突然の決戦は寝子ヶ浜海岸｜リアクション

突然の決戦は寝子ヶ浜海岸

　刀の提案によって砂浜でバーベキューが催されることになった。器具や食材の費用は賛同者から集められ、炭の代用には漂着物が選ばれた。
「トロトロの油を掛けて燃えやすくしますねえ」
　グリーシーは半開きの口で顎先から大量の油を垂らした。間近で見ていた修の顔に緊張が走る。
「……油以外の物は入っていないよな」
「さあ、それはどうでしょうかねえ」
　グリーシーは含みのある言い方をした。
「旨っちのおかげで火力は十分だ。たらりんの燃料の提供にも感謝だぜ」
　近くをうろついていた孝太郎は達磨と燃料を交互に見た。
「え、それ資材なんだが。なんでバーベキューの燃料にされてるんだ？」
「肉を食えればオッケーじゃん」
「まあ、それは、え。でも、肉か……」
　孝太郎は勢いに押し切られた。塩と胡椒の味付けがされた肉に焦げ目が付くと、すっかり機嫌は直っていた。
　各自の紙皿に適度に焼けた食材が乗せられた。
「いただきます」
　達磨の声のあと、その場の全員が唱和した。
　近くでは真帆が中腰で清掃に励んでいた。背中を伸ばして腰に手を当てる。バーベキューの進行を確認するような眼差しを向けてきた。
「まだまだ食材はあるし、よかったら食べていきなよ」
　達磨は食材の乗った紙皿を掲げて見せた。
「私は清掃の為に居残ったみたいなものだから」
「カッコイイ女子は、いつでも大歓迎さ」
「……あなたには負けたわ」
　真帆は口元に笑みを作って軍手を脱いだ。差し出された紙皿を受け取ると、ありがとう、と照れたように言った。
「あのスライムも漂着物の一つなのかもしれないな」
　おもむろに修は感慨深い顔で呟いた。

　その時、一羽の鳥が大空に羽ばたいた。達磨は視界の隅に捉えて振り返る。黒い影のような物は一部の雲に紛れて見えなくなった。
「まさか、な」
　不安の混じった声は歓談に掻き消された。本人にも笑顔が戻り、華やかな雰囲気に包まれるのだった。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

皆様、シナリオを存分に楽しめたでしょうか。
人によっては漂着物に思いを馳せ、または敵の撃退に汗を流しました。

今回のシナリオを端的に言いますと、肉体は最強の武器、となります。
もちろん、化学的なアプローチも大切です。深い考察が底の方にある真実を手繰り寄せるのです。
二体のスライムの脅威を退けたのは、皆様の協力があってこそです。きれいにまとめようとしていますが、
偶然という幸運も忘れてはいませんよ。シナリオに適した能力の人がいて本当に助かりました。

では、新たな冒険の舞台で会いましょう。
今回はご参加、ありがとうございました。

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