夏休み１日前！｜リアクション

夏休み１日前！

　やっと現れた慎之介に、輝夜は声をかけた。
「遅いよ」
　別に怒ってはいない。話したくて待っていたのだから。
「おう、ソーリィ」
　ニカッと笑顔を見せる慎之介。
　この笑顔を見たら、もっと待たされても許してしまうだろう。
「明日から夏休みだね」
　輝夜は話し始める。
「一年でモスト嬉しい日だよな！」
「嬉しいけど、宿題の量多くない？」
　そう輝夜に言われて、はしゃいでいた慎之介ががっくり肩を落とす。
「バーッド……中学最後の夏休みに、これはないよな……」
　そんな慎之介の姿にちょっと笑ってしまいながら、輝夜は尋ねる。
「夏休みの予定決まってる？」
　夏休みは長いし一緒にどこか行けたら良いな、と思う輝夜。
　立ち直って、少し考えながら慎之介は答える。
「海とか、祭りとかいろいろあるよなー、行きたいな」
「お祭りは行きたいな。今度、ほおずき市もあるみたいだよね」
「リアリイ？　ほおずきって美味いの？」
「……食べられないと思うよ。一緒に行かない？」
「ふーん、そうなのか。でも屋台は出るよな」
「うん。考えておいてね」

　それから、もう一つの質問を切りだした。
「慎之介くんは進路どうするの？」
「あー……それな」　
　慎之介は遠くを見る目をした。
「学校によっては入学できる時期が決まってたりするし」
　輝夜の言葉に、慎之介は答えた。
「この夏休みに考える。いろいろ調べたりして」
　ちょっとは考えている様子に、輝夜は安心した。
「私は寝子島高校に行くつもり。受験勉強も頑張らないといけないけど」
「そうだな、月守なら大丈夫だよ」
「遊んでばかりはいられないけど、楽しい思い出作りたいよね」
　輝夜がそう言うと、慎之介はいい笑顔になった。
「よし！　中学最後の夏、モストな思い出作ろうぜ！」
　

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