夏休み１日前！｜リアクション

夏休み１日前！

○波乱の幕開け

　ホームルームも終わり、これにて１学期は終了した。
　瀬莉は荷物をまとめて外へ出る。
（相変わらず暑いなあ。こんな日に校庭で遊べるなんて元気あるよね）
　校庭では結構な数の子供たちが遊んでいる。
　日陰で遊んでいる子たちもいるが、日向を駆け回っている子もいた。
（特に男子なんか、もう早速サッカーやってるよ）
　なんとなくサッカー見物していた瀬莉は、自分の異変に気づいた。
（あれ？　目の前が……）
　すうっと暗くなる視界。
（だめ、日陰にいかなきゃ）
　急に立ち眩みがして、なんとか日陰に移動しようとした瀬莉だが。
　そのまま意識を失い、倒れてしまった。

（ここは……？）
「気が付いた？　大丈夫？」
　目を開いてあたりを見回せば、そこは保健室のベッドの上だった。
「あたし……どうして」
　保健の先生が何か話しかけてくれていたけれど、瀬莉は上の空だった。
　身体に力が入らない。
　瀬莉は思い出した。幼い頃、大病を患い死の境を彷徨った頃のことを。
「まさか……あいつが戻ってきた？」
「瀬莉さん？　どうしたの？」
　あいつが……病魔が、瀬莉を追いかけてきたというのか。
（ずっと、怖かった。また再発するんじゃないかって……心のどこかで）
　
　明日から楽しい夏休みだったのに。
　瀬莉の心の中は凍てつくようだった。
　