耕作さんの畑で実ったトウモロコシ食って幸せになろう。｜リアクション

耕作さんの畑で実ったトウモロコシ食って幸せになろう。

「さて、たくさんご馳走になった事だし。腹ごなしだ。しっかり後片付けして、綺麗にしてお返ししよう」
　そっとボトムのベルトを緩めながら、御剣刀は庭の後片付けを始めた。
「そうですね。余ったトウモロコシまで、お土産に頂いてしまいました……。今から何を作ろうか、楽しみです……。あら瑠奈さん……ちょっと失礼しますね？」
　御巫時子も手伝いながら、ふと隣の夢宮瑠奈の口元の汚れに気付いて、綺麗に拭ってやった。
「ひゃあ、ありがとう！　気がつかなかったぁ」
「いいえ、これで大丈夫ですよ……」
「あたしトウモロコシのお髭が乾いたら、取りにおいでって言われたの。貰ったら時子さんにも、分けてあげるね！」
「まあ、嬉しい……ありがとうございます」
「ふふ♪　ありがとうって、何かくすぐったいけど、嬉しいね」
「はい……」
　にこりと微笑みあう少女達に、刀も口角を上げた。

「畑さん、今日はとっても美味しいトウモロコシを、ありがとうございました！　どうぞお元気で頑張ってください！」
　最後に護が、耕作の背中に勢い良く抱きついた。

　【Tranquilizer】
　精神タイプろっこん、対象の昂ったり不安定になった精神を安定させる

　くるりと振り返った耕作は、祐の持参した一升瓶をやっつけた後だったが、目尻に刻まれた皺を一層深くすると、護の頭に手を置いた。
「ああ、ありがとう。いつも仲買業者に持って行って貰うばかりの野菜じゃが、偶にはこうして目の前で食ってもらうのも、いいものじゃな……」
　耕作は、刀達を手伝って片付けに励む孫に注意を向けた。
　一寸だけ、彼等の目が合って、互いに笑ったようにも見えた。

　帰り道。
「きっと神魂が、畑に宿ったものだったのだろうな。食物や、出された料理に感謝をしないヒトが増えた事を、憂えた食神が、ヒトに感謝の心を取り戻す為に仕組んだものと思えばいいんじゃないかな」
　歩いて帰るからと、乗車を丁重に断った旅鴉月詠が、風に揺れる緑を見渡して言った。
「ヒトは多くの生命を喰らって、成り立つ生物だからな……」
　長い髪を払って、月詠は実りを象徴する、ガーネットの赤い瞳を細める。

「その通りだな」
　御剣刀も月詠に並んで足を止め、畑に向かって粛々と頭を下げた。

「ありがとうございました！！！」

　　　終

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あとがき

担当マスター：メシータ
ファンレターはマスターページから！

　メシータです、シナリオお疲れ様でした。
　ハッピーコーンとの戦いを描いた、お約束のカオス展開ですが、全力でのってくださった皆様に感謝のきわみです。
　毎回シナリオに参加してくださる方々や、今回初参加だった方々、そしてここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました！
　当シナリオが皆さんの交流の切欠や、楽しい思い出となっていれば幸いです。

　後日談は、色々妄想してやってくださいまし～。

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