夏休み１日前！｜リアクション

夏休み１日前！

○登校

「今日は楽しい終業式ー！　明日からは夏休みだよぉ！」
　小学4年生の曖浜瑠樹は、わくわくうきうきしながら歩いていた。
　シーサイドタウンに住む瑠樹の家からは小学校は近い。
　まっすぐ歩けばほどなく着くのだが。
「ちょっぴり寄り道しよっと。今日もたくさん楽しむよぉ」
　角を一本曲がり、遠回りすると。
「あっ……桃井さん、おはようー！」
　同じクラスの友達、桃井かんなに出会った。
「……おはよう」
　相変わらず愛想はなく、それでも返事を返してくれた。
（嬉しいなぁ、一緒に学校行きたいなぁ）
　でも他の人と登校中なら邪魔しないよう挨拶だけしよう、と思った瑠樹だが、かんなは一人のようだ。
「明日から夏休み、楽しみだねぇ。桃井さんはどっか行くの？」
　明るく問いかけた瑠樹に、かんなはクールに答える。
「んー……まだわかんない。親次第」
　かんなの父はしょっちゅう失業するが、母は働いている。
　休みの日でないと一緒には出かけられないだろう。
　そんなことを思いながら、かんなは瑠樹に問いを返した。
「曖浜はどっか行くの」
「オレ？　海行って、山行って、寝子島探検して……あとー……」
　瑠樹の夏休みは夢いっぱいだ。
「あ、後、ラズちゃんや皆と一緒に、遊んだりギアバトルしたりしたいねぇ！」
「ラズちゃん？」
　首を傾げるかんなに瑠樹は説明する。
「ああ、オレのカプギアだよぉ。うさぎのぬいぐるみのラピちゃんにそっくりなんだ」
「コドモっぽいなあ」
　そうかんなは言ったけど、その口調は前ほどきつくはなかった。
　

このページにイラストを設定する