灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！｜リアクション

灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！

　優木遥斗は目立たなかった。彼は黙々と焦らず騒がす杯数を重ねていったのだ。
　彼は「体育会系の奴らの食欲は要注意だな」とぼんやり考えつつ、周囲は気にしないでいつも通りのペースで食事をするだけだった。
　そして彼は極度の鈍感であった。
（なんか食べづらくなってきたな……）
　それもそのはず。優木の唇は今や、風船のように大きく腫れあがっているのだ。
（気のせいか……）
　だが、彼自身、それに気が付いていない。だからこそ、ペースを乱さず淡々と食べ続けられるのだ。
　ましてや、彼は食欲魔人の素質があった。
　つまり、優木という男は、自らの満腹を知らぬのだ。
　だから限界以上まで食べることが出来てしまうのだ！
　だからこそ、終わってみれば、彼が一番、うず高く鍋を積み上げることが出来たのだ！！
「おめでとうございます！　賞金５万円と海の幸盛り合わせは、あなたのもの……、もしもし？」
　箸と器を持ったまま微動だしない優木に声を掛けるリッカルド町長。
　そして町長は何かに気が付くと、悲鳴を上げて腰を抜かした。
　何事か、と桜庭が駆け寄り、彼の脈を計りだす。そして、目を閉じたまま告げた。
「食ったまま……気絶してる！」
　優木は自分の限界をとっくにオーバーした状態で、遂に人としての何かが決壊してしまったようだ。

　こうして、『第一回チキチキねこじま真夏の我慢大会』は、『不動の優木』こと優木遥斗が初代王者に輝いたのであった！
　みんな、マネしちゃダメだぞ！！

＜了＞

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あとがき

担当マスター：焼きスルメ
ファンレターはマスターページから！

　ご参加いただき、誠にありがとうございました。
　真夏の激辛我慢大会とひとを駄目にする極楽ルームでの一幕を描写させていただきました。
　優勝者の方はおめでとうございます！
　商品を有意義に利用してみてくださいませ～。
　それでは、またお会いできることを祈っております。
　乾物こと、焼きスルメでした。

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