灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！｜リアクション

灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！

　多くの挑戦者が脱落する中、桜庭は好調に空の鍋の数を増やしていった。
「鉄鍋のジョン、全巻読んできたので負ける気はしませんね！　お子様舌の僕ですが！　根性は負けませんよ！　センセンシャル（※すいませんした）！」
　言葉の意味はともかく、意気込みは充分伝わるコメントである。
「ふっふっふ、牛乳の持ち込みは禁止されていなかった！　今まで飲まずにここまで来たけど！　いいや！　限界だ！　飲むね！　辛さを中和するのだ！」
　確かに、桜庭の言葉通り、辛みを抑えるためのアイテムは持ち込みを禁止されていない！
　ここまで戦ってきた猛者たちの大半は、乳製品を持ちこんでいることから、その効果が実証されているといえよう。
「まずは、野菜を食べましょう、食物繊維を先に摂取するのです。そして……」
　ここで桜庭、箸を両手に持って奇妙な構え！
「箸を二組持ち、片方の箸で食べながら、アツアツの奴をもう片方で冷ますのです！！！！」
　会場が一気にざわつき始めた。あの構えは、鋼鉄蟹の構え！！
「ご存知の方がいるとはね。そう！　アニメ『寝子島食戦記』における、鍋焼きの刑バトルでやってたあれ、鉄鋼蟹の構えです」
　桜庭は視線を海に移して、ノスタルジックな雰囲気のまま告げる。
「５０時間の練習、あれは地獄でした！」
　暇人だな、オイ！　というか両利きでお箸を操る練習じゃないか、それ！
　だが、意外とこれが効果を発揮し、桜庭は以前、快調なペースで食べ進めてゆくのだった。

　楡宮も牛乳を水筒に入れて対策を講じていた。
　飲んではうどん、飲んではうどんを繰り返してきたが、彼女には最大の弱点があった。
「猫舌はつらいよ……」
　そう、熱さだ。熱い食べ物は、冷まさないと食べられないのだ。
　更に、香辛料のせいで身体自体に熱が籠ってゆく！
「汗が止まらない……！　こうなったら、恥ずかしいとか言ってられないっ！」
　楡宮はＴシャツを脱ぎ捨てると、キャミソール１枚で食べだしたではないか。
「うん、これなら涼しい！　あ、牛乳飲もうっと」
　暑さに弱い彼女は、キャミソールの下にスポーツブラも着用していないようで、汗で張り付いたキャミソールが、楡宮の体のラインをくっきり際立出せてしまっていた。ただし、楡宮の胸部は平坦だった。
　だが、それはそれで性癖に刺さるものがいるのか、観衆は沸きに沸いたのだった。