? 俺っ?」
幽が思わず、言葉に詰まる。そこを巻き込むように武道が告げた。
「──恐らくこれから、ですね。
高校卒業してから、どっさりする予定です」
ヒデオが語る相容れない価値観に、武道の精神はずっとジリジリと音がしていた。
それでも──ようやく今、一つこれだけは確かだと思う事を、ヒデオに言えた気がしたのだ。
ヒデオが満足した様子で、武道が持っていたほおずきの中に消えるように吸い込まれていった。
僅かに燐光を放つほおずき──それを見た幽と武道は、今にも死にそうな程に、地の底から吐き出されるようなため息をついていた。
ヒデオは不遇の人だった。しかし、二人の方向性は違えど、それでもお互いにヒデオに全ての共感を傾けるのは辛かったのだ……お互いが、ほおずきに入ってもらう為に全力を尽くしたのだと、そのため息一つで図らずも共有し合った。
互いに己の精神を安定させる為の、少しの沈黙時間を置いて。ふと幽は、光っている武道のほおずきを見ながら話し掛けた。
「その竹ひご交換しましょうか? 霊が入ってるのとか落ち着かないっすよね?
俺の実家の寺に持っていきますよー」
普通なら幽霊憑きのほおずき細工など御免こうむりたいところだろう。幽はそういうものの預かりには慣れている。
しかしヒデオの話を聞き終えて、武道はゆっくりと考えながらも首を横に振ってみせた。
「んー……『安らぎが家族と寝子島神社の祭り』だって行ってたから、もし良ければこの神社に預けられないかなって」
「それもそうっすねー。幽霊って無理に離すと何が起こるか分からないっすし」
そうして二人は一度縮緬細工屋の店主に確認を取り、それに許可をもらって、寝子島神社の神主さんにほおずき細工を預け、そこに納めてもらうことにした。
そして、食べていたと言っていたタコ焼きを神前に供えて、二人で手を合わせてそっと祈った。
どうか、彼のこころが、安らかでありますように。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年02月23日
参加申し込みの期限
2019年03月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年03月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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